- 作者: ファインマン,宮島龍興
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1986/01/08
- メディア: 単行本
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第13章 静磁場 メモ
13-1 磁場
・電荷に働く力は電荷のある場所だけでなく、動く速さにも関係する。
・空間の各点に特有な二つのベクトル量があり、任意の電荷に与える力を決定する。
・電場E~:電気力は電荷の運動に無関係な力の成分を与る。
・磁気力B~1:空間のどの特定の点でも、力の方向と大きさがどちらも粒子の運動
方向に依存する。どの時刻にも力はいつも速度ベクトルに垂直。どの地点においても
力は空間の定まった方向に直角。力の大きさはこの決まった方向に直角な速度成分
に比例する。
・電荷に働く全電磁力は
F~=q(E~+v~×B~) (13.1)
これをローレンツ力という。
・磁場B~の単位はニュートン・sec/クーロン・mで同じ単位はボルト・sec/m^2でも
ある。これをウェーバー/平方メートル(Wb/m^2)とも呼ぶ。
13-2 電流;電荷の保存
・電流とは、電子などの電荷がうごいて正味の移動つまり流れをつくるもの。
・電流密度をベクトルj~で表す。
・小面積⊿sをとると、この面を単位時間に流れる電気量は、
j~・n~⊿s (13.2)
nは⊿sに垂直な単位ベクトル。
・電流密度は電荷の平均電流と関係する。
・平均運動が速度vの移動であるとする。
この分布が面素⊿sを通るので時間⊿tに面素を通る電荷⊿qは、⊿sを底面とし
高さv⊿tをもつ平行六面体内にある電荷に等しい。この体積はvに直角な⊿sの
射影にv⊿tをかけたものに等しく、それに電荷密度ρをかけると⊿qになる⊿q=ρv~・n~⊿s⊿t
単位時間あたりの電荷はρv~・n~⊿sで、これから
j~=ρv (13.3)
が得られる。電荷がq、平均速度vとすると電流密度は
j~=Nqv~ (13.4)
ここにNは単位体積あたりの電荷の数。
・任意の面Sを単位時間あたりに通る全電荷を電流Iという。
I=∫sj~・n~ds (13.5)
・電荷は無くならず、保存される。
∫[任意の閉曲面]j~・n~ds=−d/dt(Q内部) (13.6)
Q内部=∫[S内のV]ρdV (13.7)
・小体積⊿Vに適用すると、左辺の積分は∇・j~⊿Vに等しい。内部の電荷はρ⊿V
なので、電荷の保存は次式のようにも書かれる。∇・j~=−∂ρ/∂t (13.8)
13-3 電流に働く力
・電流は針金に沿って速度v~でうごく荷電粒子からできていて、各電荷の感じる力
は速度に垂直でF~=qv~×B~
単位体積内にN個の荷電粒子があれば、小体積?V内の数はN⊿V。
体積⊿Vに働く磁気力の合力⊿F~は各電荷のうける力の和である。⊿F~=(N?V)(qv~×B~)
Nqv~はj~なので
⊿F~=j~×B~⊿V (13.9)
単位体積あたりの力はj~×B~
・電流が針金の断面積Aにわたり一様であれば、体(積要)素として底面積、長さLの
筒をとることができる。⊿F~=j~×B~A⊿L (13.10)
j~Aを針金のベクトル電流I~と呼んでよいので、
⊿F~=I~×B⊿L (13.11)
針金の単位長さあたりの力はI~×B~となる。
・針金がその内部の電荷の運動のために受ける磁気力は、全電流だけに関係し、
各電荷のもつ電気料にも、符号にも無関係。
13-4 定常電流のつくる磁場;アンベールの法則
・静磁気の方程式
∇・B~=0 (13.12)
c^2∇×B~=j~/ε0 (13.13)
・静磁気は近似であり、多数の電荷が運動していて、電気の定常な流れで近似される
という特殊な動的状態に関わっている。
・アンペールの法則
∲[Γ]B~・ds~=IΓを貫く/ε0c^2 (13.16)
13-5 直線電線とソレノイドの磁場;原子電流
・円筒形の断面をもつ長い、まっすぐな電線の外側の場を求める。
B~の大きさは針金と同心な円上の点で同じ値もつ。B~・ds~の線積分はB~の
大きさに円周をかけたものである。
∲B~・ds~=B・2πr
ループを貫く全電流は針金の電流Iであるから、
B・2πr=I/ε0c^2
すなわち
B=(1/4πε0c^2)2I/r (13.17)
磁場の強さは針金の軸から距離rの逆数で小さくなる。ベクトル形でかくと
B~=(1/4πε0c^2)2I×er~/r (13.18)
・因子1/4πε0c^2は正確に10^-7に等しい。
・ソレノイドが直径に比して非常に長いとき、外部の場は内部に比べて非常に小さい。
全電流はNIで、ここにNは長さLのソレノイドの巻き数。
B0=NI/ε0c^2
nを単位長さのソレノイドの巻き数とすると(nはN/L)
B0=nI/ε0c^2 (13.19)
・ソレノイドの端でB~の線はひろがって、もう一つの端からソレノイドに戻る。