ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

偉大なる宇宙の物語

ローレンス・クラウス 「偉大なる宇宙の物語」メモ

偉大なる宇宙の物語 ―なぜ私たちはここにいるのか?―

偉大なる宇宙の物語 ―なぜ私たちはここにいるのか?―

 

ローレンス・クラウス 「偉大なる宇宙の物語」メモ

 

第13章 無限に生じる最高に美しい形態:対称性の逆襲

・母なる自然はちょっとした左利き
・核物理学における最も重要な発見は、陽子と中性子が互いに変換しうること。

・陽子と中性子との明白な違い(陽子には電荷があり、中性子にはない)が、原子核を支配する根本的な物理に関する限り、たいした問題ではないかもしれない。
・弱い力は陽子を中性子に変換できた。
・陽子や中性子との衝突をともなう別の核反応の頻度を調べると、中性子を陽子に置き換えたり、逆に中性子を陽子に置き換えても結果はたいして変わらない。


中性子と陽子が同じ粒子の二つの状態にすぎないのではないか。
・二つを区別するためのパラメータ案:アイソスピン
中性子と陽子は質量がほぼ同じで、安定した軽い原子核の中には同数の中性子と陽子が含まれる。
・核反応がおおむね陽子と中性子を区別できない。
・核反応においてアイソスピンは「保存」される。
・陽子と中性子のあいだの核力を支配する根本的な対称性がある。


・正と負の恣意的な区別と電荷保存(ある系の合計電荷量がいかなる物理反応の前後でも変わらないこと)との関係は自明ではない。
<ネーターの定理>
・自然の基礎的な対称性(その前後で自然法則が変わらずにいられる変換)のもとでは、つねに、それに関連する特定の物理量が保存される。
→ある種の物理量は、時間とともに物理系が変化しても、一定のまま。


・ゲージ対称性は物理を変えずに正の電荷と負の電荷の定義を局所的に変えられることを示す。
・局所的な変更を可能にできる場があり、電荷間に働く長距離の力が正負の定義付けと無関係でいられるようにしなければならない。
→量子電磁気学では、その結果が質量ゼロの粒子(光子)の存在
・光子は電磁場の量子であり、これが離れた粒子と粒子のあいだで力を伝える。
<ゲージ不変性>
・電磁力の持つ形式をその形式たらめている不変性。
・荷電粒子と光のあいだの相互作用は、この対称性で規定される。


・アイソスピンの保存から導かれる、物理を変えることなく中性子と陽子をどこででも入れ替えられることを示唆する対称性を、「中性子」と定義されるものと「陽子」と定義されるものを場所により別々に変えられるようにするゲージ対称性のようなものに拡張する。
→場所による恣意的な定義変更を可能にし、その効果を中和させるには、何らかの新しい場が必要。
・その新しい場はそれ自体が電荷をもち、自らとも相互作用しなければならない。


・より複雑なゲージ対称性の背後にある数学
→非可換ゲージ対称性、ヤン=ミルズ対称性


・ヤン=ミルズの新しい「ゲージ場」が、離れた場所でなされた別々のアイソスピン変換の効果の原因であり、その効果を打ち消すものであれば、その場は「質量ゼロ」でなければならない。
・電磁力と重力のほかに、質量ゼロの粒子の交換に関わる長距離の力を自然界に観測したことはない。
→核相互作用は”短距離”であり、原子核の大きさの範囲にしか当てはまらない。

・その新しい粒子が原子核と相互作用するとき、なぜだか質量をもつようになる。
・その新しいゲージ粒子の質量はパイ中間子の質量より大きくなければならない。


<シュウィンガーの説>
・観測されている電磁力のゲージ対称性は、もっと大きなゲージ対称性の一面にすぎず、後者においては新しいゲージ粒子が、中性子崩壊を引き起こす弱い相互作用を仲介している。
・新しいゲージ粒子がきわめて重く、陽子や中性子よりも約100倍重ければ、それが仲介する相互作用は原子核の大きさよりもずっと短い距離でなされる。
・この相互作用が中性子崩壊を引き起こす確率は小さい。
・この新しい場は、小さなスケールでは電子と陽子に対する結合の強さが電磁力の強さに匹敵するくらい強いかもしれないのに、原子核以上のスケールでは、ずっと弱く見えることになる。
・電磁力と弱い相互作用はきっぱりと明白に違うにも関わらず、ともにヤン=ミルズ理論というひとつの枠組みの一部。

・光子はヤン=ミルズ理論においてアイソスピンをゲージ対称性として扱う上で必要となる三つのゲージ粒子のうち、弱い相互作用を伝えて中性子崩壊を仲介する働きをする二種類の荷電ゲージ粒子と並ぶ、中性型のゲージ粒子

・二つの問題点
①ゲージ対称性がどのゲージ粒子にも質量ゼロであることを求めるのに、力の違いによりその力を伝えるのに必要な粒子の質量が違うのか。
中性子崩壊、パイ中間子、ミュー粒子の崩壊が新しい荷電粒子の交換だけを必要としている。新しい中性の粒子の交換を必要とする弱い相互作用は観測されない。