- 作者: 本多勝一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 1982/01/14
- メディア: 文庫
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本多勝一 「日本語の作文技術」
第八章 <無神経な文章> メモ1.紋切型
・だれかが使い出し、それがひろまった、公約数的な、便利な用語、ただし、表現が古
くさく、手あかで汚れている言葉。・これを要所要所で使用すれば、表現に悩むことも苦しむこともなく、思考と時間の
節約が可能になる。それ故に安易に使われやすい。・紋切型を使った文章は、マンネリズムの見本みたいになる。
2.繰り返し
・文の末尾に「と思う」とか「と思われる」、「です」、「である」などの同じ言葉の
繰り返しを使用するのは避ける。
・逆説の場合、「しかし」ばかり使わないで、「けれども」「ところが」「だが」「が」
「にもかかわらず」などを混用する。
3.自分が笑ってはいけない
・おもしろいと読者が思うのは、描かれている内容自体がおもしろいときであって、
書く人がいかにおもしろく思っているかを知っておもしろがるのではない。・筆者が感じた素材そのものを、読者もまた追体験できるように再現しなければならない。
・野間宏 『文章入門』
文章というものは、このように自分の言葉をもって対象にせまり、対象をとらえる
のであるが、それが出来上がったときには、むしろ文章の方は消え、対象の方がそこに
はっきりと浮かび上がってくるというようにならなければいけないのである。対象の
特徴そのものが、その特徴のふくんでいる力によって迫ってくるようになれば、
そのとき、その文章はすぐれた文章といえるのである。・読者を怒らせたいとき、泣かせたいとき、感動させたいときも「笑い」と同様である。
筆者自身のペンが怒ってはならず、泣いてはならず、感動してはならない。(舞台で
役者が泣くときは、泣くこと自体が素材となる場合であって、ここでいう意味とは
状況が異なる。)
4.体言止めの下品さ
・例外的な場合とか目的がある場合は別として、第一級の文章家は決して体言止めを愛用
することがない。