ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

宇宙が始まる前には何があったのか?

宇宙が始まる前には何があったのか? (文春文庫)

宇宙が始まる前には何があったのか? (文春文庫)

ローレンス・クラウス 「宇宙が始まる前には何があったのか?」メモ


第9章 量子のゆらぎ

ニュートン的なエネルギー
・平坦な宇宙の場合、宇宙の膨張に参加しているどの天体についても、そのニュートン的な全エネルギー(運動エネルギーとポテンシャル・エネルギーの和)がゼロになる。
・これは反証可能な仮定。理論的に導かれた性質であり、この宇宙がそのような性質をもつべき必然性はなかった。


○インフレーションが示すもの
・宇宙が無から生じたとすると、どの天体のニュートン的エネルギーの総量もゼロであるような、平坦な宇宙になる理由
・「無」の定義:何もない空っぽの空間
・空っぽの空間は、物質や放射が存在しなくても、ゼロではないエネルギーをもつことができる。
一般相対性理論より、エネルギーを持つ空間は指数関数的に膨張する。
・ごく初期にはきわめて小さかった領域も、一瞬のうちに、今日観測可能な宇宙全体を軽々と含むほどの大きさになる。
・その急激な膨張により、空間に含まれるエネルギーが増大し、われわれの宇宙を含む領域はどんどん平坦になる。
・それは、空っぽの空間のエネルギーに伴う重力的な「圧力」が、負の値をもつから。
 「負の圧力」であるため、宇宙が膨張するにつれてエネルギーはどんどん空間の中に移行し、空間のエネルギーは減少しない。


・インフレーション終了時、空っぽの空間にため込まれていたエネルギーは粒子や放射のエネルギーに変わり、現在のビッグバンの膨張が始まる。
・インフレーションは、それ以前の宇宙についての記憶を消し去る。
・はじめにどんな複雑性や規則性が存在していたとしても、きれに引き伸ばされるか、または今日の地平線の外側に追い出されるか、あるいはその両方が起こり、われわれが観測する宇宙はほとんど均一になる。


・わずかな密度ゆらぎが残り、それがインフレーション期に凍りつき、ゆらぎの痕跡を残す。
・その痕跡がインフレーションの第二の帰結となった。
 ↓
 量子力学の法則から生じた、空っぽの空間の中のわずかな密度ゆらぎが、今日の宇宙で観測されるあらゆる構造の種となった。
・われわれや、われわれが目にするすべてのものは、時間がはじまって間もないインフレーション期に、本質的には何もないものの中で起こった量子ゆらぎから生じた。


・すべてがおさまれば、物質と放射の全般的パターンは、ほぼ平坦な宇宙のそれとなる。
・あらゆる天体について、ニュートン的なエネルギーの和がゼロであるような宇宙。


・空っぽの空間から何かが生じることが可能になるのは、重力が存在する場合には、空っぽの空間のエネルギーは、とても常識では考えられないような性質をもつから。