ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論

ジェフ・ホーキンス 著 大田直子 訳「脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論」メモ 

ジェフ・ホーキンス 著  大田直子 訳
「脳は世界をどう見ているのか」メモ

第1部 脳についての新しい理解

第2章 ヴァーノン・マウントキャッスルのすばらしい発想
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【まとめ】
・新皮質の部位はどれも同じ原理で働き、何十もの領域に分かれ、それぞれが異なる機能を果たすが、ちがうのは本質的な機能ではなく、何とつながっているか。
・新皮質の基本単位、知能の単位は、「皮質のコラム(柱状構造)」で、人間の脳にはおよそ15万個の皮質コラムがぎっしり並んでいる。
・マウントキャッスルの提案:知能の多様性もひとつの基本アルゴリズムのなせる業であり、その根拠のひとつは、人間は進化圧力のないさまざまなことができ、脳が普遍の原理に基づき働いているから。
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・脳は進化するあいだ、古い脳の部位の上に新しい部位を加えることで大きくなった。
・古い部位はより原始的な行動を制御する。
・新しい部位はもっと高度な行動を生み出す。


・新皮質は、同じもの、すなわち基本回路のコピーをたくさんつくることで脳の7割を占めるまでに大きくなった。
・新皮質が大きくなるとき、面積は広がるが、厚みは増えない。
・人間の新皮質はラットやイヌの新皮質よりはるかに大きいが、すべて同じ要素でできている。
・私たちはただその要素をたくさんコピーした。


・新皮質の部位はどれも同じ原理で働く。
・知能と考えるもの(視覚、触覚、言語、高次の思考まで)すべて、根本的に同じ。


・新皮質は何十もの領域に分かれ、それぞれが異なる機能を果たす。
・外から新皮質を見ると、そのいくつもの領域は見えない。
→領域が同じように見えるのは、みな同じことをしているから。
・ちがうのは本質的な機能ではなく、何とつながっているか。
・皮質のある領域を眼とつなげれば視覚が生まれ、耳とつなげれば聴覚が生まれる。
・新皮質のあらゆる部位にある基本機能を見つけられれば、全体の仕組みを理解できる。


ダーウィンの提案:生命の多様性を説明するメカニズム(アルゴリズム
・表面的には異なるたくさんの動植物、さまざま生き物に見えるものは、実際には同じ基本的な進化アルゴリズムの現れである。
・生命の多様性はひとつの基本アルゴリズムのなせる業。

・マウントキャッスルの提案:知能と結びつくものはすべて、表面的にはちがうように見えるが、実際には同じ基本的な皮質アルゴリズムの現れである。
・知能の多様性もひとつの基本アルゴリズムのなせる業。


ダーウィンとマウントキャッスルの提案の差異:
ダーウィンアルゴリズムが何かを知っていた。
・進化の基盤はランダムな変異と自然選択。
ダーウィンはそのアルゴリズムが体内のどこにあるのか知らなかった。
・マウントキャッスルは、皮質のアルゴリズムが何かを知らなかった。
・知能の原理が何かを知らなかった。
・このアルゴリズムが脳のどこにあるかを知っていた。


・皮質アルゴリズムの場所に関してのマウントキャッスルの提案:
 新皮質の基本単位、知能の単位は、「皮質のコラム(柱状構造)」
・皮質コラム1個は1平方ミリメートルを占めている。
・2.5ミリの厚さを貫通して伸びているので、容積は2.5立方ミリ。
・人間の脳にはおよそ15万個の皮質コラムがぎっしり並んでいる。
・人間の新皮質は、15万個の短いスパゲティのかけらが、縦にぎっしり並べられているようなもの。


・皮質コラムは顕微鏡では見えない。
・コラム間に目に見える境界がないため。
・あるコラムの細胞すべてが網膜の同じ部分、あるいは皮膚の同じ部分に反応するが、隣のコラムの細胞はすべて、網膜の異なる部分、または皮膚の異なる部分に反応する。
→この反応のグループ分けが、コラムを定義する。


・コラムは新皮質のあらゆる場所に見られる。
・コラムそれぞれはさらに数百の「ミニコラム」に分かれている。
・皮質コラムが細いスパゲティだとしたら、ミニコラムは髪の毛1本のようなさらに細いものが、スパゲティのなかにぎっしり並んでいるようなもの。
・ミニコラムそれぞれには、すべての層にまたがって延びる100個あまりのニューロンが入っている。
・ミニコラムは物理的に区別できるので、顕微鏡で見える。


<マウントキャッスルの普遍的アルゴリズムの提案の根拠>
①新皮質のあらゆる場所に見られる込み入った回路は、驚くほど似ている。
②ヒト科の祖先にくらべて現生人類の新皮質が大きく拡張したのは、進化にしては急速で、ほんの数百万年前のことだった。
・この時間では進化により複数の新しい複雑な能力が現れるには不十分であるが、進化が同じもののコピーをたくさんつ
くるには十分。
③新皮質の各領域の機能は固定されていない。
④極端な柔軟性の根拠がある。
・人間は進化圧力のないさまざまなことができる。
・脳は汎用の学習法に頼っている。
・事実上どんなことでも学習可能であるためには、脳が普遍の原理に基づき働く必要がある。


・ほぼすべての神経科学者は、人間の脳の仕組みを理解したい。
・それは新皮質の仕組みを理解すること。
・それには、皮質コラムが何をするかを理解する必要あり。
 →脳に対する理解の探求は、皮質コラムが何をどうやってやるかの解明。
・皮質コラムを理解することは、圧倒的に最大かつ最重要なパズルのピース。