ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

トマ・ピケティ 「21世紀の資本」

 今日は第五章を読んだ。

21世紀の資本

21世紀の資本

トマ・ピケティ 「21世紀の資本」 第五章 <長期的に見た資本/所得比率>のメモ


資本主義の第二基本原則

「長期的」には、資本/所得比率βは、貯蓄率s、成長率gと以下の方程式で示される関係
をもつ。


 β=s/g


 たとえば、s=12%、g=20%ならばβ=s/g=600%となる。
 毎年国民所得の12%を蓄え、国民所得の成長率が年2%の国では、長期的には資本/所得
比率は600%になる。この国は、国民所得6年分に相当する資本を蓄積することになる。


たくさん蓄えてゆっくり成長する国は、長期的には(所得に比べて)莫大な資本ストック
を蓄積し、それが社会構造と富の分配に大きな影響を与える。停滞した社会では、過去に
蓄積された富が、異様なほどの重要性を確実に持つようになる。


21世紀の資本/所得比率が18、19世紀の水準に並ぶほど構造的に高い水準になったのは、
低成長時代に復帰したから。

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長期的法則



資本主義の第二法則を適用できる前提条件。
1.漸近的、長期的に見た場合
2.人間が蓄積できる資本に注目した場合
3.資産価格が平均で見て、消費者物価と同じように推移する場合


β=s/gの法則は、当該国民(あるいは政府)が蓄財する理由とはまったく独立に成り立つ。
その国の貯蓄率の裏にある具体的理由と関係なく、あらゆる事例に適用できる。
ショックや危機の影響がなくなったときに、資本/所得比率が長期的に向かう潜在的
均衡水準を教えてくれる。


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1970年代以降の富裕国における資本の復活


富裕国の資本/所得比率は、ごく短期間で絶えず変動している。
これは、不動産、金融資産の価格がひどく変動しやすいため。


不規則で予測不可能な短期資産価格の変動(バブル)、資産価値の変動以上に、
1970-2010年にはすべての富裕国で長期的傾向が存在している。
富裕国では、1970年以降、新しい世襲資本主義の登場以降、民間資本が協力な復活を
とげている。(1970年代はじめ:国民所得2-3.5年分→2010年:国民所得4-7年分)


構造的進化の三要素
1.経済成長の鈍化、特に人口増加の低迷
2.1970年代、1980年代にだんだんと民営化と公共財産の民間移転が進んだこと
3.不動産と株式市場の価格に影響した長期的なチャッチアップ現象

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バブル以外のポイント―低成長、高貯蓄


一人当たり国民所得の成長率は、過去数十年間、ほぼすべての先進国で似通った数字。


平均貯蓄率は国によって開きがある。
民間貯蓄率はおおむね国民所得の10-12%におさまっているが、米国、イギリスでは7-8%の
低さ、日本、イタリアでは14-15%もある。


日本と米国の資本/所得比率の差異
 日本:年間15%の貯蓄率、2%の経済成長率で国民所得6-7年分相当資本ストックを蓄積
 米国:貯蓄率が低く、高成長なため、資本/所得比率は日本よりも低い


1970-2010年の富裕国における民間資本の蓄積の主な特徴は、資産の相対価格の構造的上昇
を考えなくて、この期間の貯蓄量(および初期資本)だけで説明できる。

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民間貯蓄の構成要素
1.民間個人が行った貯蓄
2.企業がその所有者である民間個人にかわり、直接的あるいは金融投資を通じて間接的
に行う貯蓄(企業が再投資する利益(内部保留)が占めており、国によっては民間貯蓄総額
の半分にも達する)