- 作者: アンソニージー,杉山滋郎,木原英逸,佐々木光俊
- 出版社/メーカー: 白揚社
- 発売日: 1989/12/01
- メディア: 単行本
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第10章 対称性の勝利 メモ
○世界の安定性
・原子内の一つ電子には、ただ一つだけの軌道が許される。
・電子はそれがとっている軌道のエネルギーしかもつことができない
→原子内の電子のエネルギーの「量子化」・電子は連続的にエネルギーを失うことができず、よりエネルギーの低い軌道へと「量子的飛躍」をして移る
・電子がある軌道からある軌道へと遷移するとき、電子はエネルギー保存則に従い、二つの軌道のエネルギー差に等しいエネルギーの光を放射する。
○フランスのニューウェイブ
・波長の量子化が原子のエネルギーの量子化と関連している<マックス・ボルンの解釈>
・波動方程式は電子が特定の場所に見いだされる確率を与えるもの
・波の振幅がもっとも大きいところが、電子をもっともよく見いだせるところ。
○ここからあそこへ行くこと
・古典物理学では、A点からB点へ粒子が通る軌跡は最小作用の原理で正確に決まる。・量子物理では、ルートとして最小作用のものをたどる必然性はない
・量子物理では、物体が特定の軌道をたどる確率について教えてくれるだけ
○不確実さについての確実なこと
<不確定性原理>
・電子の位置は、光子に伴われる確率波の波長により制約された精度でしか決定しえない。
・電子の位置をより正確に決めるには、光子の波長をもっと短くしなければならず、その光子はより大きな運動量をもたねばならなくなる
→電子の位置の精密測定を行うと、測定後の運動量についてはわずかしかわからない・位置と運動量の双方をいくらでも精確に測定することはできない
一方をより精確に測ろうとすると、他方の精度が落ちてしまう。
○どんなサイコロとも違うサイコロ
・日常生活ではAかBが起こる確率は、Aが起こる確率とBが起こる確率の和・量子のサイコロで1が出る確率を1/6、2が出る確率を1/6であるとすると、量子のサイコロでは、1か2が出る確率は0から1/3までの値をとりうる。
・量子の法則は、ある事象の起こる「確率振幅」という量を決めている。
・事象の起こる確率を知るには、確率振幅を2乗する必要がある。
→確率が加えられるのではなく、確率振幅が足し合わされる。
○作用の導入
・粒子のたどる軌道の確率振幅は、その軌道に対応する作用により決まる。→可能な起動の確率振幅を足し合わせればよい・どの点にどのくらいの確率で達するかは予言できる。
・量子物理学は多くの測定を行ったときの平均の値については正確に予言できる
○歴史を足し合わせる
・経路積分法による定式化は、対称性を議論してゆくのに適する・経路積分法における量子物理学のエッセンス
(1)古典的作用がある特定の事象の継起に対する確率振幅を決める
(2)ある事象が継起する確率は、その事象の継起に対応する確率振幅により決められる
・量子電気力学の作用は、マクスウェルの作用であり、そのすべての対称性を受け継いでいる。
・われわれと自然との対話において、「なぜ」ではなく「どのように」しかない
・自然がなぜそう考えるかは、けっして知り得ない
○同じ時刻、あちこちに
・古典物理学では、電子の状態は、ある瞬間におけるその位置により決めることができる。・量子物理学では、電子の位置は特定できず、ある時刻のさまざまな場所に電子が見いだされる確率を教える確率振幅により与えられる。
・量子の世界では、状態を足し合わせることができる。
○指導的地位へ
・対称性に基づく考察が、古典物理学の場合よりも量子力学において威力を発揮するのは、状態を足し合わせることができるから。
○鐘が鳴る
・回転のもとで量子状態がそれらの線形結合へ変換されるということは、それらが回転群SO(3)の5次元表現になっていること
○量子力学における群論
・回転対称性が電子のある飛躍を禁ずる(選択則)
・そこにある対称性によってある遷移だけが許され、他はタブー
・選択則は対称性と保存則のつながりを示し、ある種の量子的飛躍も、それが保存則を破るという理由から禁止される。