ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足

ジェレミー・デシルヴァ 著  赤根洋子 訳「直立二足歩行の人類史」メモ

「直立二足歩行の人類史」メモ

第1部 二足歩行の起源

第4章 ルーシーの祖先
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【まとめ】
・ルーシーは人類とチンパンジーとの共通祖先と現世人類の中間地点に位置し、二足歩行していた。
・脳が大きく発達したのはかなり後になってからだったのに対し、二足歩行の出現はもっと昔だった。
・人類の起源と直立二足歩行の起源は、これまでの鮮新世(530万~260万年前)から中新世後期(1060万~530万年前)までさかのぼる。
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ミッシングリンクの概念:人間でも類人猿でもなく、その両方の性質を備えた動物がいた証拠が化石記録から見つかることを想定。


ホモ・エレクトス:二足歩行し、脳容量は人間とチンパンジーのほぼ中間で、これぞミッシングリンク
ホモ・エレクトスの化石はアフリカ、アジア、ヨーロッパ各地で数十個発見された。
・現世類人猿と現世人類の中間的生物がかつて地球上に存在した。
・類人猿とヒトをつなぐ環はたしかに存在した。


ホモ・エレクトスネアンデルタール人も現世人類と同じような足をもち、二本足で直立していた。


★ルーシー
・ルーシーと名付けられたホミニンの化石は、1974年エチオピアで発見された。
アウストラロピテクスの新種で、アウルストラロピテクス・アファレンシスと命名された。
・ルーシーはメスで二足歩行していた。


・頭を見れば歩き方が分かる。
・すべての動物の頭蓋骨には大後頭孔という、脊髄を通すための穴がある。
・四本足で歩く動物の大後頭孔は、水平な脊髄と頭が一直線になるように頭蓋骨の後部に位置している。
・人間の場合、頭が垂直な脊髄の上で平衡を保てるよう、大後頭孔は頭蓋骨の底部に開いている。


アウストラロピテクス・アファレンシスの大後頭孔の位置は現代と同じで、頭蓋骨底部にある。
・ルーシーの仲間たちは、垂直な頭蓋の上に載った頭をまっすぐ上げて歩いていた。


・ヒトの脊柱は、歩き始めると変化し、S字カーブを描くようになる。
・このカーブのおかげで胴体と頭が腰の上でバランスを保てる。
・脊柱の根元のカーブが重要で、腰のくびれを生み出し、二足歩行する人類特有のもの。
・ルーシーの脊柱は現代人と同じようにS字カーブを描く。


・ヒトの骨盤はチンパンジーのものより丈が短く横幅が広く、お椀型をしている。
・ヒトの臀筋は体側に固定されている。
・足を踏み出すときにこれらの筋肉が収縮し、ヒトは左右にぐらつかずに身体をまっすぐに保ことができる。
・お尻の筋肉にこのような働きができるのは、ヒトの骨盤の形のおかげ。
・ルーシーの骨盤はわれわれの骨盤を小さくしたような形。


・身体の中で最も長い骨、大腿骨は新生児のときは真っ直ぐ。
・赤ん坊が歩き始めると、下向きの圧力により大腿骨は内側に傾いて成長する。
・この傾きは二本足で歩く人にしか現れない。


・ヒトの足の親指は非把握性で、他の四本の指と同じ向きに並ぶ。
・長くて堅い、アーチを持った足底とあいまり、次の一歩を踏み出す力を生む。
・ヒトの足指は短く、地面を蹴り出すときに反り返る。
・類人猿の足指が長く、ものをつかむために下向きに曲がるのと対照的。
・ルーシーの足の骨は驚くほどヒトに近い。


・進化史の非常に早い段階から、人類は二足歩行していた。


★彼女が教えてくらたこと
・ルーシー以前には、頭と身体が両方揃った状態のホミニンの骨格化石が発見されたことはなかった。
・類人猿とヒトの中間的な大きさの脳をもち、前屈みで類人猿とヒトの中間的な歩き方をする初期人類は存在しなかった。
・脳が大きく発達したのはかなり後になってからだったのに対し、二足歩行の出現はもっと昔だった。


・ルーシーが死んだのは、322万年前から318万年前までの4万年のある時点。


★ルーシーの祖先を探せ
・人類はおよそ600万年前にチンパンジーボノボとの共通祖先から枝分かれした。
・ルーシーが生きていたのは318万年前。
・ルーシーは人類とチンパンジーとの共通祖先と現世人類の中間地点に位置している。


アウストラロピテクスと人類の最初の祖先との間には300万年近い隔たりがある。


ケニアで420万年前の地層からアウストラロピテクスの脛骨が発見された。
・膝は大きく平らで、足首の形状は現世人類ににていた。
→二足歩行するホミニン
・二足歩行の始まりはさらに遠い過去にさかのぼることが明らかになった。
・それでも、チンパンジーとの共通祖先までは200万年のギャップがあった。


・2001年~2002年のアフリカでの発掘で、人類の起源と直立二足歩行の起源は、これまで鮮新世(530万~260万年前)と考えられてきたものが、中新世後期(1060万~530万年前)までさかのぼることになった。


・2000年末、ケニアの600万年前の地層からオロリン・トゥゲネシスと命名された化石が発掘された。
・腕の骨の筋付着部や湾曲した長い指は、オロリンが樹上生活に適応していたことを示唆。
・オロリンの大腿骨頸部はヒト同様に長く、二足歩行の能力があった。
・オロリンの股関節は、地面を二本足で歩くのに適応したいたと考えられる。
・オロリンの化石の所在は分からなくなっている。


★古人類学のダークサイド再び
アルディピテクス・カダバの化石がエチオピアの600万~500万年前の地層から発見された。
・アルディピクス・カダバもオロリンと同じく中新世のホミニン。
・犬歯が比較的小さいため、アルディピクス・カダバは人類の系統に属すると考えられる。
・おそらく二足歩行できた。


・サヘラントロプス・チャデンシスの頭骨は700万~600万年のもの。
・脳の大きさはチンパンジーと同じくらい。
・顔と後頭部はゴリラに似ていた。
・サヘラントロプスの犬歯は比較的小さかった。
・これは人類の祖先の特徴。
・大後頭孔はヒトと同じ位置とされた。
・化石そのものや関連する情報は公開されずじまいとなっている。