ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

トマ・ピケティ 「21世紀の資本」

 今日は第十四章を読んだ。

21世紀の資本

21世紀の資本

トマ・ピケティ 「21世紀の資本」 第十四章 <累進所得再考 メモ>


課税における20世紀の大イノベーションは累進所得課税の考案と発展
20世紀の第二の主要な税制イノベーションは累進的な相続税

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累進課税の問題


課税は技術的問題ではなく、政治哲学的な問題であらゆる政治課題の中で最も重要


税金の分類
所得課税、資本課税、消費課税、社会保障拠出金


税金が比例的:その税率が万人にとって同じ場合
税金が累進的:一部の人の税率が他の人より高い場合


納税総額はおおむねその個人の所得に比例している

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累進課税


近年の自由な資本フロー世界における税制競争の台頭により、多くの政府は資本所得を
累進所得税から除外した(特にヨーロッパ)。

結果として、多くの国で税金は所得階層トップでは「逆進的」になっている。


トップ百分位で見られる逆進性は、資本所得は累進課税からほとんど除外されているため


累進課税は社会国家のきわめて重要な構成要素。
社会国家の発達と20世紀の格差構造変化にも中心的な役割を果たし、将来にわたって
社会国家の存続を確保するためにも重要であり続ける。


累進課税は今日、知的にも深刻な脅威にされされ、政治的にも脅かされている。

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20世紀における累進税制―とらえどころのない混沌の産物


累進課税は民主主義の産物であると同時に両大戦の産物でもある。
その場しのぎが必要な混沌とした環境で採用されたもので、各種の狙いは十分に考え
抜かれておらず、今日批判を受けるようになっている。


多くの国は第一次大戦の開戦前に累進所得税を採用している。

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過剰な所得に対する没収的な課税―米国の発明


米国は「過剰な」所得や財産に対する没収的な税を発明した。
70%以上の税率を試してみた最初の国は米国。
まずは所得税、そして相続税


累進課税は格差削減のかなりリベラルな手法。
自由競争と私有財産は尊重されつつ、私的なインセンティブはかなり過激にもなりかね
ない形で改変されるが、それでも常に民主的論争で検討されたルールに従って行われる。

社会主義と個人の自由との理想的な妥協となる。


1932-1980年の約半世紀にわたり、米国連邦所得税最高税率は平均81%。
大陸ヨーロッパの国でこれほどの高い税率を課したところはまったくない。


米国の相続税率に匹敵またはそれを越えた唯一の国はイギリス。
1940年代のイギリスで最高の所得や遺産に適用される税率は98%で歴史的最高記録。


両国とも労働所得(稼いだ所得)と資本所得(稼いでいない所得)を区別し、最高税率
は資本所得に対するもの。


資本所得のほうが労働所得よりも怪しげだとみなされていた。
現在では特にヨーロッパ諸国をはじめ多くの国で、資本所得のほうが労働所得よりも
好意的な扱いを受けている。

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重役給与の爆発―課税の役割


1930-1970年代までの平等性への情熱を経験した後、米国とイギリスは正反対の道へと
方向転換した。
両国の最高限界所得税率は、フランスとドイツよりずっと低くなった。
米英が1970年代に他国に追い抜かれているように感じはじめたため。


最高限界所得税率の低下規模は、トップ百分位が国民所得に占めるシェアの同時期に
おける増加幅と密接に関係し、この二つの減少は完璧な相関を見せている。


重役報酬高騰は交渉モデルで説明がつき(低い限界税率のおかげで重役は高級をもらう
交渉をするよう促される)、経営生産性の上昇なるものとはほとんど関係ない。

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最高限界税率の問題再考


最高所得に対して没収的な税率をかけるのは、目に見える超高給与の増大を阻止する
唯一の方法。


先進国で最適な最高税率はおそらく80%以上。
所得階層のトップ1%や0.5%でみられる水準の所得に対するもの。