ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足

ジェレミー・デシルヴァ 著  赤根洋子 訳「直立二足歩行の人類史」メモ

 

 直立二足歩行の人類史を読み終えた。

 

 昔習った、チンパンジーのナックルウォーク(親指を後ろにむけて手の甲を地面につけて歩く)から、だんだんと直立二足歩行に進化したという、人類進化の行進図は間違いのようで、進化の向きが逆だということだ。

 人類と大型類人猿(チンパンジー、ゴリラなど)には、600万年前に共通の祖先がいて、その祖先の化石を調べると、ご先祖様たちは既に二足歩行していたようだ。

 人間の二足歩行そのものは、その当時からは基本的に変わらず(細かいチューニングはされているが)、チンパンジーやゴリラが二足歩行からナックルウォークへ進化したのが正解のようだ。

 人類進化の行進図の向きが逆だったということを知らず、ぼーっと生きてきたから驚いた。

 

 二足歩行は四足歩行と比べると動きが遅すぎて、四足歩行動物とフィジカルで勝負することだけを考えたら、明らかに進化の失敗だったと思われる。

 二足歩行には、そのフィジカルの弱さを補って余りある利点があったため、人類は絶滅せずにここまで生き残ってきたようだ。

 

 二足歩行は四足歩行と比べるとエネルギー効率が良く、エネルギー消費量の多い脳を養う余裕があったため、知性の発達につながったようだ。

 二足歩行の身体的構造上、メスは一人で出産できず、赤ん坊も一人では何もできない状態で生まれてくるので、社会性を発達させることができたようだ。

 二足歩行の人間は声(言葉)でコミュニケーションを行うことができるが、四足動物は声を制御しながら持続的に発することが難しく、人間のように話すことはできないとのことだ。

 

 人類は社会性と知性を生かし、仲間と協力し合うことでフィジカルの欠点を克服し、科学技術を発達させて重力圏を脱出することまでやってのけ、全地球の存亡を左右するほどの存在にまでのし上がったということか。

 人間は利己的かと思えば、時には利他的で、平和的な面と残虐な面を持ち合わせ、これから先も矛盾をかかえつつ、互いに核兵器を突き付け合って平和に?生きて行くのかな(狂人プーチンのおかげで第三次世界大戦勃発 ⇒ 地球の歴史しゅーりょー にならないことを願いたい...)。

 

ジェレミー・デシルヴァ 著  赤根 洋子 訳
「直立二足歩行の人類史」メモ

第3部 人生の歩み

結論 共感するサル
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【まとめ】
・人間が最も得意とすることの一つは、多くの人間を殺すという目的で協力し合うこと。
・われわれは無意識に周囲の人と歩調を合わせていて、信頼、寛容、協力につながる共感は「身体の同期」から始ま
る。
・人間の行動は柔軟性をもち、われわれは平和的にして暴力的、協力的にして利己的、共感的にして冷淡な生き物。
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★ある足の化石の物語
・四足歩行動物:足に重傷を負うと足をひきずるようになるが、歩けなくなることはない。
・二足歩行動物:足にひどい怪我を負うと歩けなくなる。
・二足歩行により人類は、下肢を痛めた場合、多大なダメージを被るようになった。


エチオピアで発見された340万年前のアウルストラロピテクス・アファレンシスの骨格には、足首の骨折が治癒
した跡がある。
・六週間の完全な固定が必要となる、螺旋骨折から回復し、その後も生きていた証拠があるホミニンの化石が見つか
った。
・圧迫骨折が治癒した跡のあるアウストラロピテクスの足首が発見されている。
→他人の援助を受けていた生活していた


★残酷さと優しさと
・人類の祖先は、危険な「他者」から身を守ると同時に、「仲間」に対して共感を寄せるようになった。
・「善と悪のパラドックス
・人類はどうして残酷さと心の優しさを兼ね備えることができたのだろう?


・人類を含むすべてのほ乳類は柔軟な行動をとることができる。
・優しく子育てすることもでき、次の瞬間には暴力的になることもある。
・ほ乳類の行動は敵意と調和のダンス。


★利他行動の証拠
・人間は排他的な生き物。
・人間の利他的行為は、同族と見なした相手に限定されることが多い。
・「他者」とみなした相手には激しい暴行を加えることがある。
・人間は互いに協力することが得意。
・人間が最も得意とすることの一つは、多くの人間を殺すという目的で協力し合うこと。
・人間には暴力的・攻撃的傾向もあるが、進化の旅は人類にたぐいまれな共感能力も与えた。
・対立と共感はつながっている。


アウストラロピテクスには一人での出産は危険だった。
アウストラロピテクスの時代には助産師が存在していたはず。
助産師は世界最古の職業


チンパンジーは一人で出産する。
ボノボも機能的には一人で出産できるが、他のメスが出産に付き添い、赤ん坊を抱き上げることで出産介助する。
チンパンジーは進化の過程で、出産行動を社会的行動から単独行動へ変化させたのかもしれない。
→ヒト、チンパンジーボノボの共通祖先が現在のヒトやボノボと同じような出産行動を取っていた可能性がある。


★二足歩行と共感
・二足歩行は、社会的な種としての人類進化に密接に結びついている。
・二足歩行ホミニンが、出産介助だけでなく、食物を探す母親に代わり子どもの面倒をみていたことをうかがわせる
証拠もある。
・信頼、寛容、協力を当たり前のことと思っている。
・われわれは無意識に周囲の人と歩調を合わせている。
・数百万年の間、人類はそうやって歩いてきた。
・二足歩行は共感力とともに進化、技術の発達を可能にした。
・知性を二足歩行が、現代医学や病院や車椅子や義肢をもたらした。
・共感は「身体の同期」により始まる。


アル・カポネ「私の親切さを弱さと取り違えるな」
ダライ・ラマ「絶対に、私の親切さを弱さと取り違えないでほしい」
→人間の行動の柔軟性を言い表している。
・われわれは平和的にして暴力的、協力的にして利己的、共感的にして冷淡な生き物。
・われわれは二本の足で歩く。社会的な足と、利己的な足で。


・ヒトの近縁種である類人猿には、人間の思いやりの心のようなものがみられる。
・人類の系統のなかで協力と利他的行為の芽が成長、花開くために必要だつたのは、二足歩行することにより生まれ
た大問題。
・人間の利他的に行動する能力は、危険な世界で生きる二足歩行動物の脆弱さからうまれたもの。


・人類の起源の新たな物語:二足歩行する特別なサルが繁栄してきたのは、その共感し、許容し、協力する能力のお
かげ。