- 作者: トランスナショナルカレッジオブレックス
- 出版社/メーカー: ヒッポファミリークラブ
- 発売日: 1991/08
- メディア: 単行本
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トランスナショナル カレッジ オブ レックス編 「量子力学の冒険」
第一話 <M. Planck A. Einstein 「光は何者だ!」> メモ
1.6 コンプトン効果
・コンプトン効果:エックス線が物質に当たった時にどのように散乱するかを調べたもの
・散乱されたあとのエックス線は、場所によっては発射した時のエックス線の振動数より
小さくなることがある。・この実験結果はマックスウェルの「電磁気学」では説明できない。
・光を”波”として考えている限りは、散乱されたあとに振動数が小さくなることはない。
☆光を”波”として考えた時の「エックス線の散乱」
・エックス線の波がやってきて物質に当たると、物質の中の電子がゆさぶられ、球面波を
放射する(これが散乱されたエックス線)。
→マックスウェルの散乱
・ゆすぶられる電子は、初めに発射されたエックス線の振動数と同じ振動数で振動する。
・このエックス線が単色であれば、この電子の振動はある一定の周期をもち、そこから
放射される球面波はどこをとっても「初めのエックス線の振動数と必ず同じ」になる。
↓
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・「光=波」と考えたのでは「散乱したあとに振動数が小さくなる」ことは説明できない。
☆光を”粒”として考えた時の「エックス線の散乱」
・光の粒がたくさん飛んできて物質にあたり、当たった光の粒は電子を飛ばしていろいろな
方向に飛び散る。
→玉突き現象と同じ
・hνというエネルギーを持った粒が電子に当たるとどうなるか調べる。
・hνというエネルギーを持った光の粒が電子に当たってはね飛ばすと、光の粒は電子を
はね飛ばした分だけエネルギーが減る。
・はじめの振動数をν1、衝突後の振動数をν2とするとエネルギー保存則より次式となる。
hν1=hν2 + (電子のエネルギー)
上式より
hν1≧hν2となり、
ν1≧ν2
となり、衝突後の光のエネルギーの振動数は、衝突前の振動数より小さい。
☆光の「運動量」
・運動量: p = m × v
運動量 質量 速度・質量:物が静止しているときの重さ
・速度:物がどんな方向にどのくらいの速さで動いているか
・光の運動量:p=E/c
・光の運動量の式と、E=hνより
p=hν/c
・波長λ=c/νなので、
p=h/λ
1.7 霧箱の実験
・塵などがない箱の中を水蒸気で満たして冷やし、過飽和状態とする。
・そこへ電子を飛ばすとイオン原子ができて、そのイオンを芯にして次々と霧が発生し、
電子の飛んだ道筋どおりに霧の線が見える。
・ウィルソンとボーデが霧箱を使い、コンプトン効果ではじき飛ばされた電子を観測した。
・理論的な計算により、飛んだ距離の長さから逆算してはじめにもっていた電子の
エネルギーを求めると、コンプトンの計算によって求められる値と良く一致した。
1.8 終わりに
・スリットの実験では、光は”波”と考えられるが、光電効果、コンプトン効果を説明する
には”粒”と考えなければならない。