- 作者: ファインマン,坪井忠二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1986/01/08
- メディア: 単行本
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第18章 平面内の回転 メモ
18-1 質量の中心
・剛体:動くときに回転する個体
・固定軸のまわり物体の回転を平面回転または2次元における回転という。
・かたまりや棒などを紐でつないで空中にほうり出したとき、放物線になる。
・放物線に沿って運動するのは、中心の役目をする点であり、一つの平均的位置
・たくさんの粒子からなる物体を考えると、i番目の粒子にはたらく力は、その
粒子の加速度に質量をかけたものになるFi~=mi(d^2ri~/dt^2)
運動体の速さが光の速さよりずっと小さいとすると質量は一定なので
Fi~=d^2(miri~)/dt^2
である。
Fi~をすべて加え合わせると全力F~が得られる。
Σ[i]Fi~=F~=d^2(Σ[i[miri~)/dt^2
全力は、位置に質量をかけてすべて加えあわせたものの2階微分係数である。
・すべての粒子にはたらく全力は外力と同じ。
・いくつかの粒子を物体として考え、上式がそれらの粒子の和だとすると、この
全物体にはたらく外力は、その物体を構成するすべての粒子にはたらく全部の力の
和に等しい。
・Mがすべての質量の和、すなわち全質量であるとすると、R~というベクトルを
次のように定義する。R~=Σ[i]miri~/M
Mは一定であるから、
F~=d^2(MR~)/dt^2=M(d^2R~/dt^2)
となる。
外力は、R~という位置にある仮想点の加速度に全質量をかけたものになり、
この点を質量の中心という。1.質量の中心は、まんなかにあって、一定の速度で運動する。
2.質量の中心は、物体の”内部”運動と別個に無関係に取り扱うことができる。
18-2 剛体の回転
・剛体は、そのなかの原子の間にはたらく力が非常に強く、全体を動かすに要する
力くらいでは曲がらないような性質をもった物体
・回転は、時間に対して角度がどう変わるかという問題。
・回転を考えるには、物体がまわった角度に目をつけ、全体の位置を示す角度が
時間によってどう変化するかを問題にする。
・2次元の回転と1次元の変位は、ほとんどあらゆる量が互いに対応する
・角度θ≒変位y
・回転速度ω=dθ/dt≒v=ds/dt
・角速度α=dω/dt=d^2θ/dt^2≒加速度
・軸からrの点にある1点を考え、ある時刻におけるその点の位置がP(xy)
であるとする。Δtだけたって、この物体が全体として⊿θだけまわったとする。OPをrと
すればPQの長さはr⊿θなので、xの変化はr⊿θをx方向に投影したもの。Δx=−PQsinθ=−r⊿θ・(y/r)=−y⊿θ
同様に
Δy=+x⊿θ
この物体の角速度をωとすれば、粒子の速度は
vx=−ωy、 vy=+ωx
速度の大きさは
v=√(vx^2+vy^2)=√(ω^2y^2+ω^2x^2)=ω√(x^2+y^2)
=ωr
・力とは物体の直線運動に必要なもので、物体を回転させるものが”回転力”
あるいは”まわす力”で、これがトルク。・剛体の回転軸を考え、一つの力だけをとり、この力が点(x、y)にはたらいて
いるとする。この物体を微小角度まわしたときになされる仕事はΔW=Fx⊿x+Fy⊿y
であり、
ΔW=(xFy−yFx)⊿θ
・なした仕事の量は、物体をまわした角度に、力と距離の組み合わせをかけたもの
に等しいく、この組み合わせがトルク。・ΔWを構成する項のおのおのは⊿θに比例する。
・仕事の変化は物体にはたらいているすべての力いよるトルクを全部足し合わせた
ものかける⊿θであるといえ、この和を全トルクτという。
・2次元の回転に対しては
τi=xiFyi−yiFxi
及び
τ=Στi
・トルクは、一つの与えられた軸についてのものであり、別の軸を選べば、xiも
yiも変わり、トルクの値も(一般には)変わる。
・つりあいに対する条件:力の和がゼロであることとトルクの和がゼロであること
・トルクは接線方向の分力だけがものをいう。
・トルクの式は、力の大きさかけるうでの長さと書いても良い。
・トルクのことを力のモーメントともいう
18-3 角運動量
・粒子のよりあつまりにはたらく外力は、pという量が時間的に変化する割合
であって、pをその全運動量と名付けた。
・粒子のよりあつまりに外からはたらくトルクは、Lという量が時間的に変化する
割合であり、Lをその角運動量という。
・トルクはxFy−yFxに等しく、x、y方向の力は質量かけるx、y方向におけ
る加速度であるτ=xFy−yFx
=xm(d^2y/dt^2)−ym(d^2x/dt^2)
・トルクは何か時間的に変化する割合であり、これを角運動量Lとする。
L=xm(dy/dt)−ym(dx/dt)
=xpy−ypx
・回転については運動量に対応する角運動量があって、それは直線的運動量の成分
によってあらわされる。・角運動量にとって大切なことは、粒子が原点からどんな速さで遠ざかるかでは
なく、原点のまわりをどんなにまわっているかである。・運動量の接線方向の成分のみが角運動量にとって大切
・角運動量とは、運動量の大きさ、かける、運動量のてこのうでであり角運動量に
対しては式が三つある。L=xpy−ypx
=rp接線
=p・うでの長さ
・角運動量はどの軸について考えるかという軸の位置により大きさがちがう。
・惑星の動径は相等しい時間に相等しい面積をなめるというケプラーの法則は、
力によるトルクがない場合に角運動量が保存するということを言葉であらわした
もの
18-4 角運動量の保存
・一つの物体の全運動量がすべての部分の運動量を加えた和であるのと同じく、
全角運動量はすべての部分の角運動を加えた和である。全Lの時間的変化の割合は全トルクである
τ=Στi=ΣdLi/dt=dL/dt
・内部トルクは二つずつ対になって打消し合い、任意の軸のまわりの全角運動量
に時間的変化の割合は、その軸に関する外力のトルクに等しいτ=Στi=τ外力=dL/dt
・角運動量保存の法則:粒子系に外からはたらくトルクがないならば、角運動量は
一定で変化しない
・ある粒子の質量がmiで、位置が(xi、yi)であるとする。
・円に沿って運動しているものの角運動量は、質量、かける速度、かける軸からの
距離であり、この速度は角速度かける軸からの距離に等しい。Li=miviri=miri^2ω
あるいは、すべての粒子iについて加えると、
L=Iω
となり、
I=Σ[i]miri^2
である。
・これは運動量が質量かける速度に等しいという法則に対応する。
・Iを慣性モーメントIといい、質量に対応する。
・慣性は各部分の質量だけによってきまるのではなく、それらが軸からどのくらい
の距離にあるかできまる。
・慣性モーメントは、回転に対する慣性であり、質量かける軸からの距離の自乗
をすべて加え合わせた和である。
・慣性モーメントを小さくすれば、角速度は必ず大きくなる。