- 作者: ファインマン,宮島龍興
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1986/01/08
- メディア: 単行本
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第4章 静電気 メモ
4-1 静電磁気学
・マクスウェルの方程式
∇・E~=ρ/ε0、 (4.1)∇×E~=−∂B~/∂t、 (4.2)
c^2∇×B~=∂E~/∂t+j~/ε0、 (4.3)
∇・B~=0 (4.4)
・電荷はすべて空間に固定されていて、動くにしても回路内を定常の流れを
なして動く(ρもj~時間的に変わらない)条件下では、マクスウェルの方程式
に現れる場の時間微分はすべて0になる。静電気: ∇・E~=ρ/ε0 (4.5)
∇×E~=0 (4.6)
静磁気: ∇×B~=j~/ε0c^2 (4.7)
∇・B~=0 (4.8)
・電荷も電流も時間的に不変である限り、電気と磁気は別々の現象
・電荷や電流に変化があり、変化が急速でマクスウェル方程式中の時間微分が重要
になってはじめてE~とB~は互いに関係する
・静電気はcurlが0(渦なし)でdivの値の与えられたベクトル場の例題
・静磁気はdivがなくてcurlが与えられた場の例題
4-2 クーロンの法則;重ね合わせ
・静止した2電荷の間には電荷の積に比例し距離の2乗に逆比例する力がはたらき
力は一方の電荷から他方へ結ぶ直線の方向にある。クーロンの法則: F~1=(1/4πε0)(q1q2/r12^2)e~12=−F~2 (4.9)
F~1は電荷q1にはたらく力、e~12はq2からq1の方向の単位ベクトル、
r12はq1とq2の間の距離。q2にはたらくF~2はF~1と等しく向きが反対
比例定数は1/4πε0と書かれる。
1/4πε0=10^-7c^2 (定義)
=9.0×10^9 (実験) (4.10)
単位:(ニュートン)・m^2/(クーロン)^2
(ボルト)・m/(クーロン)
・q1に働く単位電荷あたりの力を場E~(1)という。
q1のほかに電荷が一つしかないとき
E~(1)=(1/4πε0)(q2/r12^2)e~12 (4.11)
E~(1)は点(1)における電場であるという。
・x成分を書くと次式となる
Ex(x1,y1,z1)=
(q2/4πε0)(x1−x2)/[(x1−x2)^2+(y1−y2)^2+(z1−z2)^2]^3/2
(4.12)・j番目の電荷の量をqjとし、qjから点(1)への距離をr1jとすると
E~(1)=Σ[j](1/4πε0)(qj/r1j^2)e~1j (4.13)
Ex(x1,y1,z1)=
Σ[j](1/4πε0)qj(x1−x2)
/[(x1−x2)^2+(y1−y2)^2+(z1−z2)^2]^3/2
(4.14)
4-3 電位
・電位(電気ポテンシャル)の概念は、電荷を選んである点から他の点に行く仕事
に関係する。・電気力に対してする仕事は、運動方向への電気力の成分の符号をかえたものを
道筋にそって積分したものに等しい点aから点bまで電荷をはこぶと
W=−∫[a→b]F~・ds~
で、ここにF~は各点で電荷に働く電気力、ds~は道筋にそう微分変位ベクトル
・1単位の電気量をはこぶときの仕事を考えると都合がよく、電荷にはたらく力は
数値としては電場と同じである。このとき電気力に対してする仕事をW(単位)と
かくと、W(単位)=−∫[a→b]E~・ds~ (4.19)
静電位: φ(P)=−∫[P0→P]E~・ds~ (4.22)
基準点を無限遠にとり、原点にだた1個の電荷があるとき、任意の点
x、y、zのポテンシャルφはφ(x、y、z)=(q/4πε0)・(1/r) (4.23)
重ね合わせの原理により、電位φに対する式は
φ(1)=Σ[j](1/4πε0)・(qj/r1j) (4.24)
φ(1)=(1/4πε0)∫ρ(2dV2/r12 (4.25)
ここに点(1)は電位を求める点。
電位φの物理的意味:単位の電荷が基準点から空間の与えれた点まで運ばれる
とき得る位置エネルギー
4-4 E~=−∇φ
・E~はφから容易に求まる
・xとx+dxにあり、yとzは同じ値をもつ2点を考え、単位電荷を一方から
他方へ運ぶ仕事はいくらになるか?W=φ(x+dx、y、z)−φ(x、y、z)=(∂φ/∂x)dx
場に対してする仕事は同じ道について
?W=−∫E~・ds~=−Exdx
従って
Ex=−∂φ/∂x (4.26)
同様にEy=−∂φ/∂y、Ez=−∂φ/∂zでまとめると
E~=−∇φ (4.27)
これは(4.22)の微分形。
・任意の動径方向の力に対して、仕事は道に無関係であり、ポテンシャルが存在
する。・ポテンシャルが存在し、E~のcurlが0であることは単に静電力の対称性と
方向性からくること。