ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

トマ・ピケティ 「21世紀の資本」

 今日は第十二章を読んだ。

21世紀の資本

21世紀の資本

トマ・ピケティ 「21世紀の資本」 第十二章 <21世紀における世界的な富の格差 メモ>


世界的水準でとらえた富の格差の動学と、現在作用している主な力。

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資本収益率の格差


資本収益率は、その人の富の大小にかかわらずすべての所有者にとって等しいわけでは
ない。
裕福な人達がそうでない人達よりも高い平均収益を手にしている。
1.資産管理コンサルやファイナンシャル・アドバイザーを雇える財力が大きいこと
2.豊富な準備金があるほうが、たやすくリスクをとり、気長に待てること

→資本の分配における急激な格差拡大を自然に招く。

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世界金持ちランキングの推移


最大級の富の構造的成長率は、平均資産の平均成長率より常に大きい。

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億万長者ランキングから「世界資産報告」まで


2010年代の世界的な富の格差
1900-1910年のヨーロッパの富に匹敵する規模。
トップ千分位が世界の富の約20%、トップ百分位が約50%、トップ十分位がおよそ80-90%
を所有。

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資産ランキングに見る相続人たちと起業家たち


ひとたび築かれた財産は、資本の動学に従い増加し、ただその規模ゆえに数十年にわた
って急速度で増加を続けられる。
財産規模がある閾値を超えると、ポートフォリオリスク管理における規模の経済に
より規模効果が強まる。
お金は自分を再生産する傾向がある。



相続財産が世界中の最大規模の富のうち、総額の半分超を占めることは明白で、60-70%
が現実的な推測値。
ベル・エポック期のフランス(80-90%)より著しく低い。理由は現在の世界成長率の高
さで説明できるかもしれない。

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大学基金の純粋な収益


米国の大学基金の収益はここ数十年きわめて高く、1980-2010年は年間平均8.2%。
10年、20年、30年の平均を見ると、「フォーブズ」ランキングの億万長者と同様、きわ
めて高収益をあげている。


収益が基金の規模に応じて急増する。
基金の階層の上へ向かうほど「代替投資戦略」が多い。
最大の基金が高収益をあげている理由は、一貫してより良い結果をもたらす、ずっと
洗練された投資戦略をとっているから。

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インフレが資本収益の格差にもたらす影響とは


インフレは資本収益を減らすことはない。
平均資産価値(不動産や金融証券の平均価格)はだいたい消費者物価と同じ速度で
上昇するため。


インフレの主な影響は、資本の平均収益を減らすことではなく、それを再分配すること。
インフレが招く再分配は、主に最も裕福でない人には不利に、最も裕福な人には利益
になる。

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ソブリン・ウェルス・ファンドは世界を所有するか


現在の億万長者たちは、世界の総民間財産のおよそ1.5%を所有しており、ソブリン
ウェルス・ファンドがさらに1.5%を所有している。


石油輸出国のソブリン・ウェイルス・ファンドが成長を続け、2030-2040年には、世界の
資産に占めるシェアが少なくとも現在の2-3倍大きくなることは避けられない。

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国際的格差拡大、オリガルヒ的格差拡大


中国(もしくは石油輸出国のソブリン・ウェルス・ファンド)による緩やかな富裕国
所有から生じる国際的格差拡大の脅威は、オリガルヒ型の格差拡大に比べると説得力
に欠け、危険の小さい。


オリガルヒ型の格差拡大
・富裕国が自国の億万長者に所有されるようになること。
・もっと一般的には、中国や石油主出国を含むすべての国が、ますます世界の億万長者
や大富豪に所有されるようになること。


中国に所有されつつあるという恐怖は、まったくの幻想に過ぎない。
富裕国は自分で思っているよりもはるかに裕福。

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富裕国は本当は貧しいのか


世界の金融資産の大部分がすでにさまざまなタックス・ヘイブンに隠されていて、
世界的な富の地理的分布の分析に限界をもたらしている。


報告されていない巨額の金融資産がタックス・ヘイブンに存在する。
タックス・ヘイブンの金融資産の大部分(少なくとも4分の3)が富裕国の住民の
ものである。
富裕国の、他の地域に対する純資産ポジションは、実際はプラス。