ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

宇宙のデザイン原理

宇宙のデザイン原理―パリティ・ゲージ・クォーク

宇宙のデザイン原理―パリティ・ゲージ・クォーク

第12章 芸術の報復 メモ
○モ−ツァルトの宮殿のノミ
・求める対称性の違いによる二つのグループ
アインシュタインと彼の精神的な子孫たち
 対称性とは美の具現であり、時空の構造と一体になっているもの
 厳密で絶対的なもので、完全性が凝結しているもの

ハイゼンベルクのアイソスピンに見られるような厳密な対称性のもつ美的強制を損なっているもの
 近似的であり、時空と関係づけられていない
 アイソスピンは強い相互作用だけにかかわっている


・時空はエレガントで完璧な対称性をもち、そこを舞台にはねまわる物質は近似的な対称性しかもたない?


○反撃
・ヤンとロバート・ミルズにより、数学的美しさをもつ新しい対称性に関する理論が発表された。
・彼らの考える対称性が作用の形式を完全に決定することを示した。
・それまでに捉えられていた現実世界とは合致しなかった。
・厳密な対称性の存在は、性質の同じ粒子の集まりが存在することを意味していたが、そのような集まりは発見されていなかった。
・ある一群の粒子は対称性により、光子のように質量0でなくてはならなかった。(ゲージ・ボソン)
 質量のない粒子は質量をもつ粒子よりも容易につくり出すことができるのに、世界は質量のないゲージ・ボソンで満たされていない。


○世界の探求
・ヤンとミルズが提唱して厳密な対称性は、ノン・アーベリアン・ゲージ対称性(非可換ゲージ対称性)と名付けられている。
・この対称性に支配されている理論は、非可換ゲージ理論、ヤン・ミルズ理論として知られている。


○より糸からタペストリーへ
・各点ごとに異なっている変換を含んでいる対称性は、局所的である。
・各点ごとに異なっていない変換は、大域的である。
・アイソスピン変換は大域的対称性の例。
 作用の不変性を守るため、同じ変換を全宇宙のすべての場所で実行しなければならない。


・対称性変換の局所性は、自然な概念の一つ。
電磁気学なしの作用では、問題にしている対称性は局所的ではなく、大域的。
 この対称性が局所的であると要請したならば、それに電磁場、つまり光を強制的に含ませなければならない。


・電磁現象を含んでいる作用の世界は、ゲージ対称性と呼ばれる局所対称性をもつ。
・局所対称性が作用の形式を決め、作用の構造を決める。


○量子場の理論
・量子世界での粒子は場で記述される。
量子論場の理論では、作用がどんな対称性でも満たすよう、場を組み合わせていくことで作用が構成される。


○組立マニュアル
・ワイルにより記述された電磁作用はヤン・ミルズ型の作用の特殊例。

・非可換ゲージ理論では、局所対称性は(各々質量のない粒子を伴った)いくつかの場を要求する。

・局所対称性は、時空の異なる領域では異なった変換をしてもよく、ロングレンジの場が必要となり、質量をもたない粒子の場が現れる。
・ヤン・ミルズ理論に登場する質量をもたない粒子は「ゲージ・ボソン」と呼ばれる。
・電磁場はヤン・ミルズ理論の特殊な場合であり、それは一つのゲージ・ボソン(光子)しかもたない。


○ゲージ・ダイナミクス
・粒子がゲージ・ボソンを吸収したり放出したりするとき、それは他の粒子に変化する。
・ゲージ場は粒子をたがいに変換させる。


○物理学者は無法者
・1950年代、強い相互作用を摂動により扱うことは失敗していた。
強い相互作用の対称性を探す必要あり


○世界の眺め
・四つの基本的相互作用は相互作用の強さを示す結合定数により特徴づけられる。
・結合定数は定数ではなく、それを測定するときのエネルギースケールにより変化するもの。
・異なった分解能で自然を見るときには、さまざまな相互作用の結合強度は変化する。
・場の量子論の内的論理に従えば、エネルギーとともに結合強度がどう変化するかを決められるようになっている。


○弱さの瞬間
・あるエネルギーの大きさで強い相互作用の結合強度が非常に弱くなるとすると、そのときエネルギーをさらに上げるとそれはより強くなるのか、弱くなるのか。この計算には摂動を使うことができる。

・結合強度がゼロへと動いていくような理論は「漸近的自由」理論と呼ばれる。

○自由の研究
・ヤン・ミルズ理論は漸近的自由をもつ理論だった。
・漸近的自由は強固に確立され、物理学者たちは強い相互作用を手なづけた。


○カラー対称性
・各クォークは二つの性質、フレーバーとカラーをもつ。
 フレーバー:アップ、ダウン、ストレンジ
 カラー  :赤、黄、青
・三つのブレーバーの各々は、三つのカラーをもち、全部で九つのクォークをつくる。

・異なるフレーバーのクォークは異なる質量をもつ。
・異なるカラーのクォークは厳密に同じ質量をもつ。
・対称性は、あるクォークの一つのカラーを同じクォークの別のカラーに移す変換に含まれる。


・ヤン・ミルズ対象性はクォークのフレーバーではなく、カラーによって変化する。この対象性のもとで三つの異なるカラーはたがいに変換される。→変換はSU(3)


・理論に含まれる八つのゲージボソンを「グルーオン」と呼ぶ。
・それらは、クォークを「にかわ」のようにくっつけて、ハドロンにする。
クォーク間の力は、グルーオンにより媒介される。
・この強い相互作用の理論は「量子色力学」と呼ばれる。


○自由と隷属
・漸近的自由は二つのクォークが高エネルギーで衝突したとき、量子力学的には二つが互いに非常に接近したとき、強い力が弱くなることを意味する。
クォークは互いに近づくほど、おたがいの影響から自由になり、クォークが近づくような強い相互作用の過程の計算には摂動法が使える。

・二つのクォークがたがいに離れていくと、結合強度はゼロから動くき、結合強度はどんどん強くなり、二つのクォークが互いに離れてしまうことはないと考えられている。
クォークハドロン内部に閉じこめられている。


○報復は完璧
・異なったフレーバーをもつクォークの質量は、強い相互作用により支配されるわけではない。
強い相互作用の本質は、アインシュタインやワイルにより生み出された幾何学の論理に関わるような対象性であるヤン・ミルズの対象性により支配されている。


○加法を学ぶ
・ある理論を調べるには、可能な経歴のすべての振幅を足し合わせなくてはならない。
・無限の数の振幅を足し合わせるには、理論の構造は、振幅が打ち消し合うようになっていなくてはならない。
・すべての振幅を足し上げたものが意味をもつようになるには、作用が特殊な性質をもつときだけ。


○私と同じように考えよ
・すべての振幅を加え上げることができる量子場理論は、「くりこみ可能」であるといい、採用しうる作用は三つか四つの形しかない。
→漸近的自由の探求は、ほんの一握りのくりこみ可能な理論だけを調べればよい。


・ヤン・ミルズ理論での振幅の加え合わせは可能で、ヤン・ミルズ理論は量子場の理論として意味をもつもの。