ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論

ジェフ・ホーキンス 著 大田直子 訳「脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論」メモ 

ジェフ・ホーキンス 著  大田直子 訳
「脳は世界をどう見ているのか」メモ

第1部 脳についての新しい理解

第5章 脳のなかの地図
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【まとめ】
・脳の古い部位には、特定の場所に来るたびに発火する①場所細胞と、環境内の複数の位置で発火する②格子細胞、動物の頭が向いている方向を表現する③頭方位細胞と呼ばれるニューロンがある。
・各皮質コラムは上記①~③に相当する細胞セットをもつ。
・新しい物体の学習は、一個の皮質コラム内にある二層のニューロン群の関係を学習することにより成し遂げられる。
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★進化の話
・動物にはどちらに動くかを決めるメカニズムが必要。
・単純な動物には単純なメカニズムがある。
・勾配に従う細菌:栄養物のような必要な資源の量が増えていれば、同じ方向に動き続け、減っていれば向きを変えて別の方向を試す。
・細菌は自分がどこにいるか知らない。
・世界における自分の位置を表現するすべがない。
・ただ前に進み、単純なルールに従い、いつ向きを変えるか決める。
・ミミズも庭のどこに自分がいるか知らない。


・環境に対する自分の位置を知っている動物の強み
・過去にどこで栄養物をみつけたか、どこを避難所として使ったかを記憶できる。
・前に訪れた場所に現在地から行く方法を計算できる。
・自分の位置と世界にあるほかのものの位置を知ることには多くのメリットがある。
・それには座標系が必要。
・自分の座標系をもつことは、生き延びるのに役立つ。


・ほ乳類は、強力な内部ナビゲーションシステムを持つ。
・脳の古い部位に、訪れたことのある場所の地図を学習するニューロンがある。
・そのニューロンは、長い間進化圧にさらされているので、その役割をうまくこなすよう微調整されている。
・ほ乳類では、地図ニューロンがある古い脳の部位は、海馬と嗅内皮質と呼ばれている。
・これらの器官は、人間では指一本くらいの大きさで、脳の中心近く、左右両方にひと組ずつある。


★古い脳のなかの地図
・場所細胞:ラットが特定の環境の特定の場所に来るたびに発火するニューロン
・場所細胞は地図上の「現在地」マークに似る。


・格子細胞:環境内の複数の位置で発火する。
・格子細胞が活性化する位置は、格子状のパターンになる。
・ラットが直線上を歩けば、同じ格子細胞が一定間隔で何度も活性化する。


・格子細胞だけでは、ある位置に何があるかはわからない。
・場所細胞は、区画内に印刷されている詳細のようなもの。
・場所細胞はラットに、感覚入力にもとづいて自分がどこにいるか教えるが、場所細胞だけでは動きを計画できない。
→そこには格子細胞が必要。
・二種類の細胞がともに働いて、ラットの環境の完璧なモデルをつくる。


★新しい脳のなかの地図
・場所細胞と格子細胞が進化上、新皮質より古いことは確実。
・新皮質は新しいメカニズムをゼロから進化させたというより、格子細胞の派生物を使い座標系をつくっている可能性が高い。


・何かの完璧なモデルを学習するには、格子細胞と場所細胞の両方が必要。
・格子細胞は位置を特定し動きを計画するための座標系をつくる。
・座標系内の位置と感覚入力を結びつけるには、場所細胞により表される感知された情報も必要。


・新皮質は古い脳と同じ基本神経メカニズムを使うが、いくつかの点でちがう。
・自然が海馬と嗅内皮質をはがし、最小の形態にし、そのコピーを何万もつくり、皮質コラムの中に並べたかのようで、それが新皮質になった。


・古い脳内の格子細胞と場所細胞が追いかけるのは体の位置。
・それらの細胞は体がいまの環境内のどこにあるかを知っている。
・新皮質は、この回路のコピーを皮質コラム一個につきひとつ、合わせておよそ15万個もつ。
・新皮質は何千もの位置を同時に追いかける。
・皮膚の小区画それぞれが、新皮質のなかに独自の座標系をもつ。
カップに触れている指先は、箱を探検している5匹のラットのようなもの。


★ごく小さな空間のなかの巨大な地図
・新皮質はどうやって1平方ミリ当たり何百というモデルを詰め込むのか?
・地図に行と列の印があり、100個の区画に分割されている。
・各区画を切り取り、その格子座標を記す。
・同じことを9枚の地図で行う。
・1000枚の区画があり、10の町それぞれに100枚の区画。
・区画をシャッフルし、積み重ねる。
・その山には10枚の完全な地図が入っているが、一度に一カ所しか見ることができない。


・この地図の使い方は一般的なやり方とはちがう。
①区画地図の山にはすべての地図が入っている。
 区画の山を使い、自分がどの町にいて、その町はどこにあるのかの両方を割り出せる。
②自分がどこにいるか確信がなければ、動くことにより町と位置を判断できる。
③このシステムはたくさんの地図をすばやく扱うための拡張性がある。
 ニューロンが使う連想記憶のおかげで、すべての区画地図を一度に検索できる。
 ニューロンが1000枚の地図を検索するのに要する時間は、一枚を検索するのにかかる時間と同じ。


★皮質コラムのなかの地図
・地図のようなモデル構築を新皮質のニューロンがどうやって実践するか。
・どの皮質コラムも物体全体のモデルを学習できる。
・新皮質全体のあらゆるコラムに独自の区画地図セットがある。
・皮質コラムにはニューロンの層がいくつかある。
・その中には区画地図をつくるのに必要な層がある。


・図は一個の皮質コラム内にある二層のニューロン群(色付きの四角部分)を表す。
・コラムは幅約1ミリメートルだが、この層それぞれに一万ものニューロンが入っている。

 


・上の層:コラムに対する感覚入力を受け取る。
・入力が届くと、数百のニューロンが活性化する。
・上の層が表すのは、たとえば噴水のように、どこかの位置で目にするもの。


・下の層:座標系内の現在位置を表す。
・位置を表すが、そこで目に入るものは表さない。
・白地の四角のようなもの。


・二本の垂直の矢印:白地の区画地図(下の層)とその場所で目にするもの(上の層)の結合を表す。
・下向き矢印:噴水のような観察された特徴が、特定の町の特定の位置とどう関連しているか。
・上向き矢印:特定の位置を、観察された特徴と関連づける。
・上の層はおよそ場所細胞に相当する。
・下の層はおよそ格子細胞に相当する。


・新しい物体の学習は、二層の関係、つまり二本の垂直矢印を学習することにより成し遂げられる。
・物体は、物体上の一連の位置(下の層)と関連する一連の観察された特徴(上の層)により定義される。
・位置がわかれば特徴を予測できる。


<情報の流れ>---
感覚入力が到着
   ↓
上の層のニューロンにより表現される
   ↓
その入力と関連する下の層を呼び起こす
   ↓
指を動かすなどの動きが起こる
   ↓
下の層は予想される新しい位置に変化
   ↓
上の層では次の入力の予測が起こる
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★方位
・古い脳には頭方位細胞と呼ばれるニューロンがある。
・この細胞は動物の頭が向いている方向を表現する。
・頭方位細胞はコンパスのような役割を果たすが、磁北に縛られてはいない。
・部屋または環境に位置合わせされている。
・皮質コラムにも頭方位細胞に相当する機能を果たす細胞があるにちがいない→方位細胞と呼ぶ。