ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足

ジェレミー・デシルヴァ 著  赤根洋子 訳「直立二足歩行の人類史」メモ

「直立二足歩行の人類史」メモ

第1部 二足歩行の起源
第3章 「人類が直立したわけ」と二足歩行に関するその他の「なぜなぜ物語」
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【まとめ】
チンパンジーボノボを含むすべての類人猿は時々二足歩行する。
・進化論により予測されるのは、ヒトは類人猿と共通の祖先を持つこと。
・二足歩行が人類の祖先にとり自然選択的に有利だった理由は一つではなく、さまざまな利点の集まり。
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★防衛? 採食? 水生?
・ヒト以外のほ乳類で時折にせよ二足歩行する種のほとんどは霊長類(キツネザル、サル、類人猿)。
チンパンジーボノボを含むすべての類人猿は時々二足歩行する。
・二足歩行の頻度がどのような条件下で他の霊長類の「時折」からヒトの「常時」へと変わったのか。


・ほ乳類において、二本足で立ち上がる動作はまれな現象ではない。
・多くのほ乳類が周囲の様子をうかがうために後肢で立ち上がる。
・覗き見仮説:人類の祖先が直立姿勢を発達させたのは、サバンナを見渡して補食者から身を守るためだった。
・直立姿勢で捕食者の存在に気づいたとしても、二本足で走るのは四本足でギャロップするよりずっと遅い。


・自分を大きく見せるために立ち上がった?
・生き残ってより多くの子孫を残すのに有利だった?
・直立姿勢は採食の際に役立った?
・水生類人猿説:ホミニンの二足歩行は水中で発達した
 人間はそれほど泳ぎが得意でないのが致命的


★仮説、仮説、また仮説
・人類の祖先はなぜ立ち上がり、二足で歩くようになったのか?
→誰にもわからない


・ヒトに最も近縁の現生種はアフリカの類人猿。
・最もヒトに近いのはチンパンジーボノボで、ゴリラが次、オランウータンはその次。
・ヒトはチンパンジーボノボから進化したわけではない。
・彼らはヒトの近縁種であり、祖先ではない。
・進化論により予測されるのは、ヒトは類人猿と共通の祖先を持つこと。

・共通祖先はどんな類人猿だったのだろう?


★祖先はなぜ立ち上がったか
・ヒトとチンパンジーが共通祖先から枝分かれ:600万年前


・アフリカ大陸では中新世から(千五百万~千万年前)乾燥が進み、季節により差が激しくなった。
・東アフリカに森林は次第に断片化し、草原が拡大していった。
・ホミニンの二足歩行は、広大な森林地帯から小さな森の点在するサバンナへ移行しつつあった環境下で発達した。
・なぜ二足歩行が有利だったかは分からない。


<仮説1>-----
・直立姿勢のほうが草原で涼しく暮らせたから?
・ほとんどの動物は夜間・明け方・夕暮れ時に活動、昼間は日陰を求める。
・人類の祖先は日陰をめぐる競争で肉食獣やほかのほ乳類に太刀打ちできなかったかもしれない。
・直立姿勢で移動する個体のほうが日光を受ける体表面積を減らすことができた。
・微風の当たる体表面積の増大で、発汗により効率的に身体を冷やせるようになった。


反論:ホミニンが二足歩行し始めたのは、暑さに対処せざるを得なくなる前のことだった可能性が高い。
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<仮説2>-----
・エネルギー消費に関係。
・人間は1マイル(約1.6km)歩くとおよそ50キロカロリー消費する。
・これはレーズン一掴み程度のカロリー。
→二足歩行は並外れてエネルギー効率のよい移動方法。
チンパンジーは二本足か四本足で歩くかにかかわらず、人間の2倍のエネルギーを消費する。
・二本足のほうが厳しい時代を生き延びるのに有利だった?


反論:チンパンジーのほうが人間よりも消費エネルギーが大きいのは、膝と腰を屈めた歩き方のせい。
二足歩行が効率よい歩き方になったのは、ホミニンが膝を伸ばした完璧な二足歩行をマスターしたあと。
最初から二足歩行のほうが四足歩行よりエネルギー効率がよかったわけではない。
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★運ぶため?
チンパンジーは大好物を抱えているときに二本足歩行する。
・両手いっぱいに餌を抱え込んでいるため、二本足で立って歩くしかない。


・自然選択のターゲットはメスとその子ども。
・ある形質がメスとその子どもに利益をもたらさなければ、それが進化の推進力を得る可能性はない。
・初期ホミニンのメスは日中、植物や小動物を採集していた。
・ホミニンのメスは自分が必要とする以上の食べ物を収集し、それを群の他のメンバーと分け合っていた。
・分け合いと協力の重視は、より社交的で非攻撃的なオスをメスが選ぶことにつながった。


・ボミニンのメスは棒を使い塊茎や根茎を堀り出し、だっこひもを使い赤ん坊を抱いていた。
・テクノロジーは初期の時代から存在し、女性により発明された。
ボノボやチンパージーでは、メスのほうがオスよりもテクノロジーに長けている。


・運ぶことは二足歩行発達の第一の推進力だったかもしれないが、二足歩行がもたらした利点は他にもある。
・敵を威嚇したり肉食獣にものを投げつける、餌場から餌場へ効率的に移動可能
→二足歩行が人類の祖先にとり自然選択的に有利だった理由は一つではなく、さまざまな利点の集まり。