ジェフ・ホーキンス 著 大田直子 訳「脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論」メモ
ジェフ・ホーキンス 著 大田直子 訳
「脳は世界をどう見ているのか」メモ第2部 機械の知能
第8章 なぜAIに「I」はないのか
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【まとめ】
・現在のAIシステム(人口ニューラルネットワーク)は特定用途に特化していて、柔軟性に欠けるため、真に知的ではない。
・汎用人工知能(AGI)は、新しい課題をすばやく学習し、異なる課題間の類似性を理解し、新しい問題を柔軟に解決する。
・AIGを実現するには、脳がやるように地図に似た座標系を使い、世界のモデルを学習する必要がある。
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・現在のAIの主流:人工ニューラルネットワーク、ディープラーニング(深層学習)
・現在のAIシステムは真に知的ではない。
・人間はたえず学習する。
・つねに世界のモデルを修正している。
・深層学習ネットワークは、十分に訓練してからでないとデプロイできない。
(デプロイ:実際の運用環境で利用できる状態にすること)
・いったんデプロイされると、新しい事柄を学習することができない。
・人間はたくさんのことができるのに、AIシステムはひとつのことしかできない。
→柔軟性がない
・AI研究の長期的目標:人間のような知能を示す機械をつくること
新しい課題をすばやく学習、
異なる課題間の類似性を理解、
新しい問題を柔軟に解決
→汎用人工知能(AGI)
・深層学習では真の知的機械を生み出す道にはつながらない。
・別のアプローチが必要
★AGIへの二つの道
・AI研究者が知的機械をつくるためにたどってきた道は二つある。
①特定の課題でコンピュターが人間をしのぐことに重点を置いている。
重要なのは、最高の人間よりもうまくこなすことだけ。②柔軟性に重点を置くこと
多くのことを行い、ひとつの課題から学習することを別の課題に応用できる機械をつくること。
・②の道は難しすぎることが判明している。
・日常の知識をコンピューターにプログラムする方法、コンピューターにこうしたことを学習させる方法も、AI研究者には突き止められなかった。
・知識の難しいところ:事実を述べることではなく、その事実を有益な方法で表現すること。
・世界は複雑で、事物の数も事物間のつながりの数も多い。
・この問題は知識表現と呼ばれる。
・コンピューターで日常的な知識を表現する方法が解決されるまで、真の知的機械をつくることはできない。
・現在の深層学習ネットワークには知識がない。
・この先も5歳児の能力をもつようにはならない。
・脳がやるように世界をモデル化しないなら、どんな深層学習ネットワークもAGIの目標を達成しない。
★AIの手本としての脳
・脳の仕組みを理解しなければ、知的機械をつくることはできない。
・知識は言葉やルールに保存されていない。
・知識とはモデル。
・AIGは新皮質と同じように、地図に似た座標系を使い世界のモデルを学習する。
★AIソリューションは専用から万能へ
・いま構築されているAIシステムは、設計どおりの課題を最もうまくこなせるもの。
・将来的にほとんどの知的機械は万能になる。
・人間と同じように何でも学習できる。
★何かが知的なのはどういうときなのか?
・機械が知的だとされるために満たすべき基準はあるか?
→脳
1たえず学習する
どういうことか? 生涯、目が覚めているあいだ、つねに学習している。
なぜ重要か? 変化する条件と新しい知識にたえず適応することが必要。
脳はどう実現するのか? ニューロンは新しいものを学習しても、以前学んだものを忘れたり修正したりしなくてよい。
2 動きによって学習する
どういうことか? 動くことによって学習する。
なぜ重要か? 知能は世界のモデルを学習する必要がある。世界のすべてを一度に感知できないため、動きが学習に必要。
脳はどう実現するのか? 動きがあるたびにコラムは次の入力が何か予測し、予測することでモデルを試して更新する。
3 たくさんのモデルをもつ
どういうことか? 新皮質の何万もの皮質コラムが物体のモデルを学習する。
なぜ重要か? 新皮質の多モデル設計が柔軟性を生む。
脳はどう実現するのか? コラムは自分たちがどんな物体を感知しているのかについて、投票することができる。
4 知識を保存するのに座標系をつかう
どういうことか? 脳内で知識は座標系に保存される。思考が起こるのは、脳が座標系内の位置を一カ所ずつ活性化
し、関連する知識が読み出されるとき。
なぜ重要か? 知的であるには、機械は世界のモデルを学習する必要がある。モデルには物体の形態、かかわり合う
とどう変化するか、互いに対してどこにあるか、といった情報を表現するのに座標系が必要。
脳はどう実現するのか? 各皮質コラムは独自の座標系一式を確立する。
★座標系の例
・ほとんどの人工ニューラルネットワークには、座標系に相当するものが
ない。
・汎用の知能には、さまざまな種類の問題に応用できる汎用の座標系が必要。
・機械が仕事をどれだけうまくこなすかでは、知能のあるなしを判断できない。
・機械がどうやって世界についての知識を学習して保存するかで、知能は決まる。
・人間が知的なのは、ひとつのことを特別うまくできるからではない。
ほぼどんなことでもやり方を学習できるから。