20年ほど前、学生の頃に読んだ本だけど、もう一度ちゃんと読んでみたくなったので、少しづつ読むとしよう。
- 作者: トランスナショナルカレッジオブレックス
- 出版社/メーカー: ヒッポファミリークラブ
- 発売日: 1991/08
- メディア: 単行本
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トランスナショナル カレッジ オブ レックス編 「量子力学の冒険」
第一話 <M. Planck A. Einstein 「光は何者だ!」> メモ
1.1 はじめに・「量子」とは、あらゆる物質を構成している最小単位のこと。
・「古典力学」では、光は波であると説明されていた。
1.2 スリットの実験
・イギリスの物理学者ヤングの1807年のスリットの実験で、光の干渉が確認されたため、
光は波と考えられていた。・「光=波動」説はヤングの実験以降、100年に渡って定説となり、マックスウェルの
「電磁気学」はこの説の集大成。
1.3 プランク
☆空洞輻射の問題
・空洞輻射の問題が「量子力学」の扉を開ける結果となった。・空洞輻射の問題:鉄などでできている中が真空の箱を熱したとき、箱の中にどんな「光」が
充満するのかを調べる実験。・真空中では「光」が熱を伝え、温度によって様々な色に変化する。
・いろいろな温度の時に、箱の中にはどんな光が充満するかを調べ、説明すること。
・箱の中の光は「スペクトル」で表すことができる。
・調べたい光の中に、どんな色がどのくらい含まれているかを調べる
→分光器を使って調べる・振動数は一般的に「ν」で表す
・光の場合、振動数は「色」に直結している
・我々は振動数の違いを色の違いとして認識する。
☆レイリー・ジーンズの理論
・レイリーとジーンズが、古典理論を用いて箱の中のスペクトルを表す式を導いた
(レイリー・ジーンズの公式)8πν^2
U(ν)dν= ―――――kTdν
C^3・この式では実験から得られるスペクトルを表すことができなかった
☆エネルギー等分配の法則
・オーストリアの物理学者L.ボルツマンにより発見された法則<E>= kT/2
<E>:時間平均された分子のエネルギー
k :ボルツマン定数(1.83×10^-15)
T :温度
・温度が高ければもらえるエネルギーは大きく、低ければ小さい
・エネルギーの正体は「分子」
・分子の運動を計算するには、分子ひとつひとつにニュートン力学をあてはめる
・分子の数は膨大なので、「統計」を使い、平均値から分子のエネルギーを計算する
・分子のエネルギー<E>は、分子1個のもつ「自由度」1つに対してのエネルギー
・自由度:空間の中をどれだけ自由に動くことができるか
・例えばボールの自由度は、”前後”、”左右”、”上下”の「3」
・自由度の数は、分子の形(原子のつながり方)によって決まる
☆波の自由度を考える
・波の自由度は「位置エネルギー」と「運動エネルギー」の二つ。
・光は三次元の波であるため、いろいろな振動数で波がどのくらい密集しているか(密集度)
を調べる必要がある。・密集度を調べるには、ある幅をとり、その中の波の数を数える
・密集度は振動数で変わるため、ある幅をdνとして、ある振動数νとν+dνの間の
波の数を数える。・3次元の場合には次式となる
8πν^2
―――― dν
C^3・振動数が大きくなるにつれて波の密集度はνの二乗に比例して大きくなる。
・プリズムで測定されるエネルギーU(ν)dνを求めるには、
(波の密集度)×(1つの波のエネルギー)
とすればよい。
8πν^2
U(ν)dν= ―――――kTdν
C^3
☆ウィーンの公式
・ドイツの物理学者ウィーンが空洞輻射を表す新しい式を発表した。
・ある温度の時のスペクトルからそれ以外の温度の時のスペクトルを予測するという方法で
作られた。・この理論では、自由度ごとに分配されるエネルギー<E>は温度Tだけでなく、振動数ν
でも変わる。kβν
<E>=―――――――
e^(βν/T)・この式からスペクトルを表す式U(ν)dνを求めると
8πν^2 kβν
U(ν)dν=―――――― ―――――――― dν
C^3 e^(βν/T)・式中のβは定数で、これを適当に決めると実験からのスペクトルとよく一致する。
・振動数νが大きいところでは実験のスペクトルと一致するが、振動数の小さいところは
少しずれがある。
☆プランク登場
・プランクはレイリー・ジーンズとウィーンの公式からスペクトルを表す公式を導いた8πν^2 kβν
U(ν)dν=―――――― ―――――――――― dν
C^3 e^(βν/T)―1・プランク定数:h
h=kβ
=6.62×10^-27 [エルグ・秒]
kβν
<E>=――――――――――
e^(βν/T)―1
hν
<E>=――――――――――
e^(hν/kT)―1
☆プランク公式の意味
・光のエネルギーはある決まった「とびとびの値」しかとらない。E=nhν(n=0、1、2、3、・・・)
・波のエネルギーは振幅の二乗に比例するため、エネルギーがとびとびということは、
波の振幅もとびとびの値しかとれない。
☆E=nhνからプランク公式を導く
・プランク公式は「1自由度あたりのエネルギーの時間平均値」を表している。・E=nhνが正しいならば、それを使って常に変化している1自由度あたりのエネルギーの
平均値を求めると、プランク公式になるはず。
・S.ボルツマンがみつけた統計力学の法則から、あるエネルギーを持つ回数は次式で求め
られる。P(E)=A・e^(-E/kt)
・0、hν、2hν・・・といったエネルギーをもつ回数は
エネルギー 0 1hν 2hν 3hν ・・・
回 数 P(0) P(1hν) P(2hν) P(3hν)となる。
・エネルギーの合計は、
0hν・P(0)+1hν・P(1hν)+2hν・P(2hν)+・・・
となり、これを全体の回数で割る。
0hν・P(0)+1hν・P(1hν)+2hν・P(2hν)+・・・
<E>=――――――――――――――――――――――――――――――――
P(0)+P(1hν)+P(2hν)+・・・
hν・P(1hν)+2P(2hν)+3P(3hν)・・・
=――――――――――――――――――――――――――
P(0)+P(1hν)+P(2hν)+・・・
P(hν)=A・e^(-hν/kT)
となるから
hν(e^(-hν/kT)+2e^(-2hν/kT)+・・・
<E>=――――――――――――――――――――――――――
e^0+e^(-hν/kT)+e^(-2hν/kT)+・・・
e^(-hν/kT)=xとおけば、
hν(0+x+2x^2+・・・)
<E>=――――――――――――――――
1+x+x^2+・・・
以下の公式から<E>の式を書き換える
a+(a+d)x+(a+2d)x^2+(a+3d)x^3+・・・
a ad
=―――― + ―――――
1―x (1―x)^2・分子を上の式と比べると a=0、d=1、分母は a=1、d=0であるので、
<E>の式は次式となる。x
hν――――――
(1―x)^2 hν・x hν
<E>=――――――――― = ―――― =―――――
1 1―x x^-1―1
―――
1―xxをe^(-hν/kT)にもどすと
hν
<E>=――――――――――ー
e^(hν/kT)ー1
・レイリー・ジーンズの公式が空洞輻射の光のスペクトルを説明できなかったのは、
エネルギー等分配の法則から導いていたから。・エネルギー等分配の法則は、エネルギーを受け取る側が連続にエネルギーを受け取ることが
できて初めて成り立つ。・とびとびのエネルギーを持つものは、エネルギーを受け取るときにも、とびとびでしか
受け取れず、分配されたエネルギーをすべて受け取れない場合がある。・空洞輻射のスペクトルが振動数の大きいところで0に近づくのは、等しく分配されるはずの
エネルギーを、振動数に比例したとびとびのエネルギーしかもてない光がうまく受け取れなく
なっている様子を表している。
・ニュートン力学では、波のエネルギーは連続的に変化するもので、とびとびの値しか持たな
いとは考えられないことだった。