ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ファインマン物理Ⅰ 力学


ファインマン物理学〈1〉力学

ファインマン物理学〈1〉力学

第23章 共鳴

23-1 複素数と調和振動

・ある複素数aは以下にように書ける

   a=x+iy=re^iθ

   r^2=x^2+y^2=(x+iy)(x−iy)=aa*

   a*:aの共役複素数


   x=rcоsθ、y=rsinθ

   r=√(x^2+y^2) 、tanθ=y/x


・ある定数にcоsωtをかけた形の強制力がはたらいている場合、この力
F=Fcоsωtは、複素数F=F0e^iωtの実数部分
(eiωt=cоsωt+isinωtより)

・振動関数を適当な複素数の実数部分で表す


・位相の遅れが⊿であるような正弦波の表現

   F=F0e^i(ωt-⊿)


     =F0e^iωt・e^-i⊿


     =F0e^-i⊿・e^iωt


     =F#e^iωt


   F#=F0e^-i⊿


複素数を使って振動の問題を解く

   d^2x/dt^2+kx/m=F/m=(F0/m)cоsωt


  Fは振動子を動かす力、xは変位、xr+ixiという複素数解があるとすると


   d^2(xr+ixi)/dt^2+k(xr+ixi)/m=(Fr+iFi)/m


   d^2xr/dt^2+kxr/m+i(d^2xi/dt^2+kxi/m)


      =Fr/m+iFi/m


  xの実数部分は力の実数部分に対する方程式を満足する。ただし、方程式が
 線形の場合(xが1次あるいはゼロ次のもの)に限る。


・F#e^iωtを複素数として、次の方程式を解く

   d^2x/dt^2+kx/m=F#e^iωt/m


  強制振動の振動数は、加えられる力の振動数と同じで、ある振幅と位相を
 もち、適当な複素数x#で表される。絶対値はxの振れの大きさをあらわし、
 その位相は力の場合と同様、時間の遅れをあらわす。


・指数関数は、微分があるごとにiωをかければよい

   d(x#e^iωt)/dt=iωx#e^iωt


  上記より、方程式は次式となり、

   (iω)^2x#+(kx#/m)=F#/m


   x#=F#/m/*1


 となる。

  振れの大きさx#は、F#の1/(m(ω0^2−ω^2))倍であり、ωとω0が近い
 と非常に大きくなる。


23-2 減衰のある強制振動

・摩擦の力がその物体が動く速さに比例する場合を考える。

   Ff=−cdx/dt


   m(d^2x/dt^2)+c(dx/dt)+kx=F


  c=mγ、k=mω0^2とおき、両辺を質量mで割ると

    d^2x/dt^2+γ(dx/dt)+ω0^2x=F


  FがF#eiωtの実数部分であり、xがx#e^iωtの実数部分であるとして
 方程式に代入する。


   [(iω)^2x#+γ(iω)x#+ω0^2x#]e^iωt=(F#/m)e^iωt


  よって

   x#=F#/(m(ω0^2−ω^2+iγω))


  となる。ここで、

   R=1/(m(ω0^2−ω^2+iγω))、


  とすると、

   x#=F#R


  R=ρe^iθのRを別の書き方をすると、

   x#=RF#=ρe^iθF0e^i⊿=ρF0e^i(θ+⊿)


  複素数x#の実数部分は、ρF0e^i(θ+⊿)e^iωtの実数部分に等しく、
 e^i(θ+⊿+ωt)の実数部分はcоs(ωt+⊿+θ)であるので、

   x=ρF0cоs(ωt+⊿+θ)


 である。


・ρを求めるには複素共役をとる

   ρ^2=1/(m^2(ω0^2−ω^2+iγω)(ω0^2−ω^2−iγω))


      =1/(m^2[(ω0^2−ω^2)^2+γ^2ω^2])


・位相角を求める

   1/R=1/ρe^iθ=(1/ρ)e^-iθ=m(ω0^2−ω^2+iγω)


  と書くと、

   tanθ=−γω/(ω0^2−ω^2)


  変位xは力Fよりも遅れているため、すべてのωに対してθは負となる。


・ρ^2について考えると、γが非常に小さいと、1/(ω0^2−ω^2)^2が重要な
 項となる。ωがω0に等しいと無限大になろうとするが、1/γ^2ω^2がある
 ため無限大にはならない。


23-3 電気的共鳴

・電気回路への応用

キャパシタ

   Vc=σd/ε0=qd/ε0A=q/C


  d:平行板の間隔、
  A:その面積、
  C:キャパシターの容量


レジスタ

   Vr=RI=Rdq/dt


  R:抵抗


・コイル

   Vl=LdI/dt=Ld^2q/dt^2


  L:自己インダクタンス

 
キャパシターの電荷qが力学系の変位xに対応すると考えると、
 電流I=dq/dtは速度、1/Cはバネ定数kに、Rは抵抗係数γに、Lは
 質量に対応する。


・3種類の回路要素を直列につないで回路を作ると、各回路要素にかかる電圧は
全体の電圧に等しくなる。

   Vl+Vr+Vc=V(t)


   Ld^2q/dt^2+Rdq/dt+q/C=V(t)   


  上式は、振動の力学的方程式と同等で、V(t)が振動しているものとすると、
 V(t)を複素数V#であらわすことができる。q#=qe^iωtなので、


   (L(iω)^2+R(iω)+1/C)q#=V#、


  すなわち

   q#=V#/(L(iω)^2+R(iω)+1/C))


     =V#/(L(ω0^2−ω^2+iγω))


   ただし、ω0^2=1/LCおよびγ=R/Lである。


・電気の場合と力学の場合の対応表

一般特性 力学的性質     電気的性質     
独立変数 時間(t)      時間(t)      
従属変数 位置(x)      電荷(q)      
慣性 質量(m)      インダクタンス(L)  
抵抗 抵抗係数(c=γm) 抵抗(R=γL)  
かたさ   かたさ(k) (キャパシタンス)^-1(1/C)
共鳴振動数 ω0^2=k/m ω0^2=1/√(LC)
周期 t0=2π√(m/k) t0=2π√(LC)
するどさ Q=ω0/γ  Q=ω0L/R

*1:k/m)−ω^2)  となる。k/m=ω0^2を代入すると、    x#=F#/(m(ω0^2−ω^2