ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ディープラーニング革命

テレンス・J・セイノフスキー/監訳 銅谷賢治 「ディープラーニング革命」メモ  

ディープラーニング革命

ディープラーニング革命

 

テレンス・J・セイノフスキー  監訳 銅谷賢治
ディープラーニング革命」メモ

第1部 新たな着想による知能

第2章 人工知能の復活
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【まとめ】
・初期のAI研究が停滞した理由
 ①現実世界の問題の複雑さの過小評価
 ②研究者の解決策の非実現性
 ③デジタルコンピュータが未成熟
・AI研究の非主流の少数派グループの研究者たちは、実際の脳の生物学から発想を得た人工知能へのアプローチが、論理ベースのAIでは解決できなかった難問を解くと信じた。
ディープラーニングにより画像認識に有用な特徴量をみつけるプロセスが自動化され、コンピュータの高速化・高容量化により、数百万ユニットと数十億の結合をもつニューラルネットワークのシミュレーションが可能となった。
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◎視覚の問題が難しい理由
・人間は、物体の位置・大きさ・向き・光のあたり具合が違っても、その物体の特定は難しくない。
・コンピュータ・ビジョンの初期のアイデアは、その物体のテンプレートと、物体の画像のピクセルを照合すること。
・同じ画像が2枚あっても、向きが違えばピクセルが合わず、そのアプローチは失敗。


・コンピュータ・ビジョンは、ピクセルではなく特徴に注目して進歩。
・特徴に基づくアプローチの問題点
 ①たくさんある物体の「特徴検出器」をつくるのに多大な労力が必要。
 ②物体が部分的に隠れている場合、その画像にあいまいさが生じ、物がひしめく中での物体認識が、コンピュータにとって非常に困難。
→初期のAI研究者たちは、コンピュータ・ビジョンの問題解決は極端に難しいと気づいた。


・数学的処理を証明するようプログラムすることは簡単。
・コンピュータは人間よりも論理的処理に長けている。
・論理的思考は進化の後になって発達した能力。


エキスパートシステム
・AIエキスパートシステム:医療診断などの問題を一揃いのルールを用いて解決するためのシステム
・専門医たちから医学的知見とルール、患者から症状・病歴を収集し、それらをコンピュータに入力し、コンピュータが論理的に推論するようプログラムする必要あり。
・問題点
 ①診断医が判断基準にするのは経験に基づくパターン認識で、ルール化困難。
 ②システムを継続的に更新する必要あり。
 ③患者の症状・病歴を収集してコンピュータ入力する作業に時間を要す。
→医療現場で使われることはなく、現在使われているシステムはない。


・AI研究の初期の数十年間、研究者が試した手法は巧妙であるが実際的ではなかった。
・現実世界の問題の複雑さが過小評価されていた。
・研究者が提案した解決策では作業量が増すばかりだった。
・デジタルコンピュータが初期の段階で、メモリーが高価だった。


・脳機能の基本原理は1950年代にわかってきた。
・脳の信号が神経の「全か無か」の電気的スパイク(発火)により長距離を伝わる仕組みが明らかになった。
ニューロン間の信号伝達を行うシナプスで、電気信号が化学信号に変換される仕組みも解明された。


・新しい世代のAI研究者には、脳そのものは無関係になっていた。
・彼らの目的は、脳の働きと同等の機能をもつプログラムを書くこと。
 →哲学用語で「機能主義」
・AI研究の非主流の少数派グループの研究者たちは、実際の脳の生物学から発想を得た人工知能へのアプローチ(ニューラルネットワークコネクショニズム、並列分散処理)が論理ベースのAIでは解決できなかった難問を解くと信じていた。


・視覚野内部では、ニューロンは多数の層をなして繋がっている。
・感覚情報は、大脳皮質の層ごとに変換されるち、外界についてのより抽象的表現が形成される。
・何十年もの研究のうちに、ニューラルネットワークモデルの階層数は増加し、その性能は向上し続けた。
・1980年代では夢物語だった問題点を解決できる臨界点に達した。
ディープラーニングにより、画像のなかの個々の物体を見分けるために有用な特徴量をみつけるプロセスが自動化された。
・2016年までにコンピュータは100万倍高速化し、記憶容量はMバイトからTバイトへ100万倍増加。
・1980年代:数百個のニューロンと数千個の結合
・今日:数百万ユニットと数十億の結合をもつニューラルネットワークのシミュレーションが可能。
・1000億個のニューロンと1000兆のシナプス結合をもつ人間の脳の基準からは小さいが、今日のニューラルネットワークは、狭い領域であれば原理を実証できるだけの大きさをもつ。