ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ディープラーニング革命

テレンス・J・セイノフスキー/監訳 銅谷賢治 「ディープラーニング革命」メモ  

ディープラーニング革命

ディープラーニング革命

 

テレンス・J・セイノフスキー  監訳 銅谷賢治
ディープラーニング革命」メモ

 

第3部 テクノロジーと科学の衝撃

第16章 意識
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【まとめ】
・階層構造の最上位に近いユニットは、ある一つの物体に対する選択性をもち、他ユニットもその物体を表す冗長的な信号をもち、そのようなユニットを取り除いても、ニューラルネットワークの性能は目立つほど変わらない。
・損傷を受けても動作するニューラルネットワークロバストさが、これらや脳そのもののアーキテクチャーとデジタルコンピューターのそれとの大きな違い。
・脳は「予測的(Predictive)」というより「後づけ的(Postdictive)」で、現在の意識を未来とつじつまを合わせるため、常に歴史を改竄しつづけている。
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<サーチライト仮説>
・神経節細胞は視神経を視床へと投射し、視床が中継してスパイクを視覚野に送る。
・なぜ神経節細胞は、視覚野に直接投射しないのか?
→視覚野から視床へと戻すフィードバック投射があり、それがサーチライトのように機能し、さらに処理を進めるべ像の一部分を目立たせるのではないか。


●意識に相関した脳活動
<意識に相関した脳活動(NCC:Neutral Correlates of Consciousness)>
・意識的知覚のさまざまな状態を引き起こすことに関与する、脳構造および神経活動。
・脳のさまざまな部位におけるニューロンの発火特性と視覚との相関関係を見つけること。


仮説
・網膜から入力を受け取る最初の大脳皮質である一次視覚野で起こっていることは意識に上がらない。
・高次の視覚野で起こっていることのみが意識される?
→根拠は「両眼視野闘争」の研究

・二つの目でそれぞれ異なる図形を見た場合、どちらか一方の図形が見え、数秒ごとに知覚される図形が急に切り替わる現象。
・左右の目から入る図形に対し、一次視覚野ではそれぞれ異なる神経細胞が反応する。
・ある瞬間にどちらの図形が意識により知覚されていてもそれは変わらない。
・より高次の視覚野では、多くのニューロンが何かに応じて発火したからといって、それが知覚に相関した脳活動にはならない。
・意識に上るのは、協調的に動作する視覚野の階層構造全体に分散して活動するニューロンのうち、一部のニューロンで表現されるものだけ。


●おばあさん細胞
・大脳皮質の視覚野の階層構造において、階層構造の高次のニューロンであればあるほど、その反応特性は特定的になる。
・階層構造の一番上では、一つのニューロンが1人の人物の写真にしか反応しなくなるかもしれない。


・認識のプロセスは、記憶と内的な注意制御が能動的に関与したもの。


・1層の隠れユニットをもつ訓練されたニューラルネットワークやディープネットワークにおいて、ニューラルネットワークの各入力に対する活動のパターンが、皮質ニューロンの集団で
観察される反応によく似た形で高度に分散されている。
・分散された表現は、同一物体の多くのバージョンの認識に使用できる。
・その同じセットのニューロンが、出力に異なる重みをつけることにより、多種多様な物体を
認識可能。
・階層構造の最上位に近いところにあるユニットは、ある一つの物体に対する選択性をもつ。
・他のユニットも、その物体を表す冗長的な信号をもつ。
・そのような選択性を持つユニットを取り除いたとしても、ニューラルネットワークの性能は目立つほど変わらない。
→損傷を受けても動作するニューラルネットワークロバストさが、これらや脳そのもののアーキテクチャーとデジタルコンピューターのアーキテクチャーとの大きな違い。


●視覚的イベントはいつ知覚されるのか?
・点滅する視覚的刺激に反応する視覚野のニューロンの遅延時間:25~100ミリ秒の幅
・私たちは40ミリ秒以下の感覚で次々に光二つの閃光の順番を認識可能。
・10ミリ秒未満の時間差で発せられる二つの音の順番を聞き分けられる。
・網膜の処理には一定時間かかるが、その時間は不定で、光の強さにより決まる。
・最初の閃光が次の閃光よりも暗い場合、最初の閃光の遅延が後の光よりも大きいので、暗い閃光と明るい閃光が同時に光ったように見えることもある。


・視覚信号と聴覚信号が脳に届く時間の絶対的差(認知を介さない物理的な差)は80ミリ秒以上。


<フラッシュラグ効果>
・閃光と、動いている物体が、実際には同じ位置にあっても、ずれているように知覚される現象。
・脳は「予測的(Predictive)」というより「後づけ的(Postdictive)」。
・脳は、現在の意識を未来とつじつまを合わせるために常に歴史を改竄しつづけている。
・脳がどのように、ノイズが多く、不完全なデータをもとに、もっともらしい解釈を生み出しているかを示す例の一つ。
・マジシャンの手品は、これを利用している。


●どこを見るべきかを学習する
・視覚探索:ボトムアップ型の感覚処理と、予測に基づくトップダウン型の注意処理の両方によるタスク。
・探索タスク実験の被験者は、探索に用いた戦略を言葉で説明できない。
   ↓
・経験による行動は無意識に制御されている。
・探索タスクに関与する脳の領域は、視野のトポグラフィックマップを制御する視覚野と、眼球運動を視覚対象に向ける上丘であり、眼球運動系その他の部位とも密接に連携する。
・学習には大脳基底核も関与する。
大脳基底核
脊椎動物の脳において重要な部位で、強化学習により行動の順序を学習する。
・期待された報酬と受け取った報酬の差が、中脳にあるドーパミン神経細胞の発火頻度の一時的増加という形で信号伝達される。
・これによりシナプス可塑性が調節され、無意識レベルでなされる意志決定と計画に影響が及ぶ。


●時の流れ
・意識を完全に理解するよりも、意識をつくり出すほうが簡単かもしれない。
・無意識の処理を理解することにより、進みを速めることできるかもしれない。