ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ファインマン物理Ⅰ 力学


ファインマン物理学〈1〉力学

ファインマン物理学〈1〉力学

第24章 過渡現象

24-1 振動子のエネルギー

・任意の量Aを考え、A=A#e^iωtとする。

・特定の瞬間のエネルギーは問題ではなく、単にA^2の平均値、すなわち振動周期
にくらべて長い時間におけるAの自乗平均が必要

・A^2の平均はA0^2であり、A0^2は複素数A#の絶対値の自乗
 (|A#|^2、A#A#*)


・強制振動のエネルギーを考える。

   md^2x/dt^2+γmdx/dt+mω0^2x=F(t)


  F(t)はtのコサイン関数


 外力Fにより毎秒なされる仕事率はFdx/dtなので

   P=Fdx/dt=m[(dx/dt)(d^2x/dt^2)


       +ω0^2x(dx/dt)]+γm(dx/dt)^2


 第1項と題2項はd/dt[m(dx/dt)^2/2+mω0^2x^2/2]と書ける。

 一つは運動エネルギー、もう一つは位置エネルギー微分であり、この量を
 蓄積エネルギー(振動中に蓄えられたエネルギー)という。


 長期的に見ると、蓄積エネルギーは変化せず、微分からくる影響はゼロとなるの
 で、長時間にわたり仕事率の平均をとると、すべてのエネルギーは摩擦項
 γm(dx/dt)^2に吸収される。

 したがって、平均仕事率<P>は次式となる。

   <P>=<γm(dx/dt)^2>


  x=x#e^iωtでありばdx/dt=iωx#e^iωtであり、
 <A^2>=A0^2/2を使うと平均仕事率は次式となる。

   <P>=γmω^2x0^2


  電気回路では、dx/dtは電流I、mγは抵抗Rに対応する。エネルギー
 損失の割合(強制力関数により費やされる仕事率)は回路中の抵抗と電流の
 自乗平均となる。(熱損失、ジュール熱と呼ばれる)

   <P>=R<I^2>=(R・I0^2)/2


・どれだけのエネルギーが蓄積されるかを考える。(仕事率と同じではない)
・仕事率は、はじめはエネルギーを蓄えるのに使われるが、その後は熱(抵抗)損失
がある限り、仕事率を吸収し続ける。

・平均蓄積エネルギー<E>を計算する。

   <E>=(m/2)<(dx/dt)^2>+mω0^2<x^2>/2


      =(m/2)(ω^2+ω0^2)(1/2)x0^2


・振動子の効率が非常に良く、ωがω0に近くて|x#|が大きいときには蓄積エネル
ギーは非常に大きい。


・蓄積エネルギーと1サイクル中になされる仕事を比べる:Qを定義する

・Q:平均蓄積エネルギーに2πをかけたものを1サイクルあたりになされる仕事
で割ったもの

   Q=(ω^2+ω0^2)/2γω


・Qの値が大きい時、振動子がどのくらいよいものかを知る目安になる。

・よい振動子で共鳴に近い場合、ω=ω0とおき、Q=ω0/γとなる。


・電気回路の共鳴のQはQ=Lω/Rであり、Qが大きい回路は、その振動を駆動
する機械により1周期毎になされる仕事の量にくらべて駆動として蓄積される
エネルギーが非常に大きいことを意味する。


24-2 減衰振動

・過渡現象は外力が働いていないときの微分方程式の解で、系が静止しているの
ではないもの。

・強制振動の方程式の解をx=Ae^iαtとすると、

   (−α^2+iγα+ω0^2)Ae^iαt=0


   −α^2+iγα+ω0^2=0


 を解いて一つのαが求まれば解となる。

   α1=iγ/2+√(ω0^2−γ^2/4)=iγ/2+ωr


 および

   α2=iγ/2−√(ω0^2−γ^2/4)=iγ/2−ωr


  最初の解について考えると、xの解はx1=Ae^iα1tである(Aはある定数)。
 ここで、ωγ=√(ω0^2−γ^2/4)とするとiα1=−γ/+iωγとなり、
 x=Ae^(-γ/2+iωγ)tを得る。

   x1=Ae^-γt/2・e^iωγt


  もう一つの解はα2であり、ωγの符号が逆になる。

   x2=Be^-γt/2・e^-iωγt


  x1とx2がそれぞれF=0とした場合の方程式の解であれば、x1+x2もこの
 方程式の解である。

   x=e^-γt/2(Ae^iωγt+Be^-iωγt)


 BはAの共役複素数である必要があるので、実数解は次式となり、位相のずれと
 減衰を伴った振動になる。

   x=e^-γt/2(Ae^iωγt+A*e^-iωγt)


24-3 電気的の過渡現象

・振動が減衰する様子を表す数学的表現

   x=e^-γt/2[x0cоsωγt+(v0+γx0/2)ωγsinωγt]


   ωγ=+√(ω0^2−γ^2/4)