ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論

ジェフ・ホーキンス 著 大田直子 訳「脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論」メモ 

ジェフ・ホーキンス 著  大田直子 訳
「脳は世界をどう見ているのか」メモ

第1部 脳についての新しい理解

第7章 知能の1000の脳理論
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【まとめ】
・1000の脳理論:特定のアイテムの知識は、数千もの相補的なモデルに分散している。
・複数の感覚入力は、コラムが行う「投票」により、単一の知覚に結びつけられる。
・何を知覚するかは、安定した投票ニューロンにもとづいていて、各コラム内の変化する活動は意識しない。
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★新皮質についての従来の考え方
・新皮質についての一般的な考え方はフローチャートに似ている。
・感覚からの情報が、新皮質のある領域から次の領域に移るにつれ、段階的に処理される。
→特徴検出器の階層性


<視覚>---
・網膜の各細胞は像の小さな一部分の光の存在を検出。
・網膜の細胞は新皮質に投射。
・この入力を受け取る新皮質の最初の領域:一次視覚野(V1)
・V1の各ニューロンが入力を受け取るのは、網膜のごく一部からだけ。
・V1コラムは物体全体を認識できない。


・V1の役割は、像の一部の線やふちのような、小さな視覚的特徴を検出することに限定。
・V1のニューロンはこうした特徴を新皮質のほかの領域に送る。
・次の視覚野はV2と呼ばれ、V1からの単純な特徴を組み合わせ、角や曲線のような、もっと複雑な特徴にする。
・このプロセスがあと二つの領域であと2回繰り返され、ニューロンは物体全体に反応することになる。
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・単純な特徴→複雑な特徴→物体全体
・触覚と聴覚でも同様のプロセスが起きていると推定。
・特徴検出器の階層性という新皮質観は、50年にわたり有力な説。


・この理論の最大の問題:視覚を写真撮影のような静的プロセスとして扱っている点。
・眼は1秒間に3回、すばやい跳躍性の動き(サッカード)をする。
・眼から脳への入力はサッカードのたびに完全に変化。
・視覚入力は歩いていたり、頭を左右に回したときも変化。
・特徴検出器の階層理論は、こうした変化を無視。
・視覚はインタラクティブなプロセスであり、動きに依存している。
・動いてはじめて物体のモデルを学習可能。
・通常の視覚は活発な感覚運動プロセスであり、静的プロセスではない。


★新皮質についての新しい考え方
・低レベルの感覚野にあるものも含めてすべての皮質コラムが、物体全体を学習し認識することができる。
・物体のごく一部を感知するコラムが、時間をかけ入力を統合することで、物体全体のモデルを学習可能。
・皮質領域の階層は、物体のモデルを学習するのに必須ではない。


・新皮質には、どんな物体についてもたくさんのモデルがある。
・そのモデルは別々のコラムの中にある。
・まったく同じではないが、相補的。


・個々の皮質コラムはどれも、あらゆる物体のモデルを学習することはできない。
・個々のコラムが学習できる物体の数に物理的限界がある。
・ひとつのコラムは数百の複雑な物体を学習できる。
・コラムが何を学習するかは、その入力により限定される。


・視覚のような単一の感覚のなかでも、コラムはさまざまなタイプの入力を受け取り、さまざまなタイプのモデルを学
習する。
・V1のコラムは、網膜のごく狭い範囲からの入力を受け取る。
・V2のコラムは、網膜のもう少し広い範囲からの入力を受け取るが、像はぼやけている。


★脳のどこに知識は保存されるのか
・脳内の知識は分散している。
・何かの知識は数千のコラムに分散しているが、それは全コラムの一部。
・特定のアイテムの知識は、数千もの相補的なモデルに分散している。
 →1000の脳理論


・複雑なシステムは、知識と作用が多すぎない程度で多くの構成要素に分配されるとき、最もよく機能する。
・何かについての知識は、何千もの皮質コラムに分散している。
・コラムは冗長ではなく、互いに全く同じでもない。
・重要なのは、コラムそれぞれが完全な感覚運動システムであること。


★統合問題の解決策
・モデルが何千もあるなら、なぜ、知覚はひとつだけなのか?
・複数の感覚入力はどのように単一の知覚に結びつけられるのか?
→コラムが「投票」する
・知覚は、コラムが投票によりたどり着いた合意。
・皮質コラムの投票は統合問題を解決する。
・脳は膨大な種類の感覚入力を、感じられているものの単一の表現に統合できる。


・相対的な位置についての情報は、皮質コラム間でも共有されている。


★脳内でどうやって投票が行われるのか
・一部の層の細胞は、新皮質内で遠くまで軸索を送る。
・軸索を脳の片側から反対側まで送る。
・長距離連絡をする細胞が投票をしている。


・投票は特定の細胞にしか意味をもたない。
・入力を受け取る細胞は、ほかのコラムに投射しない。
・どんな物体が感知されているかを表現する細胞は投票でき、広い範囲に投射する。


・コラムは長距離連絡を使い、自分が観察していると思うものを伝える。
・コラムがはっきり知らない場合、同時に複数の可能性を送る。
・コラムはほかのコラムから、その推測を表す投射を受け取る。
・最も頻度の高い推測が最も頻度の低い推測を抑え、最終的にネットワーク全体がひとつの答えに落ち着く。
・1個のコラムがあらゆるコラムに自分の投票を送る必要はない。


★知覚の安定性
・脳への入力が変化しても、知覚が安定しているように思えるのはなぜか?
・物体を認識する=コラムが投票し、感知している物体が何かについて合意に達していること。
・各コラムで投票するニューロンは、その物体とそれがどこにあるかを表す安定したパターンを形成。
・投票するニューロンの活動は、同じ物体を感じているかぎり、眼や指を動かすあいだ変化しない。


・何を知覚するかは、安定した投票ニューロンにもとづいている。
・私たちは各コラム内の変化する活動を意識しない。
・その活動はコラム内にとどまり、脳のほかの部位にはアクセスできない。


・どんなときも活性化している投票ニューロンの数は少ない。
・投票をつかさどるニューロンは、98%は静かで、2%が発火している。


★1000の脳理論における階層
・1000の脳理論では、新皮質の領域の階層は必要不可欠でない。
・ひとつの皮質領域でも物体を認識できる。
・新皮質は階層として構成されているのか、合意に達するために投票する何千というモデルとして構成されているのか?
→新皮質の構造は、両方のタイプの連絡が存在することを示唆している。


・特徴でなく物体全体が、階層レベル間で伝えられる。
・新皮質は、物体を組み立ててもっと複雑な物体にするのに階層を使う。
・世界全体の学習は、物体どうしの相対的位置の複雑な階層として学習される。
・各コラム内で一定量の階層的学習が起こっているが、すべてがそうではない。
・領域間の階層的連絡により対処されるものもある。


・1000の脳理論は、本質的に感覚運動理論。
・1000の脳理論は階層モデルの上位集合。
・1000の脳理論では、視覚とされることのほとんどがV1とV2で起こっていると主張。


・1000の脳理論は新皮質に関する理論的枠組みを提供する。