- 作者: ファインマン,坪井忠二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1986/01/08
- メディア: 単行本
- 購入: 8人 クリック: 165回
- この商品を含むブログ (64件) を見る
第19章 質量の中心;慣性モーメント メモ
19-1 質量の中心の性質
・粒子の複雑な集合体があり、それにいろいろの力がはたらいているとする。
すべての力の和を求め、この集合体全体を考えてその全質量をMとする。
この集合体の内部に質量の中心があり、外力を全部あわせたものがその点に
加速度を与えると、それは全部の質量がこの点に集中しているとしたときと同じ
・質量の中心(CM)は
RCM=Σmir~i/Σmi
・物体を小さな片に分け、すべてが同じ質量mであるとすると、1片の質量を測り
それに片の数Nをかけたものが全質量・すべてのxをたし合わせ、それを片の数で割れば、XCM=mΣxi/mN
=Σxi/Nであり、質量が全て等しいなら、xCMはすべてのxの平均である
・Xは一番大きいxと一番小さいxとの中間にあり、物体全体を含む範囲のなかに
ある
・対称軸のある物体では、質量の中心はこの軸上のどこかにある。
・質点MAがAの質量の中心にあり、質点MBがBの質量の中心にある場合、
これら二つの質点の中心が、この全体の物体の質量の中心
MXCM=Σ[A]mixi+Σ[B]mixi
=MAXA+MBXB
・トルクが角運動量の時間的変化の割合に等しいという定理は、次の二つの場合に
成立する1.慣性系空間の固定軸
2.物体が加速度を受けつつあっても、質量の中心をとおる軸
19-2 質量の中心の位置を求めること
・パップスの定理:平面上に任意の閉域を考え、そのあらゆる点がこの平面に垂直
に動くようにこれを空間に運動させて一つの立体をつくると、それによってできる
立体の全体積は、”断面積”かける”質量の中心の動いた距離”に等しい
・密度の一様な平面板の質量の中心は、それを一つの軸のまわりにまわしてできる
体積が、質量の中心のまわった距離、かけるその板の面積となる・底面がD、高さHの直角三角形の質量中心を求める。
Hに沿った軸を考え、この三角形をそのまわりに360°まわす。
質量の中心のx座標が動いた距離は2πxであり、動いた面積は三角形の面積
(HD)/2、円錐の体積は(πD^2H)/3なので、(2πx)((HD)/2)=(πD^2H)/3
より、x=D/3
・三角形がどんな形をしていても、その質量の中心は、頂点から対辺の中点に
ひいた中線3本が1点にまじわることころ
19-3 慣性モーメントを求めること
・一つの物体のz軸のまわりの慣性モーメントを求める式
I=Σmi(xi^2+yi^2)
I=∫(x^2+y^2)dm=∫(x^2+y^2)ρdv
・各質量に、軸からの距離の自乗をかけて全部を加える
・一つの棒がその一端をとおりそれに垂直な軸のまわりにまわっているとする。
・この棒を長さdxの小さな部分に分けると、それの質量はdxに比例し、棒全体
の長さがL、質量がMであるのでdm=Mdx/L
I=∫[0,L」(x^2・Mdx)/L=M/L∫[0,L]x^2dx=(ML^2)/3
である
・平行軸の定理
I=Ic+MRCM^2
・平面図形と座標軸があり、その原点がこの平面上にあり、z軸はその面に垂直
であるとすると、z軸のまわりの図形の慣性モーメントは、x軸のまわりの
慣性モーメントとy軸のまわりの慣性モーメントとの和である
・一つの軸(z軸とする)のまわりの物体の慣性モーメントの性質
1.慣性モーメントは以下である
Iz=Σ[i]mi(xi^2+yi^2)=∫(x^2+y^2)dm
2.物体がいくつもの部分からなり、それぞれの慣性モーメントが分かっている
とすると、全体の慣性モーメントは、各部分の慣性モーメントの和に等しい
3.ある与えられた軸のまわりの慣性モーメントは、質量の中心をとおってこの
軸に平行な軸のまわりの慣性モーメントに、全質量かける軸から質量の中心
までの距離の自乗を加えたものに等しい4.平面図形の面に垂直な軸のまわりとその慣性モーメントは、その平面内に
あって、垂直軸のところで直交する2軸のまわりの慣性モーメントの和に
等しい。
19-4 回転の運動エネルギー
・角速度ωで回転している剛体の運動エネルギーを求める
・物体がある軸のまわりに回転しているとし、軸から半径riのところにある点の
速度の大きさはωriであり、この点の質量がmiとすると、物体全体の全運動
エネルギーは、この小部分すべての運動エネルギーを加え合わせたもので、T=(Σmivi^2)/2=(Σmi(riω)^2)/2
である。ω^2は定数なので
T=(ω^2Σmiri^2)/2=(Iω^2)/2