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ワープする宇宙

リサ・ランドール/監訳 向山信治 訳 塩原通緒 「ワープする宇宙」メモ  

リサ・ランドール  監訳 向山信治 訳 塩原通緒

「ワープする宇宙」メモ

 

Ⅲ部 素粒子物理学

第13章
超対称性 ー 標準モデルを越えた跳躍
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【まとめ】
・超対称性はボソンとフェルミオンを入れ替える対称変換で、自然界に存在する対称性かどうかは仮説の域。
・超対称性が実在するならそれは破れているが、すこしくらい破れていても、階層性問題を解決できる。
・超対称性が破れている理論では、その相互作用が電子数とミューオン数を変えることがあり、実験結果と矛盾する。
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・超対称性:ボソンとフェルミオンを入れ替える対称変換
・超対称性は実際にこの世界で発見されてはいない。
・自然界に存在する対称性かどうかは仮説の域。


・超対称性がこの世界に存在するかもしれないと考えられる二つの理由。
①超ひも:超対称性を組み込んだ超ひも理論は、標準モデルを生むことができる唯一のひも理論。
②超対称理論が階層性問題を解決できる可能性をもつこと。
 ヒッグス粒子の質量に対する多大な量子補正を排除できる。


フェルミオンとボソンーありそうもない組み合わせ
・超対称性の世界では、既知の粒子すべてに対となる別の粒子がある。
・別の粒子:それぞれの超対称パートナーで、スーパーパートナーとも呼ばれる粒子
・お互いが超対称変換により入れ替えられる。
・超対称変換はフェルミオンをそのパートナーのボソンに変え、ボソンをそのパートナーのフェルミオンに変える。


フェルミオンとボソンはそのスピンにより区別される。
フェルミオン半整数のスピンをもつ
・ボソン:整数のスピンをもつ
・超対称性は、これらの粒子の理論的記述の特徴。
・この対称性は、その入れ替える対称が明らかに別々の性質をもつ。
・ボソンとフェルミオンが同じ数だけ存在するなら、この対称性も存在する可能性がある。
・対になるボソンとフェルミオンは互いに同じ質量と荷量をもち、それぞれの相互作用も同じパラメータにより支配されなければならない。
・それぞれの粒子は自分と同じ性質をもつスーパーパートナーが必要。


・超対称性は異なるスピンの粒子を交換する。
・スピンが異なるので、粒子は空間内で回転したときの変換のされ方が異なる。
・超対称変換はこの違いを補うため、空間と時間を必要とする。


●超対称性を含めた標準モデルの拡張
・超対称性が説得力をもつのは、これが既知の粒子どうしを対にしている場合。
・そうなるには標準モデルに同数のボソンとフェルミオンが含まれていなければならない。
 →標準モデルはこの条件を満たしていない
・この宇宙が超対称であれば、数多くの新しい粒子が含まれている。
・宇宙には実験で観測されているより、2倍の数の粒子が含まれていなければならない。


●超対称性と階層性問題
・超対称性を取り入れた標準モデルの拡張版の強み
 →粒子とスーパーパートナーの双方からの仮想の寄与があれば、超対称性によりヒッグス粒子の質量に対する多大な量子補正がなくなり、軽いヒッグス粒子をありえなくする原因もなくなること。
・超対称理論では、ボソンとフェルミオンそれぞれの相互作用がかならず相関関係にあり、そのような相互作用しかありえない。
・そこからくる制約のため、超対称理論には粒子の質量に対する多大な量子補正の問題が生じない。


●破れた超対称性
・超対称性の問題:この世界は超対称ではない。
・スーパーパートナー粒子は見つかっていない。


・粒子とそのスーパーパートナーの質量を同じでなくすることにより、超対称性を破ることができる。
・粒子とそのスーパーパートナーとの質量差は、超対称性の破れの度合いを示す。
・超対称性の破れのモデルは、スーパーパートナーの質量を既知の質量よりも大きく与えている。
・超対称性が存在し、かつスーパーパートナーが実験の検出にかからないとすれば、すべてのスーパーパートナーは数百GeVの質量をもつ。


●破れた超対称性とヒッグス粒子の質量
・超対称性が実在するなら、それは破れている。
・超対称性が破れていると、仮想粒子による量子補正が厳密に打ち消されなくなる。
ヒッグス粒子の質量に対する量子補正が大きくならない限り、標準モデルは微調整なしですませられ
る。
・超対称性はすこしくらい破れていても、仮想のエネルギーを帯びた粒子から巨大なプランクスケール
質量の補正を排除できるだけの効力がある。


●超対称性ー証拠を査定する
・超対称性が加わると、電磁気力、弱い力、強い力は厳密に統一されるように見える。


ダークマター:宇宙全体に広がる光を発しない物質
・宇宙のエネルギーの1/4がダークマターに蓄えられいるとしても、それが何であるかは不明。
・超対称性粒子が崩壊せず、望ましい質量と適度の相互作用をもつなら、これは理想的なダークマターの候補。


・フレーバー問題が超対称性の破れの理論にとって大きな障害。
・標準モデルのフェルミオンのフレーバーは三つの異なる世代に属する。
電荷は同じで質量が異なる三種類のフェルミオン
 例)アップ/チャーム/トップクォーク
   電子/ミューオン/タウ
・標準モデルでは、これらの粒子のアイデンティティは不変。
・ある種類にレプトンアイデンティティを表現するのに、電子数やミューオンが保存されるという言い方をする。
ミューオン数と電子数が保存されていれば、ミューオンは電子と光子に崩壊できない。
・どんな粒子の相互作用でも電子数とミューオン数は保存する。


・超対称性が破れている理論では、超対称性の相互作用が電子数とミューオン数を変えることがある。
 →実験結果と矛盾

・超対称性の破れの理論は、フレーバーを変える相互作用がひんぱんに起こらない理由をどう説明するかという困難な課題がある。