ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ファインマン物理学Ⅱ 光 熱 波動

ファインマン物理学〈2〉光・熱・波動

ファインマン物理学〈2〉光・熱・波動

第15章 統計力学の原理 メモ

15-1 大気の密度と圧力

・分子運動論:原子間の衝突という観点に立つ物質の記述
       物質の巨視的性質は、それを構成する各部の運動により説明できる

統計力学:力学の法則を熱平衡状態に適用したもの。


・独立な運動、又は各自由度に対し、絶対温度Tにおける運動エネルギーの平均値
はkT/2になる。


・分子に力が働いているとき、分子は空間内にどのように分布するか、速度分布は
どうなるか。

・二つの問題は完全に独立で、速度の分布はいつでも同じ

・運動エネルギーの平均値はいつも同じで、分子にどのような力が働こうがそれに
無関係


・大気中の分子の分布を考え、温度があらゆる高さで同じとする。

・PV=NkT、P=nkT(n=N/V)より、単位体積中の分子の数が分かれ
ば圧力がわかり、圧力がわかれば単位体積中の分子数がわかる。

・高さhのところで単位面積をとり、下からこの単位面積に鉛直方向に働く力が
圧力P

・h+dhのところで単位面積に鉛直下方に働く力は、二点間の間の気体の重さ
だけ重い

・mgは各分子に働く力、ndhが単位の断面をもつこの部分に含まれる分子数
 これより

   Ph+dh−Ph=dP=−mgndh


 P=nkTよりPを消去して


   dn/dh=−mg・n/kT


・高さに関する微分係数が密度自身に比例する

微分係数がそれ自身に比例する関数は、指数関数であるので微分方程式の解は

   n=n0e^-mgh/kT      (15.1)


・密度は高さとともに指数関数的に下がる


15-2 ボルツマンの法則

・気体の分子に重力以外の力が働いているとする。

・分子はすべて同じで、力は各分子に働き、気体のある部分に働く全体の力は、
分子の数とその中の1個に働く力をかけたものになると仮定する。

・座標系のx軸方向を力Fの方向にとる。

・気体の中に平行な2枚の平面をとり、その間の距離をdxとする。

・各分子に働く力に1cm3に含まれる分子数nをかけ、dsをかけると圧力の差dP
と釣り合わなければならない。

 ⇒Fndx=dP=kTdn


   F=kTd/dx(lnn)     (15.2)


・−Fdxは分子をxからx+dxに静かに動かすときにする仕事

・なされる仕事がポテンシャルだけで表されるとすると、−Fdxは位置エネル
ギー(P.E.)の差となる。

位置エネルギーの負の微分がなされる仕事Fdxに等しく、

   d(lnn)=−d(P.E.)/kT


 となり、これを積分して

   n=(定数)e^-P.E./kT    (15.3)


 となる(ボルツマンの法則)。


・ボルツマンの法則:与えられた空間部分のうちに分子が見出される確率が、
その部分における位置エネルギーに負号を付けた値をkTで割ったものを指数と
する変わり方をするという法則。


15-3 液体の蒸発

・お互いに引き合っている分子の集合を考え、任意の二つのi、jという分子間
に働く力が、両者の距離rijだけできまり、ポテンシャル関数V(rij)の
微分係数として表されるとする。;

・r>r0の領域では、分子が近づくにつれエネルギーが減少する(引力)

・分子が近寄るとエネルギーは急激に増加する(斥力)

・このような分子が箱のなかにいっぱいになっているとし、平均の上で分子が
どのような配置をとるか。その答えはe^-P.E./kT

・この場合の全体の位置エネルギーは、力がすべて一対として考えられる二つの間
に働くものとすると、すべての対についての位置エネルギーの和になる。

・分子間の距離がrijで与えられる配置をとる確率は

   exp〔−Σ(i,j)V(rij)/kT〕


 に比例する。


・温度が下がると、与えられた体積のなかで、遠く離れているものよりも
エネルギーが極小になる距離にある可能性がずっと増す。

・温度が下がると、原子は一緒に集まり、塊になり、液体や固体や分子になり、
熱すれば蒸発する。


15-4 分子の速度分布

・高さhのところで正の速度で通り過ぎる分子の数n>0(h)と、高さ0のところ
で正の速度で通り過ぎる分子の数n>0(0)との比は、二箇所における密度の比に
等しく、この比はe-mgh/kTであり、n>0(h)=n>u(0)なので

   n>u(0)/n>0(0)=e-mgh/kT=e^-mu^2/2kT


・高さ0のところで単位面積を単位時間中にuより大きな速度のz成分をもって
通過する分子数は、e^-mu^2/2kTに0より大きな速度でこの面を通過する分子の
総数をかけたものに等しい。

・速度の分布はどこでも同じになる。


・どんな分子も正確にあるきまった速度をもつというわけにはいかない。

・速度のある範囲にどれだけ多くの分子があるかを問題にしなければならない。


・速度がuとu+duとの間にわる割合

   f(u)du=Ce^-mu^2/2kTdu    (15.7)


・速度と運動量は比例するので、運動量の分布が単位の運動量区間につき
e^-K.E./kTに比例する。


   f(p)dp=Ce^-K.E./kTdp    (15.8)