ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足

ジェレミー・デシルヴァ 著  赤根洋子 訳「直立二足歩行の人類史」メモ

 

<関連動画>

www.youtube.com

 

ジェレミー・デシルヴァ 著  赤根 洋子 訳
「直立二足歩行の人類史」メモ

第2部 二足歩行の起源
第6章 太古の足跡
----------------------------------------------------------------------------------
【まとめ】
アウストラロピテクスは現生人類とよく似た足をもち、背筋と膝を真っ直ぐ伸ばして二足歩行していた。
・ヒト以外の動物ははわれわれのように道具に依存しておらず、道具への依存は、二足歩行により手が解放された直後に始まった。
・省エネの二足歩行による余剰エネルギーが脳の大きな消費エネルギーを補充し、社会的手段の発達が脳がゆっくり成長するのを可能にした。
----------------------------------------------------------------------------------

★奇跡の足跡
タンザニアのラトエリで54個のホミニンの足跡が発掘された。
・足跡は二本の平行線に沿って並んでいた。
・三人ない四人が一緒に北に向かって歩いていたように見える。
・一人の足跡が左側に、それよろ大きいもう一人の足跡が右側に並ぶ。
・三人目の足跡は、大きい方の足跡のすぐ側に点々と続く。


・足跡の特徴はアルストラロピテクス・アファレンシスの骨の化石から推測される特徴と一致。
・彼らは踵から着地し、足の親指は他の指と同じ方向に並んでいる。
・彼らの足には土踏まずもあった。
 →アウストラロピテクスはわれわれとよく似た足をっていた。
  われわれと同じような歩き方をしていた。
アウストラロピテクスチンパンジーのような屈み込んだ姿勢で歩いていなかった。
・彼らは背筋と膝を真っ直ぐ伸ばして歩いていた。


★われわれの再発見
・360万年以上前に生きていたアウストラロピテクス属の古い種は、現世人類とよく似た方法で二足歩行していた。
・日中は地面を二本足で歩き、生き延びるために食べ物を探した。


★二足歩行と石器。
・オルドバイ渓谷で数百個の石器が発見された。
・これらの石器を生み出した文化を「オルドワン文化」と名付けた。
・これらの石器は、180万年前のもの。
・石器の作り手はアウストラロピテクスより少し大きな脳と少し小さな犬歯を持つホミニン。→ホモハビリス(「器用なヒト」)


・2011年、ケニアのロメクウィででホミニンが作った化石が150個発見された。
・オルドバイの石器よりも大きく、ずっと単純だった。
・大きな石と石を打ち合わせ、はがれ落ちた鋭い破片を石器として使っていた。
・これらの石器は330万年前の凝灰岩層に挟まれていた。
・石器づくりを始めたのはホモ・ハビリスではなく、アウストラロピテクスだった。


・ディキカでアウストラロピテクスの女児の部分骨格が発見された。
・「ディキカ・チャイルド」は二本足で歩いていた。
・足の親指はヒトよりも可動性に富んでいた。
・同じ地層からレイヨウの骨の化石も発見されたが、それには鋭い石で意図的に傷をつうけた跡があった。
・小柄なアウストラロピテクスにはレイヨウのような大型動物を狩る能力はなかった。
・こうした傷は、彼らが鋭い石を使い、死んだ動物から肉をこそげ取っていたことを示す。


・道具はゲームチェンジャー。
・どんな文化も道具を使用する。
・われわれの身体はテクノロジー抜きには成り立たない食生活と生き方に生物学的に適応している。
・最初の常習的二足歩行者にして石器テクノロジー利用者であるアルストラロピテクスから始まった。
・二足歩行により、手は移動手段としての働きから解放。
・自由になった両手は石と石を打ち合わせ、ものを切る道具を作り出すことができるようになった。
・ものを切る道具の使用で、ホミニンはそれまで入手できなかった食物を口にできるようになった。
→食生活の改善でもたらされたエネルギーの増大が、人類を太陽系の果てへ進出させることになった。


・道具を使用する動物はいるが、ヒト以外の種はわれわれのように道具に依存していない。
・道具への依存は、二足歩行により手が解放された直後に始まった。

・ラトエリの足跡は、報告されているアウストラロピテクスの石器使用の最古の証拠より25万年古い。
アウストラロピテクス属の最古の種のものとされる420万年前の脛骨はヒトのそれに非常に近い。
・二足歩行の開始と石器使用との時間的隔たりは少なくとも80万年。

・二足歩行と石器使用はほぼ同時に始まった、というダーウィンの考えは、一時考えられていたよりも正解に近い。


★二足歩行と育児
・二足歩行により祖先は新たな難題に直面した。
チンパンジーは1頭で出産し、群のほかのメンバーに子どもを触らせることは滅多にない。
・人間の出産は助産婦が立ち会い介助する社会的イベント。
・子どもを育てるには村全体の協力が必要。
・他者が子育てを手伝う行為が成立するためには、相互の信頼や協力、持ちつ持たれつの関係が必要。
・ルーツはアウストラロピテクスが二本の足で歩いていたことにより直面した問題の解決法にあった。


★二足歩行と脳
・二足歩行への移行で、ホミニンは逃げ足が遅くなった。
・当時のアフリカには大型肉食獣がうようよしていた。
・霊長類は現在、大きな群を作ることでこのような脅威に対処。


・われわれの祖先が生き残るために選んだのは、肉食獣が活動的になる時間帯、夕暮れ時、夜、夜明け前には地上に下りないようにすること。
アウストラロピテクスは昼間活動していたに違いない。


・人間はあらゆるものを食べる。
・雑種へのシフトは人類進化のごく初期に始まった。
・食べ物のえり好みをする余裕はなかった。


アウストラロピテクスが食べていたものの大半は草原由来。
・どうやって赤道直下の暑さをしのいだのか?
アウストラロピテクスの時代に体毛が薄くなった。
・体毛が薄くなり、肌が大気にさらされるにつれ汗腺も発達し、体温もさげられるようになったのかもしれない。


・最初期のホミニンの脳容量はおよそ375立方センチメートル。
・ルーシーの時代までには450立方センチメートルへ増加。
・それでも厳正人類の三分の一。
・容積が1.2倍になった。
・脳の重さは体重の2%に過ぎないが、摂取エネルギーの20%を消費する。
チンパンジーが歩行する際の消費エネルギーは人間の2倍。
・移動するだけで大量のエネルギーを消費するため、類人猿には大きくなった脳に振り向けるエネルギーの余裕がない。
アウストラロピテクスは二本足で歩き、木に上る頻度が減ったことにより、余剰エネルギーが生まれた。


・人間の脳のほうがチンパンジーのそれよりも大きい理由
①人間の脳のほうが成長速度が遅い。
②脳の成長期間も人間のほうが長い。

・ディキカチャイルドの化石より、アウストラレピテクス・アファレンシスの脳が人間の脳と同様、長い時間をかけて成長することが判明。
・強い捕食圧を受ける動物の場合、自然選択は早熟な個体に有利に働く。
・滅多に捕食されない動物(ゾウやクジラ、現代人)だけがゆっくりと成長し、長い子ども時代を過ごすことを許される。
アウストラロピテクスの脳の成長がゆっくりだったことは、彼らが捕食を逃れる手段(社会的手段)を発達させたことを示す。
・協力し合うことで捕食者から身を守った。


アウストラロピテクスの脳容量は450立方センチメートルで頭打ち。
・100万年以上の間変わらなかった。
・二足歩行の発達は、ダーウィンが思い描いたほどには石器技術や脳容量の増加と連動しなかった。