ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ホモ・デウス -テクノロジーとサピエンスの未来-

ユヴァル・ノア・ハラリ 「ホモ・デウス」メモ 

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

 

 ユヴァル・ノア・ハラリ 「ホモ・デウス」メモ


第1章 人類が新たに取り組むべきこと

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【まとめ】
・「飢餓、疫病、戦争」を克服した人類の課題は、テクノロジーを利用しての不死と幸福と神性の追究。
・21世紀の人類の第三のプロジェクトは、ホモ・サピエンスをホモ・デウスへとアップグレードするもの。
歴史学者が過去を研究するのは、過去から解放されるためであり、歴史を学ぶ目的は、私たちを押さえつける過去の手から逃れること。
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・何千年にもわたり、人々は同じ三つの問題を抱えていた
 飢餓、疫病、戦争
・今日では、三つの問題は対処可能な課題に変わった。


・三つの問題を克服しつつある今、人類が取り組むべき課題は何か?
<①不死と幸福と神性(老化と死そのものの克服)>
・21世紀には、人間は不死を目指して真剣に努力する見込みが高い。
・世界人権宣言:「生命に対する権利」が人類にとって最も根本的な価値であると宣
言している。
→死はこの権利を侵害するので、死は人道に反する犯罪であり、私たちは総力を挙げ
てそれと戦うべき。


・現代科学と文化の生と死の捉え方
→死は超自然的な神秘ではなく、解決するべき技術的な問題。
・死との戦いは今後1世紀間の最重要プロジェクトとなる可能性が高い。


<②幸福へのカギを見つけること>
エピクロスにとり、幸福の追求は個人的なものだった。
・現代の思想家は、それを集団的プロジェクトと見る傾向がある。
・ジェレミーベンサムは、至高の善は「最大多数の最大幸福」であると断言した。
・私たちは国に尽くすためにいるのではなく、国が私たちに尽くすためにある。


・物質的な成果だけでは、私たちの満足は長続きしない。
・人は簡単には幸せになれない。
・現代人のほうが古代人よりも満足しているかは明確ではない。
・真の幸福を達成するのは、老化や死の克服と比べ、楽ではない。


・幸福を支える二本の柱は、心理的なものと生物学的なもの。

・「心理的レベル」では、幸福は客観的な境遇よりも、期待にかかっている。
・平和で裕福な生活よりも、現実が自分の期待に添うものであるときに満足する。

・「生物学的レベル」では、私たちの期待と幸福の両方が、生化学的作用により決ま
る。
・外の世界に反応することはなく、自分の体内の感覚に反応しているだけ。
・人を幸福にするものは、だた一つ、体の中の快感。
・快感はたちまち冷め、不快感に変わる。
・生化学系は生存と繁殖を促す行動には快感で報いるが、その快感は束の間しか続か
ない。


・幸福が自分の生化学系で決まるとしたら、永続的な満足を確保するには、この系を
操作するしかない。
・生化学的な幸福追求は、しだいに加速しながら政治や社会・経済を作り変えていき
、ますます制御しにくくなる。


・快感は沸き起こったときと同様にたちまち消え、実際に快感を経験することなくそ
れを渇望している限り、満足しないままになる。
 ↓
●生化学的解決策
 快感の果てしない流れを人間に提供し、けっして快感が途絶えることのないように
できる製品や治療法を開発する。
ブッダの解決策
 快感への渇望を減らし、その渇望に人生の主導権を与えないようにすること。


・人間を神へとアップグレードするときに取りうる三つの道。
①生物工学
 遺伝コードの書き換え、脳の回路の再配線、生化学的バランスの調整
②サイボーグ工学
 バイオニック・ハンド、人口の目、ナノロボット
③非有機的な生き物を生み出す工学
 完全に非有機的な生き物


・何千年もの間、人間の心の奥底の構造は同じままだった。
・テクノロジーにより人間の心が作り直せるようになると、ホモ・サピエンスは消え
去り、人間の歴史は終焉を迎え、完全に新しい種類のプロセスが始まる。
・それは現在の人間には理解できない。


・21世紀の人類の第三のプロジェクトは、創造と破壊を行う神ような力を獲得し、
ホモ・サピエンスをホモ・デウスへとアップグレードするものになる。
・人類の新たな課題リストは、神性を獲得すること。
・「神性」とは、曖昧な超自然的特性ではなく、全能とも違う。
・私たちの子孫には、依然として短所や風変わりな点や限界があるが、彼らは私たち
よりも壮大なスケールで愛したり、憎んだり、創造したり、破壊したりできる。
・道具ではなく身体的能力と精神的能力で古代の神々に優る超人を創り出せるかもし
れない。
・サピエンスのアップグレードは、徐々に進む歴史的過程となる。


・治療とアップグレードの間に明確な境界線はない。
・どんなアップグレードも当初は治療として正当化される。
・いったん重要な大躍進を遂げたら、新しいテクノロジーの利用を治療目的に制限し
、アップグレードへの応用を完全に禁止することは不可能。


・新しいテクノロジーの使用に関してある程度の選択肢があるからこそ、今何が起こ
っているのかを理解し、自ら決断を下し、今後の展開のなすがままになるのを避ける
べき。


・行動に変化をもたらしない知識は役に立たたず、行動を変える知識はすぐに妥当性
を失う。
・歴史をよく理解するほど、歴史は速く道筋を変え、私たちの知識は速く時代後れに
なる。
・新たに得た知識のせいで、経済・社会・政治が前よりも速く変化する。
・知識の蓄積を加速させると、なおさら速く大きな変動につながり、現在を理解し、
未来を予想する能力は低下の一途をたどる。


歴史学者が過去を研究するのは、過去を繰り返すためではなく、過去から解放され
るため。
・歴史を学ぶ目的は、私たちを押さえつける過去の手から逃れること。


・人間至上主義は、ホモ・サピエンスの生命と幸福と力を神聖視する。
・不死と至福と神性を獲得しようとする試みは、人間至上主義の理想を突き詰めた場
合の論理上必然の結論。
・人間至上主義の台頭は、その凋落の種も妊む。