独立型小電力ソーラー発電システムを作ろう
<第六回> -充放電コントローラについて調べてみる -
概要
思い付きで小電力のソーラー発電システムを作ることにして、これまでにシステム構成と自宅にある家電製品の消費電力、ソーラーパネル、バッテリー、インバータについて調べた。
1.第六回の目的
独立系太陽光発電に適した充放電コントローラについて調べる。
2.充電コントローラ
・太陽光発電に用いるバッテリーの過充電防止及び過電流防止、バッテリーからソーラーパネルへの逆流防止のため、電圧・電流の制御を行う充放電コントローラ(チャージコントローラ)が必要になる。
・充放電コントローラの種類や特性・価格について、下記サイトに掲載されていたので、抜粋して表6-1に示す。
表6-1 充放電コントローラーの制御方式
No | 制御方式 | 特性・価格 | 評価 | 備考 |
1 | MPPT(最大電力点追従)制御方式 | ・ソーラーパネルで発電した電力を最大付近でバッテリーへ出力する。 | 〇 | ソーラーパネルの発電電圧がバッテリー電圧よりも低い場合、自動で電圧を昇圧してバッテリーを充電する充電アルゴリズムをもつ。 |
変換効率 | 〇 | 90%以上 | ||
価格 | × | 高い | ||
2 | PWM制御方式 | ・ソーラーパネルの発電電圧がバッテリー電圧を超えると充電を始める。 | △ | パルス幅で電圧を制御するため、MPPT制御のような最大出力での充電機能はない。 |
変換効率 | △ | 75%程度 | ||
価格 | 〇 | 安価で広く普及。 |
・MPPT方式は高効率で高価、PWM方式は低効率で安価ということだ。
・設計とコストの兼ね合いでどちらにするか決めよう。
3.充放電コントローラの選定方法
・充放電コントローラの選定方法について、下記サイトに記載されていたので一部を抜粋する。
・充放電コントローラの選定には、負荷の仕様やバッテリー容量、ソーラーパネルの発電量を知る必要があり、設計に関わる部分も多いので、ここでは概略にとどめる。
<充放電コントローラの選定方法の流れ>
①想定される使用機器の消費電力と使用時間の算出
②蓄電側のバッテリー容量の決定
③バッテリー容量に応じたソーラーパネルの選定
④パネル発電量に応じたチャージコントローラー選定
4.実際の充電コントローラの諸特性
・密林で見つけたPWM方式とMPPT方式の充放電コントローラの諸特性を表6-2に示す。
表6-2 PWM方式及びMPPT方式充放電コントローラの諸特性
No | 項目 | 電菱製 PWM方式チャージコントローラ |
Zouminy製 MPPT方式チャージコントローラ |
1 | MPPT効率 | - | 99.5%以上 |
2 | 転送効率 | - | 96% |
3 | 制御機能 | 充放電 | - |
4 | システム電圧 | 12Vdc | 12Vdc |
5 | 最大入力電圧 | 25Vdc | - |
6 | 動作可能最低電圧 | 6Vdc | - |
7 | 太陽電池入力電流 | 10A | - |
8 | 負荷電流 | 10A | 10A |
9 | 自己消費電流 | 2mA(平均値) | - |
10 | 充電方式 | PWM | MPPT |
11 | 充電電圧 | 14.4V | - |
12 | 制限充電電圧 | - | 15.5-16V |
13 | バランス充電電圧 | - | 15-15.5V |
14 | フロート充電電圧(*1) | 13.7V | 13.2-14.0V |
15 | ブースト電圧 | - | 14-15V |
16 | フォトスイッチオフ電圧 | - | 5-11V |
17 | 光遅延 | - | 10 min |
18 | 過電圧保護 | 18V | 16-17V, 復帰:15-15.5V |
19 | 低電圧保護 | 警告:11.8V, エラー:11.5V, 復帰:12.5V |
エラー:9.8-11.8V, 復帰:12.0-13.0V |
20 | 過温度保護 | 警告:60℃, ラー:80℃, 復帰:60℃ |
電流制限:75℃?, 遮断90℃? |
21 | バッテリータイプ | 蓄電池 | - |
22 | 適合電線 | #12AWG~#18AWG | - |
23 | 接地 | プラス接地 | - |
24 | 温度補正 | -30mV/℃ | 0-44 |
25 | 動作温度範囲 | -20~+60℃ | -20~50℃ |
26 | 保存温度 | -30~+70℃ | -40~80℃ |
27 | 湿度 | 5~95%RH(結露なし) | 10~90%(結露なし) |
28 | 寸法 | 29 x 91 x55 (mm) | 193 x 185 x 80 mm |
29 | 重量 | 65g | 300g |
30 | 価格 | ¥3,100 | ¥10,769 |
(*1) 過充電防止のため、満充電になると電流が充電器内のバイパス回路を通ってバッテリーへの負担をゼロにする充電方式
5.次回の課題
次回は、設計(のまね事)を行いたい。