ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

本多勝一 「日本語の作文技術」

 今日は第四章「句読点のうちかた」を読んだ。本の説明を読むと分かったような気になるんだけど、実践するのが難しい。


日本語の作文技術 (朝日文庫)

日本語の作文技術 (朝日文庫)

本多勝一 「日本語の作文技術」
第四章 <句読点のうちかた> メモ


1.マル(句点)そのほかの記号

 、(テン)や。(マル)や「(カギ)のような符号は、わかりやすい文章を書く上でとても重要。


 例文1:渡辺刑事は血まみれになって逃げ出した賊を追いかけた。

   ⇒これだと、血まみれになったのが渡辺刑事なのか賊なのかわからない。


   血まみれになったのが賊であった場合、以下の点のうち方だと刑事が血まみれになって
   しまう。

    渡辺刑事は血まみれになって、逃げ出した賊を追いかけた。


   テンのうちかただけで改善するには以下とする。

    渡辺刑事は、血まみれになって逃げ出した賊を追いかけた。


   テンを無しにするには以下とする。

    血まみれになって逃げ出した賊を渡辺刑事は追いかけた。


<文章中に現れる符号>


 。   マル・丸・句点・終止符
 、   テン・点・区切り点・読点・コンマ
 ・   ナカテン・中点・中黒・ナカポツ
 (   マルカッコ・パーレン (二個で一対)
 「   カギカッコ (二個で一対)
 『   二重カギカッコ (二個で一対)
 ″   ヒゲカッコ・チョンチョンカッコ (二個で一対)
 ?   疑問符
 !   感嘆符
 =   イコール
 −   ハイフン
 =    二重ハイフン
 ・・・ 点線・リーダー
 、、、 傍点・ゴマ
 ―   中線・長棒
 その他
 <>、≪≫、〔〕


1.1 ナカテン(・)

 ・並列や同格の語のあいだに使うほうが論理としてわかりやすい。


  例文1:報道は、いつ・どこで・誰が(何が)・どのようにして・なぜ起きたかを書くのが常識と
     されている。

  例文2:戦争犯罪人岸信介を総理大臣に選んだかなしき日本。    


 ・列挙や同格のときはふつうテン(読点)を使う。


  例文3:カール・マルクスアダム・スミス、チャールズ・R・ダーウィンの三人が...。   

  テンを例文3のように使うと構文上の重要なテンの役割を侵害することがある。ナカテンが
 可能なときはテンを避ける。


  ・列挙(並列)でも修飾語がついた場合はテンにする。

  例文4:『資本論』を書いたカール・マルクス、『国富論』を書いたアダム・スミス
     『種の起源』を書いたチャールズ・R・ダーウィンの三人が...


 ・カタカナの固有名詞を列挙する場合は二十ハイフンがある。


  例文5:カール=マルクス・アダム=スミス・チャールズ・R・ダーウィンの三人が...


  例文6:ニューヨーク=タイムズ・ル=モンド・ワシントン=ポストの三紙が...


1.2 マルとテン

 ・符号の中で作文上特に重要なのはマルとテン。

 ・マルは文が終わったら必ずつけること。


2.テン(読点)の統辞論

 ・テンは、符号の中でも決定的に重要で、かつ用法についても論ずべき問題が多い。

  例文1:…働きざかりと思わる年齢の人の急死が報じられるのをみると、ついついいろいろ
     考えさせられる。病名が心筋硬そくだと元気にまかせて、過労をかさねたのでは
     ないかと思い、ガンだと、どうして早期発見できなかったのかと気にかかる。


     ⇒「元気にまかせて」のあとのテンをやめ、その前(「心筋硬そくだと」のあと)に
       移せばよい。


     「病名が・・・」以下の文章には二つの述語があり、それらにかかる修飾語に関係は
     以下となる。


      病名が心筋硬そくだと            →
      元気にまかせて過労をかせねたのではないかと → 思い


      (病名が)ガンだと             →
      どうして早期発見できなかったのかと     → 気にかかる。


      それぞれの述語に二つずつ修飾語がついている。二つの修飾語と修飾語の間に
      テンを打てば論理がハッキリする。


     ⇒病名が心筋硬そくだと、元気にまかせて過労をかさねたのではないかと思い、
      ガンだと、どうして早期発見できなかったのかと気にかかる。


・第一原則:「長い修飾語が二つ以上あるとき、その境界にテンをうつ」(「長い修飾語」)


・修飾語が短ければテンは必要ない。


  例文2:AがBをCに紹介した。


・三つの修飾語が「紹介した」にかかっているが、テンは必要ない

・「Aが、Bを、Cに紹介した」と書いても誤解はないが、他の重要なテンとの区別がつかなくなる。

 ⇒重要でないテンはうつべきでない


  例文3:私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCにAが紹介した。

     ↑テンがなくても問題なし(「長い順」の原則どおりの場合)。



  例文4:Aが私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCに紹介した。

     ↑読みにくい。



  例文5:Aが、私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCに紹介した。

     ↑「Aが」のあとにテンをうつと読みやすい。


・第二原則:語順が逆順の場合にテンをうつ(「逆順」)


・テンというものの基本的な意味は、思想の最小単位を示すものであり、筆者の思想としての自由なテン。
 (例文5の「Aが」は「強調」という主観があらわされている)


  例文6:父は死んだ。


  例文7:父は、死んだ。


・例文6はひとつの思想表現、例文7は二つの最小単位の思想をあらわしている。