ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ファインマン物理学Ⅱ 光 熱 波動

ファインマン物理学〈2〉光・熱・波動

ファインマン物理学〈2〉光・熱・波動

第14章 気体分子運動論 メモ

14-1 物質の性質

・物質の性質に関する理解は大まかなものになる

・個々の原子が実際のどう動いているかを知ろうとするのではなく、どこそこに
平均としてどれだけ多くの原子が動いているか、いろいろな現象でどんな違いが
あるのかを知る

・原子の実際の行動は古典力学ではなく量子力学に従う

・この問題の正しい理解は量子力学を理解するまでは得られない


・なにかを圧縮すると熱くなる、それを熱すると膨張する。これらの二つの
事実の間の関係は、その根底にある機構とは無関係に導かれるもの。

 ⇒熱力学


14-2 気体の圧力

・気体は圧力を及ぼす。

・空気はたくさんの分子が永久運動している。


・箱の体積をV、気体の圧力をP、ピストンに働く力をF、ピストンの断面積をA
とすると

   P=F/A     (14.1)


 ピストンを微小量−dxだけ動かして気体を圧縮するとき、気体になされる
微小仕事dWは、力に圧縮するときの距離をかけたもので、圧力と面積と距離を
かけたものになり、圧力と体積の変化dVの積に負の符号をつけたものになる。

   dW=F(−dx)=−PAdx=−PdV   (14.2)


 圧縮すれば体積が減少し、気体が圧縮するとき正の仕事がなされるので、負の
負号が必要となる。


・vを原子の速度、vxをvのx成分とするとmvxが入ってくる運動量のx成分

・出ていく運動量も同じ大きさの成分をもつため、1回の衝突で粒子からピストン
に渡される全体の運動量は2mvxとなる。

・衝突する原子の数は、体積V中にN個の原子があるとすると、単位体積中の
原子の数nはN/V。

・時間t中の衝突の数は距離vxtの領域にある原子の数に等しい

・ピストンの面積はAなので、ピストンに当たるはずの原子により占められる
体積はvxtA

・ピストンにあたるはずの原子の数は、この体積に単位体積中でピストンの方に
向かう原子の数n'をかけたもの、n'vxtAとなる。

・単位時間中にピストンに当たる数は、tで割ってn'vxAとなる。

 力Fは

   F=n'vxA・2mvx      (14.3)


 力は面積に比例するので圧力は

   P=2n'mvx^2        (14.4)


 vx^2は各分子でそれぞれに違い、n'は速度により変わるためこれをn''と
すると、n''vx^2の和をとる必要がある。この和をn'で割ったものを<vx^2>と
おく。Σn''vx^2=n'<vx^2>とする。n'はn''の和であるので、<vx^2>は
vx^2の平均値である。よって(14.4)式は

   P=2mΣn''vx^2=2n'm<vx^2>


と書き換えられる。

 単位体積中に含まれる分子数の総数をnとすれば、n=2n'なので

   P=2n'm<vx^2>=nm<vx^2>     (14.5)


と表される。


・原子は上下、前後、左右に動くので原子のある方向の運動についての平均値<vx^2>がほかの二方向の平均値とすべて等しくなるので

   <vx^2>=<vy^2>=<vz^2>     (14.6)


   <vx^2>=<vx^2+vy^2+vz^2>/3=<vx^2>/3     (14.7)


 圧力の式を書き直すと

   P=(2/3)n<mv^2/2>     (14.8)


 mv^2/2は、これが分子の質量中心の運動の運動エネルギーになるため。

   PV=N(2/3)<mv^2/2>    (14.9)


・1個の原子からなる分子は分子中の内部運動がないと考えてよい。

・原子間の内部運動が無視できると、質量中心の運動エネルギーが存在する全
エネルギーとなる。

 ⇒単原子分子の気体では、運動エネルギーが全エネルギーになる。

・分子のエネルギーの総計をUと呼ぶ。

・単原子分子の気体では、全エネルギーが各原子の平均の運動エネルギーに原子の
数をかけたものに等しくなると考える。このような場合次式となる。

   PV=2U/3     (14.10)


 一般的に

   PV=(γ−1)U     (14.11)


・圧縮の際、熱の出入りがなければ断熱圧縮とよばれる。

・断熱圧縮では、なされた仕事が全部内部エネルギーに変わるのでPdV=−dU
となり、U=PV/(γー1)であるので、

   dU=(PdV+VdP)/(γ−1)     (14.12)


と書ける。PdV=−(PdV+VdP)/(γ−1)なのでこれより、

   γdV/V+dP/P=0     (14.13)


γは定数であると仮定すると、積分することができ、γlnV+lnP=lnC
となり、Cは積分定数であるので

   PV^γ=C(定数)     (14.14)


・断熱という条件下では、圧縮するにつれて、熱損失が無いため、温度上昇し、
圧力と体積の5/3乗との積は、単原子気体で一定となる。


14-3 輻射の圧縮率

・箱の中に光子がたくさんあり、温度は極めて高いとする。

・光子はある運動量pをもつ

・運動量はベクトルpのx成分の2倍であり、2mvxの代わりに2pxとする

・(14.4)の圧力の代わりに

   P=2n'pxvx     (14.15)


 となり、これを平均するとpxvxの平均値のn倍になり、他の二方向も考慮して

   PV=N<p・v>/3     (14.16)


・圧力と体積をかけたものが、原子総数に<p・v>/3をかけて平均したものに
なっている。


・各光子の運動量と光速をかけたものはエネルギーでE=pc

・平均のエネルギーをとり、それに光子の数をかけると、光子の気体のエネルギー
の1/3が得られる

   PV=U/3(光子の気体)     (14.17)


 光子の場合、Uの前に出てくる数字は1/3で、γ=4/3となるので箱の中の
輻射は

   PV^4/3=C     (14.18)


となる。

・これで輻射の圧縮率を知ることができ、星の内部における輻射厚の寄与の解析に
利用できる。


14-4 温度と運動エネルギー

・二つの気体が同じ温度の場合、質量中心の運動エネルギーの平均は等しくなる

・分子の運動エネルギーの平均値は、温度だけできまる性質である。

・それは温度の特性であり、気体の特性ではない。それを温度の定義として利用
できる。

絶対温度をTとすると、平均の分子のエネルギーが3kT/2になる。

  k=1.38×10^-23


・任意の方向の運動成分に関する運動エネルギーはkT/2だけである
・三つの独立な方向があるので、全体の運動エネルギーの平均値が
3kT/2になる。


14-5 理想気体の法則

・圧力に体積をかけたものが、分子総数Nと普遍定数kと温度をかけたもになる

   PV=NkT     (14.22)


・同じ温度、同じ圧力、同じ体積のもとで分子の数もきまる。

・種類の違う気体で、同じ体積、同じ圧力、同じ温度の気体は、ニュートンの法則
の結果として、同数の分子を含むことになる。


・1モル(mol):N0=6.02×10^23

・1モル当たりのk、すなわちR=8.317J・mol^-1・0K-1

   PV=NRT     (14.23)