- 作者: ファインマン,坪井忠二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1986/01/08
- メディア: 単行本
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第24章 過渡現象
24-1 振動子のエネルギー
・任意の量Aを考え、A=A#e^iωtとする。
・特定の瞬間のエネルギーは問題ではなく、単にA^2の平均値、すなわち振動周期
にくらべて長い時間におけるAの自乗平均が必要・A^2の平均はA0^2であり、A0^2は複素数A#の絶対値の自乗
(|A#|^2、A#A#*)
・強制振動のエネルギーを考える。
md^2x/dt^2+γmdx/dt+mω0^2x=F(t)
F(t)はtのコサイン関数
外力Fにより毎秒なされる仕事率はFdx/dtなので
P=Fdx/dt=m[(dx/dt)(d^2x/dt^2)
+ω0^2x(dx/dt)]+γm(dx/dt)^2
第1項と題2項はd/dt[m(dx/dt)^2/2+mω0^2x^2/2]と書ける。
一つは運動エネルギー、もう一つは位置エネルギーの微分であり、この量を
蓄積エネルギー(振動中に蓄えられたエネルギー)という。
長期的に見ると、蓄積エネルギーは変化せず、微分からくる影響はゼロとなるの
で、長時間にわたり仕事率の平均をとると、すべてのエネルギーは摩擦項
γm(dx/dt)^2に吸収される。したがって、平均仕事率<P>は次式となる。
<P>=<γm(dx/dt)^2>
x=x#e^iωtでありばdx/dt=iωx#e^iωtであり、
<A^2>=A0^2/2を使うと平均仕事率は次式となる。<P>=γmω^2x0^2
電気回路では、dx/dtは電流I、mγは抵抗Rに対応する。エネルギー
損失の割合(強制力関数により費やされる仕事率)は回路中の抵抗と電流の
自乗平均となる。(熱損失、ジュール熱と呼ばれる)<P>=R<I^2>=(R・I0^2)/2
・どれだけのエネルギーが蓄積されるかを考える。(仕事率と同じではない)
・仕事率は、はじめはエネルギーを蓄えるのに使われるが、その後は熱(抵抗)損失
がある限り、仕事率を吸収し続ける。・平均蓄積エネルギー<E>を計算する。
<E>=(m/2)<(dx/dt)^2>+mω0^2<x^2>/2
=(m/2)(ω^2+ω0^2)(1/2)x0^2
・振動子の効率が非常に良く、ωがω0に近くて|x#|が大きいときには蓄積エネル
ギーは非常に大きい。
・蓄積エネルギーと1サイクル中になされる仕事を比べる:Qを定義する
・Q:平均蓄積エネルギーに2πをかけたものを1サイクルあたりになされる仕事
で割ったものQ=(ω^2+ω0^2)/2γω
・Qの値が大きい時、振動子がどのくらいよいものかを知る目安になる。
・よい振動子で共鳴に近い場合、ω=ω0とおき、Q=ω0/γとなる。
・電気回路の共鳴のQはQ=Lω/Rであり、Qが大きい回路は、その振動を駆動
する機械により1周期毎になされる仕事の量にくらべて駆動として蓄積される
エネルギーが非常に大きいことを意味する。
24-2 減衰振動
・過渡現象は外力が働いていないときの微分方程式の解で、系が静止しているの
ではないもの。・強制振動の方程式の解をx=Ae^iαtとすると、
(−α^2+iγα+ω0^2)Ae^iαt=0
−α^2+iγα+ω0^2=0
を解いて一つのαが求まれば解となる。
α1=iγ/2+√(ω0^2−γ^2/4)=iγ/2+ωr
および
α2=iγ/2−√(ω0^2−γ^2/4)=iγ/2−ωr
最初の解について考えると、xの解はx1=Ae^iα1tである(Aはある定数)。
ここで、ωγ=√(ω0^2−γ^2/4)とするとiα1=−γ/+iωγとなり、
x=Ae^(-γ/2+iωγ)tを得る。x1=Ae^-γt/2・e^iωγt
もう一つの解はα2であり、ωγの符号が逆になる。
x2=Be^-γt/2・e^-iωγt
x1とx2がそれぞれF=0とした場合の方程式の解であれば、x1+x2もこの
方程式の解である。x=e^-γt/2(Ae^iωγt+Be^-iωγt)
BはAの共役複素数である必要があるので、実数解は次式となり、位相のずれと
減衰を伴った振動になる。x=e^-γt/2(Ae^iωγt+A*e^-iωγt)
24-3 電気的の過渡現象
・振動が減衰する様子を表す数学的表現
x=e^-γt/2[x0cоsωγt+(v0+γx0/2)ωγsinωγt]
ωγ=+√(ω0^2−γ^2/4)