第二章を読んだ。相対論では時間と空間は密接に絡み合ったもので、時間と空間は絶対的なものではなく光の速さが絶対的な物理量となる。時間と空間は実数と虚数の関係にあり、時間は「実数」、空間は「虚数」になる。光の速さの不変性のためには、動いている人の時間軸だけでなく空間軸も傾く必要があり、他者と共通の「今」は存在しない。われわれの意識は空間的にも時間的にも拡がりをもっており、感覚的に感じる人間的時間と物理学で議論される物理学的時間を混同してはならない。
- 作者: 橋元淳一郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/12/14
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橋元淳一郎 「時間はどこで生まれるのか」 第二章 <相対論的時間と時間性> メモ
☆座標系と時空図
・時空図上の点を「事象」という。何らかの出来事を表す。
・世界線:この世界は時間と空間からできており、すべてのモノの動きは時空図上の直線
なり曲線で表せる
・時空図上の時間は、時間を空間化しておりC系列とみなすことができ、人間的時間
ではなく物理学的時間。
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☆空間は虚である
・相対論では、時間と空間は独立したものではなく、密接に絡み合ったもの。
・相対論における空間と時間は「実数と虚数」関係にある。
・時間は実数、空間は虚数。
・相対論では時間と空間は絶対的なものではなくなるが、(真空中)の光の速さが
絶対的な物理量となる。
・相対論では、過去と未来以外に、光の世界線を境界にした非因果的領域が現れる。
⇒そのような領域にある事象はけっして今現在の私(座標の原点)と因果関係を
もてないということ。
その領域にある事象は、今現在の私にとって過去でも未来でもない、「あの世」。
・今現在の私は、(現在の他者によってではなく)過去の他者によって規制されている
のであり、今現在の私は、(現在の他者ではなく)未来の他者しか規制できない。・今現在を共有していると思っている私以外の他の場所は「虚」である。
・空間を実数で測ることができるのは、時間性のなかで測定が行われるから。
・異なる二つの場所の測定は、瞬時には不可能であり、わずかであっても時間が経過
している。
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☆今という瞬間は誰とも共有できない
・光の速さの不変性のパラドックスは、動いている人の座標系が時間軸だけではなく
空間軸も傾くことで解ける。
・動いている人にとっての時間は、静止した人の時間とは異なる。
・自分が感じている時間は、自分だけのものであり、他者が感じている時間は(自分の
時間とはある関係で結ばれているけれど)、他者のもの。・他者と共通の「今」は存在しない。
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☆「今」は時間性の中拡がりをもっている
・われわれが感じる一瞬は、点状のものではありえない。
・一つの脳細胞から別の脳細胞へ情報なりパルスなりが伝搬するのは瞬時ではなく、
ある時間がかかる。・われわれが何かを見たり聞いたり感じたりする感覚は、すべて脳細胞間の電気的・
化学的パルスの伝達により可能だとすれば、一瞬だと感じている時間は、物理的には
点状のものではなく、有限の拡がりをもったもの。
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☆人間的時間と物理学的時間
・相対論(ニュートン力学)では、文字通りある瞬間という点状の時間を考えることが
できるが、それは数学的概念である。・われわれの意識は空間的にも時間的にも広がりをもったもの
・感覚的に感じる人間的時間と物理学で議論される物理学的時間を混同してはならない。
・実在とは何かということを考えるとき、時間や空間の存在さえ否定されることは
明らか。・真の実在である「物自体」は人間の理性では解き明かせない。