- 作者: アンソニージー,杉山滋郎,木原英逸,佐々木光俊
- 出版社/メーカー: 白揚社
- 発売日: 1989/12/01
- メディア: 単行本
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第9章 偉大な書物の読み方 メモ
○対称性の数学
・変換の性質を記述するのに、数学者や物理学者は「群論」を用いる。
○変換の結合
・T1とT2という変換が与えられたとき、はじめにT1を行い、ついでT2を行うとき、このような変換をT1×T2と名付ける。・二つの変換の結合という操作は、かけ算のように考えることができる。
・恒等変換:I
たとえば回転では、恒等変換は0度の回転または回転しないことを表す。
・変換のかけ算では、順序が大事
T1×T2は必ずしもT2×T1に等しくない。
・変換Tというものがある場合、T×T=1を満たす。
・群の定義:たがいに掛け合わせることのできる変換の集まり
・群はその変換と、それらの掛け算を示す表により完全に示される。
・IとTからなる群を考えると、その九九表は四つから成る。
I×I=I、
I×T=T、
T×I=T、
T×T=1・上記の群はZ(2)と呼ばれ、パリティや荷電共役と関連している。
・三次元空間のすべての可能な回転を要素とするSO(3)は、二つの回転をひきつづいて行うことにより決定される。
・すべての群は数学者により分類され、番号付けされている。
・物理学者は、作用を変化させない対称変換と呼ばれる変換に興味をもつ。
・T1、T2を対称変換とすると、T1×T2も対称変換となる。
→対称変換は群をなす○表現
・変換によりまとめられた対称を群の表現という。☆SO(3)を使った群の表現
・回転を基本矢印x~、y~、z~が回転させられてできた三つの矢印で表す。
・ax~+by~+cz~という矢印の形式を三つの矢印の線形結合と呼ぶ。
・回転は三つの矢印x~、y~、z~の各々を三つの矢印の線形結合で表される矢印へと変換する。
・三つの矢印はSO(3)の表現を与える。
この表現は、SO(3)の定義により決まるものなので、基本表現と呼ばれる。
・三つの実体をa、b、c、基本表現と同じように変換する三つの実体をa'、b'、c'とする。
・この二つの基本表現を組み合わせて表現を作ると九つの実体が生まれる。
aa'、ab'、ac'、ba'、bb'、bc'、ca'、cb'、cc'・回転を行うと、この九つの実体の各々は、九つの実体の線形結合へと変換される。
・九つの実体を三つの別のグループに分けることができる。
・第一グループは五つの実体、第二グループは三つ、第三グループは一つの実体を含む
・どんな回転によっても、一つのグループに属する五つの実体は、その五つの実体にしか変換されない。
→五つの実体はたがいの線形結合に変換される。・「五つの実体による表現」のかわりに、数学者は「五次元表現」と言う。
・二つの三次元表現を組み合わせて作った九次元表現は、三次元表現と五次元表現と一次元表現に分割できる
3*3=1#3#5・群によって表現が限定される。
☆まとめ
1 対称変換の乗法(掛け算)は、物理学者が人為的につくり出すものではなく、変換から自然な形で導かれる操作である。
2 群の乗法の構造は、実体の数により表現される。その実体の数は表現の次元と呼ばれる。
3 群の構造により、表現の構造は決まる。
4 二つの表現を組み合わせることにより、別の表現をつくることができる。
○神はどの本を読んだか?
・いろいろな整数の出現により、物理学者は、自然が群論を利用していて、そのデザインに対称性を利用していることに気づいた。・自然がどの群を使っているかを決定することが物理学の重要な任務の一つとなった。