ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ホモ・デウス -テクノロジーとサピエンスの未来-

ユヴァル・ノア・ハラリ 「ホモ・デウス」メモ 

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

 

 

 ようやくホモ・デウスを読み終えた。生命工学、コンピュータ工学、サイボーグテクノロジー等の進化とそれらが導く人類の行く末が示されていて、刺激的な内容だったけれど、空恐ろしい感じもした。

 終盤の10章で語られた未来は、テクノロジーの力を借りて人間の頭脳や心をアップグレードしても、最終的にダウングレードされる結果になるかもしれないとのことだった。

 11章では、全知全能のアルゴリズムが神になり、人類は不要になってポアされるようなことが書いてあった。

 意図的に両極端な未来を描いているのだろうけど、どっちに転んでもろくなもんじゃねーな。

 両極端の未来の、ちょうど真ん中辺りにソフトランディングしてくれるのが望ましい未来かな。そのために何をどーすればいいかは、分からないけど...。

ユヴァル・ノア・ハラリ 「ホモ・デウス」メモ

 

第3部 ホモ・サピエンスによる制御が不能になる

第11章 データ教

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【まとめ】
・データ至上主義:どんな現象やものの価値もデータ処理にどれだけ寄与するかで決まる。
・人間は「すべてのモノのインターネット」を創造するための道具にすぎず、この任務が達成さ れたら消滅する。
・三つの重要な問い
 ①生き物は本当にアルゴリズムにすぎないのか?
  生命は本当にデータ処理にすぎないのか?
 ②知能と意識のどちらのほうが価値があるのか?
 ③意識をもたない、高度な知能を備えたアルゴリズムが、私たちよりも私たち自身のことをよく知るようになったとき、社会は政治や日常生活はどうなるのか?
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<データ至上主義>
・森羅万象がデータの流れからできている。
・どんな現象やものの価値もデータ処理にどれだけ寄与するかで決まる。


生命科学:生き物を生化学的アルゴリズムと考える。
・コンピュータ科学:高性能の電子工学的アルゴリズムを設計
  ↓
・データ至上主義はこれら二つをまとめ、生化学的アルゴリズムにも電子工学的アルゴリズムにも同じ数学的法則が当てはまることを指摘。
・データ至上主義は、動物と機械を隔てる壁を取り払う。
・ゆくゆくは、電子工学的アルゴリズムが生化学的アルゴリズムを解読し、それを超える働きをすることを見込む。


・データ至上主義は科学の聖杯を与える。
・聖杯:科学のあらゆる学問領域を統一する、単一の包括的な理論。


・従来、データは長い一連の知的活動のほんの第一段階と見なされていた。
・人間はデータを洗練して情報にし、情報を洗練して知識に変え、知識を洗練して知恵に昇華させるべき。


<データ至上主義者の見方>
・人間は膨大なデータの流れに対処できず、そのためデータを洗練して情報にすることができず、知識にすることもできない。
・よって、データ処理は電子工学的アルゴリズムに任せるべき。
・人間の知識や知恵に懐疑的で、ビッグデータとコンピューターアルゴリズムに信頼を置きたがる。


・データ至上主義が根ざす学問領域
 ①コンピューター科学
 ②生物学
・生物学がとりわけ重要。
・生物学がデータ至上主義を採用したから、コンピューター科学における限定的躍進が世界を揺るがす大変動になった。
・生命の本質そのものを完全に変えてしまう可能性が生まれた。


・さまざまな形の社会全体(八チの巣、バクテリアのコロニー、森林、人間の都市など)もデータ処理システムと見なされている。
・自由市場資本主義と共産主義も、本質的には競合するデータ処理システム。
・資本主義は分散処理を利用、共産主義は集中処理に依存。
・株式取引は、人間が創り出したデータ処理システムのうち、最速で高効率。
・資本主義が冷戦に勝ったのは、テクノロジーが加速度的に変化する時代には、分散型データ処理が集中型データ処理よりも優れていたから。


・民主主義と独裁制も本質的には、競合する情報収集・分析メカニズム。
・民主主義は分散処理、独裁制は集中処理を採用する。
・21世紀には、データ処理の条件が変化するにつれ、民主主義が衰退し、消滅する可能性もある。
・テクノロジーの革命は政治プロセスよりも速く進み、議員も有権者もそれを制御不可能。
・今後のテクノロジーの革命は、政治を出し抜く。
・テクノロジーの急速な進歩により、議会も独裁者も処理が追いつかないデータに圧倒されている。
・今日の政治家は壮大なビジョンを失い、政府はたんなる管理者になり果て、国を導くことはない。


・私たちの未来を市場の力に任せるのは危険。
・市場の力は、市場にとって良いことをする。
・市場の手は目に見えないだけでなく、盲目でもある。
・放っておくと、地球温暖化の脅威やAIの危険な潜在能力に関して何一つしないかもしれない。


・データ至上主義の視点に立つと、人類という種全体を単一のデータ処理システムとして解釈できる。
・一人ひとりの人間はそのシステムのチップの役割を果たすとすると、歴史全体は、次の4つの方法を通してシステムの効率を高める過程とみなせる。

 ①プロセッサーの数を増やす。
 ②プロセッサーの種類を増やす。
 ③プロセッサー間の接続数を増やす。
 ④既存の接続に沿って動く自由を増やす。


<第一段階>
・認知革命により、膨大な数のサピエンスを結びつけて単一のデータ処理ネットワークにすることが可能になった。
・人間というプロセッサーの数と種類の増加を伴い、互いの結びつきを犠牲にした。

<第二段階>
・農業革命とともに始まり、5000年前に書字と貨幣が発明されるまで続いた。
・人口の増加が加速し、人間というプロセッサーの数は急増した。
・かつてないほどの数のプロセッサーを含む、高密な局地的ネットワークが生まれた。

<第三段階>
・5000年前の書字と貨幣の発明とともに始まり、科学革命の始まりまで続いた。
・書字と貨幣のおかげで、人間集団どうしが緊密に結びつき、一体化して都市や王国を建設。

<第四段階>
・1492年ごろ始まった。
・全世界を網羅するような単一のネットワークが構築された。
・グローバルなネットワークの隅から隅まで、情報がますます自由に流れることができるようになった。


・人類は過去7万年間、まず拡散し、別々の集団に分かれ、最後に再び一体化した。
・人類が単一のデータ処理システムだとしたら、このシステムは何を出力するのか?
→データ至上主義者の答え:「すべてのモノのインターネット」
・新しい、さらに効率的なデータ処理システムの創造
・この任務が達成されたら、ホモ・サピエンスは消滅する。


・データ至上主義は、物事の正邪を決めると公言する宗教へと変わりつつある。
・この新宗教が信奉する至高の価値は「情報の流れ」。
・私たちはこの世界における情報の流れを深め、拡げるべき。
・人間は「すべてのモノのインターネット」を創造するためのたんなる道具にすぎない。
・「すべてのモノのインターネット」は地球という惑星から銀河系全体へ、そして宇宙全体にさえ拡がる。
・この宇宙データ処理システムは神のようなものになる。
・至る所に存在し、あらゆるものを制御し、人類はそれと一体化する定めにある。


<データ至上主義者の戒律>
①多くの媒体と結びつき、多くの情報を生み出し、消費することにより、データフローを最大化しなければならない。
②接続されることを望まない異教徒も含め、すべてをデータフローのシステムにつなぐこと。
・すべてとは、人間に限らずすべてのもの。(人間の体、自動車、冷蔵庫、ニワトリ、密林の木々など)


・データフローを妨げるのは最大の罪。
・データ至上主義者は、情報の自由を何にも優る善として擁護する。
・1789年以降、新しい価値を生み出した動きはデータ至上主義が初めてで、その新しい価値とは「情報の自由」。


・情報の自由は人間に与えられるのではなく、情報に与えられるもの。
・人間がデータを所有したりデータの移動を制限したりする権利よりも、情報が自由に拡がる権利を優先する。


・容赦のないデータの流れは、誰も計画も制御も把握もしていない。
・必要なのは、より多くのデータを効率良く処理し、データ処理システムがそれにアクセスするのを許すこと。
・データ至上主義者は、資本主義者が市場の見えざる手を信じるのと同様、データフローの見えざる手の存在を信じている。
・グローバルなデータ処理システムが全知全能になると、このシステムにつながることがすべての意味の源になる。
・人はデータフローと一体化したがる。


・人間至上主義:経験は私たちの中で起こり、私たちは起こることすべての意味を自分の中に見つけ、それにより森羅万象に意味を持たせなければならない。
・データ至上主義者:経験は共有されなければ無価値で、私たちは自分の中に意味を見いだす必要はなく、見いだせない。自らの経験を記録し、大量のデータフローにつなげさえすればいい。そうすればアルゴリズムがその意味を見い出し、どうすべきか教えてくれる。


・新しいスローガン:「何かを経験したら、記録しよう。何かを記録したら、アップロードしよう。何かをアップロードしたら、シェアしよう」
・私たちは自分自身やデータ処理システムに、自分にはまだ価値があることを証明しなければならない。
・価値は、経験することにあるのではなく、その経験を自由に流れるデータに変えることにある。


・人間のデータ処理システムをアップグレードしても、「すべてのモノのインターネット」が生み出す大量で急速なデータフローには対処できないかもしれない。
ホモ・サピエンスの消滅
・21世紀には、データ至上主義者が世界観を人間中心からデータ中心に変えることで、人間を主役から外すかもしれない。


・データ至上主義は、人間の頭では新しい支配者であるアルゴリズムを理解できないと断言する。
機械学習や人口ニューラルネットワークの台頭により、アルゴリズムが独自に進化し、自らを改善し、ミスから学習している。
アルゴリズムは成長するにつれて自らの道を進み、人間が行ったことのない場所、さらには人間がついていけない場所にまで行く。


・生命という視点で見ると、三つの相互に関連した動きに焦点をあてるべき。
①科学は一つの包括的な協議に収斂しつつある。生き物はアルゴリズムであり、生命はデータ処理であるという教義。
②知能は意識から分離しつつある。
③意識を持たない、高度な知能を備えたアルゴリズムが、私たちが自分自身を知るよりもよく私たちのことをしるようになるかもしれない。


・三つの動きは、次の三つの重要な問いを提起する。
①生き物は本当にアルゴリズムにすぎないのか?
 生命は本当にデータ処理にすぎないのか?
②知能と意識のどちらのほうが価値があるのか?
③意識をもたない、高度な知能を備えたアルゴリズムが、私たちよりも私たち自身のことをよく知るようになったとき、社会は政治や日常生活はどうなるのか?