今日は第十五章を読んだ。
- 作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森本正史
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2014/12/06
- メディア: 単行本
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トマ・ピケティ 「21世紀の資本」 第十五章 <世界的な資本税> メモ
今日の課題に適応した新しい理想的なツールは資本に対する世界的な累進課税。
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世界的な資本税―便利な空想
世界的な資本税は空想的な発想であるが、役には立つ。
・有益な参照点として使える
・これを基準にして他の提案を評価する
・まずは地域レベルからはじめる
現在議論されている銀行情報の自動共有の提案は、包括的にはほど遠い代物。
金融透明性と情報共有の問題は、理想的な資本税と密接に関連している。
目的は個人の富に対する累進的な年次課税、つまりそれぞれの個人が支配する資産の
純価値に対しての課税であるべき。
課税財産はあらゆる金融資産の市場価値(銀行預金、株式、債券、パートナーシップ
など、上場・非上場企業への各種の出資形態を含む)と、非金融資産(特に不動産)
の市場価値から負債を引いたもの
提案する資本税は世界の富に対する累進的な年次の課税。
あらゆる種類の資産が対象となる(不動産、金融資産、事業資産すべて、例外なしに)。
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民主的、金融的な透明性
資本税の主要目的は社会国家の財源をまかなうことではなく、資本主義を規制すること。
・富の格差の果てしない拡大を止めること
・危機の発生を避けるために金融と銀行のシステムに対して有効な規制をかけること。
⇒資本税は民主主義的、金融的な透明性を促進しなければならない。
誰が世界中でどんな資産を持っているかが明確になる必要がある。
真に民主的な論争は信頼できる統計なくして始まらない。
世界的な金融危機に対処するためにも透明性が必要。
資本課税は政府に対し、銀行データの自動共有をめぐる国際合意の明確化と拡大を強制
する。
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簡単な解決策―銀行情報の自動送信
世界的資本税への一歩は、国際レベルにまでこの種の銀行データ自動送信を広げ、納税
者すべてに計算済の資産一覧を発行するにあたり、そこに外国銀行で保存されている
資産の情報もふくめるようにすること。
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資本税の狙いとは?
累進所得税、累進的相続税、累進資本税はそれぞれ別の相補的な役割を果たす。
どれも理想的な税制における不可欠の柱。
資本課税を正当化する理由は、貢献的な理由とインセンディブ面での理由がある。
所得は、きわめて裕福な個人にとってはあまりしっかり定義された概念ではない。
金持ちの貢献能力をきちんと評価できるのは、資本の直接課税だけ。
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貢献の論理、インセンティブの論理
資本税は資本ストックにできる限り最高の収益を求めるインセンティブになること。
富を非効率的に使っている人々に資産を売却させて税金を払わせ、そうした資産が
もっとダイナミックな投資家たちの手に入るようにすること。
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ヨーロッパ富裕税の設計図
資本税の理想的な税率
資本に対する永続的な年次課税であり、その税率はそこそこ穏健なものでなければなら
ない。⇒数パーセント程度
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歴史的にみた資本課税
資本税は、民間資本とその収益という永遠の問題に対する対応としてもっとも非暴力的
で、もっと効率的。
個人の富に対する累進的な課税は、社会全体の利益の名の下に、資本主義に対する
コントロールを取り戻す一方で、私有財産と競争の力を活用する。