第五章を読んだ。時間はマクロな世界で生まれるもので、時間の気づきは生命進化の過程で起き、起源は生命の誕生のときに遡る。時間性とは干渉→意思決定→反応の反転不可能な流れ。エントロピーは時間の経過に従い増大する。マクロな世界になぜ不可逆過程が存在するかは、秩序ある状態の数と無秩序の状態の数を比べたときに、無秩序の数の方が圧倒的に多いため。
- 作者: 橋元淳一郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/12/14
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橋元淳一郎 「時間はどこで生まれるのか」
第五章 <マクロの世界を支配するエントロピーの法則> メモ
☆時間の謎へのやるせない思い
・ミクロの世界には、色や温度と同様に時間も存在しない。
・時間はマクロな世界で生まれる。
・A系列の主観的な時間がどこで創造されるのかを発見するのが本書の趣旨
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☆「意思」と時間の流れ
・現存性の本質は時間性にある
⇒自分という存在が世界の一部であるから
・時間の向きや流れの気づきは生命進化の過程で起こり、生命の誕生のときに遡る
・バクテリアは世界の外から(過去から)なんらかの干渉(攻撃や誘惑)を受け、それに
対して、世界の外へ(未来へ)なんらかの反応をする・この反応の中に「意思」がある。
・過去は制御できないが、世界の外へ自分の「意思」で反応を返すとき、われわれは
そこに選択の自由を得る・未来は、自分がいかに行動するかで、自分に許された自由の範囲内で決定できる。
・干渉→意思決定→反応の反転不可能な流れこそが時間性
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☆逆回しすると奇妙さがすぐわかる不可逆過程
・エントロピー増大の法則は、不可逆過程と密接に結び付いている
・われわれの周りに存在するマクロな現象は、ことごとく不可逆であり、そこに時間の
向きが現れる。
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☆エントロピー増大の法則
・エントロピー増大の向きは、過去から未来へという時間の向きに一致している。
・エントロピーが一定になった平衡状態においてさえ、時間は経過しているはず
⇒時間の向きはエントロピーの法則とは別のところで創造されており、エントロピーはその
時間の経過に従って増える
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・秩序か無秩序かという判断には、そこに人間の価値基準が入り込んでいる
・情報量と対比して用いられるエントロピーは、結局のところ、人間の価値基準次第
とえいる
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☆エントロピーの法則にもかかわらず時間反転は可能
・赤玉、白玉配列の場合、一個一個の玉の動きは時間対照なのに、全体は秩序から無
秩序に進むのは、秩序の配列の数は一であるのに対して、無秩序の配列の数はきわめて
多数だから
・マクロな世界になぜ不可逆過程が存在するかは、秩序ある状態の数と無秩序の状態の
数を比べたときに、無秩序の数の方が圧倒的に多いため、結果として、マクロな時間は
秩序状態から無秩序状態へと移行する