独立型小電力ソーラー発電システムを作ろう
<第七回> -設計のまねごとをしてみる -
概要
思い付きで小電力のソーラー発電システムを作ることにして、これまでにシステム構成と自宅にある家電製品の消費電力、ソーラーパネル、バッテリー、インバータ、充放電コントローラについて調べた。
1.第七回の目的
独立系太陽光発電の設計(のまねごと)を行う。
2.設計のまねごと
・太陽光発電システムとシステムを構成する機器について一通り調べたので、設計を行ってみることにする。
・下記サイトに設計方法が書いてあったので、参考にさせてもらう。
2.1 システム構成と設計パラメータ
・システム構成と①~㉙の設計パラメータを図7ー1、設計パラメータの詳細を表7-1に示す。
図7ー1 システム構成と設計パラメータ
表7-1 設計パラメータの詳細
No | 設計パラメータ | 備考 |
① | 機器の消費電力 | |
② | 1日平均使用時間 | |
③ | システム電圧 | |
④ | 一日あたり必要な電流量 | 【④=①x②/③】 |
⑤ | 出力補正係数 | 気象変化、太陽電池表面の汚れ・係年劣化による太陽電池出力の補正 |
⑥ | バッテリー充放電損失補正係数 | バッテリーの充放電効率(Ah効率)にともなう係数:通常0.95 |
⑦ | その他の補正係数 | 他にシステムとして動作させる上での損失。インバータの変換効率は0.75~0.85程度 |
⑧ | 1日の平均日照時間 | 一般的に1日あたりの平均日照時間は2.6~4.0時間 |
⑨ | 一日あたり必要な電流 | 【⑨=④/(⑤x⑥x⑦)/⑧】 |
⑩ | バッテリーの公称電圧 | |
⑪ | 鉛電池の満充電係数 | |
⑫ | 電圧ドロップ | |
⑬ | 太陽電池の最大電圧 | 【⑬=⑩x⑪+⑫】 |
⑭ | 最大出力動作電流(Ipm) | |
⑮ | 最大出力動作電圧(Vpm) | |
⑯ | 太陽電池の適用電圧 | |
⑰ | 無連続日射保証日数 | 太陽電池の発電がない状態で使用できる日数:通常3~5日 |
⑱ | バッテリーの保守率 | 充放電時の損失補正係数:鉛電池は0.8 |
⑲ | 放電深度 | 定格容量から放電できる割合:通常50% |
⑳ | バッテリー容量 | 【⑳=④x⑰/(⑱x⑲/100)】 |
㉑ | 太陽電池短絡電流 | |
㉒ | 使用する直流機器の合計 | |
㉓ | 充放電コントローラの太陽電池入力電流 | 【㉓=㉑/0.85】 |
㉔ | 充放電コントローラの負荷電流 | 【㉔=㉒/(③x0.85)】 |
㉕ | 交流出力 | |
㉖ | 交流電圧 | |
㉗ | インバータの変換効率(0.75~0.85) | |
㉘ | インバータの出力電流 | 【㉘=㉕/㉖】 |
㉙ | インバータの入力電流 | 【㉙=㉘x(㉖/(③x㉗))】 |
2.2 設計
<1.一日あたり必要な電流量>
・システムに接続する機器はノートPCとLEDスタンドで、第二回の電力測定結果と、約1ヶ月間の電力測定結果より①と②を得た。
① 機器の消費電力 : 30 W
② 1日平均使用時間: 3.5 時間
③ システム電圧 : 12 V
【④=①x②/③】
④ 一日あたり必要な電流量:9Ah
<2.一日あたり必要な電流>
⑤ 出力補正係数:0.85
(気象変化、太陽電池表面の汚れ・係年劣化による太陽電池出力の補正)
⑥ バッテリー充放電損失補正係数 :0.95
(バッテリーの充放電効率(Ah効率)にともなう係数)
⑦ その他の補正係数:0.8
(他にシステムとして動作させる上での損失。インバータの変換効率は0.75~0.85程度)
⑧ 1日の平均日照時間 :3.3 時間
(一般的に1日あたりの平均日照時間は2.6~4.0時間)
【⑨=④/(⑤x⑥x⑦)/⑧】
⑨ 一日あたり必要な電流:4.1 A
<3.機器を接続した状態で得られる太陽電池の最大電圧>
⑩ バッテリーの公称電圧 :12 V
⑪ 鉛電池の満充電係数:1.24
⑫ 電圧ドロップ : 0.7 V
【⑬=⑩x⑪+⑫】
⑬ 太陽電池の最大電圧 15.6 V
<4.太陽電池の選定>
⑭ 最大出力動作電流(Ipm) :4.1 A以上
⑮ 最大出力動作電圧(Vpm):15.6 V以上
⑯ 太陽電池の適用電圧 :12 V
・50Wのソーラーパネルで間に合うかと思っていたけれど、⑮の条件を満たすには、80Wのパネルが必要になるようだ。
(80Wのパネルで⑮の Ipm=4.4A程度、50Wのパネルでは Ipm=3A程度)
・システムの安定を考えなければ、50Wのパネルでも良いかもしれないけれど、自然相手なので設計マージンをとると、やはり80W以上のパネルが必要になるようだ。
<5.バッテリー容量>
⑰ 無連続日射保証日数:3 日
(太陽電池の発電がない状態で使用できる日数:通常3~5日)
⑱ バッテリーの保守率:0.8
(充放電時の損失補正係数:鉛電池は0.8)
⑲ 放電深度:50 %
(定格容量から放電できる割合:通常50%)
【⑳=④x⑰/(⑱x⑲/100】
⑳ バッテリー容量:66 Ah
・バッテリー容量は⑱の無連続日射保証日数で決まってきて、あまり大きな容量にしたくないので、現状は保証日数を3日で計算しているけれど、2日とか1日にしてしまうかな。
<6.充放電コントローラの選定>
㉑ 太陽電池短絡電流:7 A
㉒ 使用する直流機器の合計:30 W
【㉓=㉑/0.85】
㉓ 充放電コントローラの太陽電池入力電流:5.9 A
【㉔=㉒/(③x0.85)】
㉔ 充放電コントローラの負荷電流:2.9 A
<7.DC-ACインバータの選定>
㉕ 交流出力:30 W
㉖ 交流電圧:100 V
㉗ インバータの変換効率(0.75~0.85):0.8
【㉘=㉕/㉖】
㉘ インバータの出力電流:0.3 A
【㉙=㉘x(㉖/(③x㉗))】
㉙ インバータの入力電流:3.1 A
3.考察
・ソーラーシステムに接続するのは50W程度の機器なので、パネルやバッテリーはできるだけ小さいものにしたかったけれど、設計してみると最初の想定よりも少し大きいものが必要になりそうだ。
4.次回の課題
・設計結果をもとに、懐と相談しつつシステムを構成する機器の選定を行いたい。