ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ホーキング、宇宙を語る

ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)

ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)

第5章 素粒子と自然界の力 メモ

・原子は極度に小さな、正電荷を帯びた原子核と、それを取り囲むいくつかの電子からできている。

原子核は、電子と陽子、中性子からなる。

中性子は陽子とほぼ同じ質量であるが、電荷を帯びていない。

・陽子と中性子はもっと小さな粒子”クォーク”でできている


クォーク
クォークのフレーヴァー
 アップ、ダウン、ストレンジ、チャーム、ボトム、トップ

クォーク
 赤、緑、青


・陽子:二つのアップ・クォークと一つのダウン・クォークを含む
中性子:二つのダウン・クォークと一つのアップを含む


<スピン>
・粒子はスピンをもつ
・粒子のスピンが示すのは、異なる方向から見たときに粒子がどう見えるかということ。

スピン0の粒子:点に似て、どの方向から見ても同じに見える。
スピン1の粒子:矢印に似て、方向によって異なって見える。
        完全に1回転させたときにだけ同じに見える。
スピン2の粒子:二つの尖端をもつ矢印に似て、半回転すると同じに見える。
ズピン1/2の粒子:二回転させると同じにみえる。


・スピン1/2の粒子:宇宙の物質をつくる粒子
・スピン0,1,2の粒子:物質粒子間の力を生み出す。


・物質粒子は「パウリの排他原理」にしたがう。
・パウリの排他原理:二つの同じような粒子は同じ状態をとることができない。二つの粒子は、不確定性原理の課する制限の中で、位置と速度の両方が同じになることができない。

・パウリの排他原理は、物質粒子がスピン0,1,2の力の影響を受けつつ、なぜ非常に高い密度の状態に崩壊しないのかを説明する際に重要。
物質粒子がほとんど同じ位置にあるとすれば、かなり異なる速度をもつはずなので、同じ位置に長くとどまっていられない。


・すべての粒子には反粒子があり、いっしょに消滅しあう。


量子力学では、物質粒子間の力あるいは相互作用は、すべて整数スピン(スピン0,1,2)の粒子により運ばれる。

・電子あるいはクォークのような物質粒子が力を担う粒子を放出している。
 この放出の反動で物質粒子は速度が変わる。
 力を担う粒子ば別の物質粒子に衝突・吸収される。
 この衝突のために第二の粒子の速度も変化し、二つの物質粒子の間に力が働いたようになる。


・力を担う粒子は排他原理に従わない。
 二つの物質粒子間で交換できる粒子数に制限がなく、強い力が生じうる。

・力を担う粒子の質量が大きいと、それをつくりだし、大きな距離をへだてて交換することが難しい→短距離力
・力を担う粒子が質量をもたない→長距離力

・物質粒子の間でやりとりされる力を担う粒子は仮想粒子であり、検出器で直接検出できない。
・仮想粒子が物質粒子間の力を生み出す。
・ある状況のもとでは、実在粒子としても存在できる、直接検出可能。
 →光波、重力波などがそれで、物質粒子が仮想的な力を担う粒子を交換して相互作用する際に放出することもある。


<力を担う粒子の4つの種類>
1.重力
・最も弱い力
・遠距離まで作用が届く
・常に引力として働く
重力場量子力学的な見方で見ると、二つの物質粒子間の力は、重力子と呼ばれるスピン2の粒子が担う。
重力子は質量をもたないので、担う力は長距離力。
・二つの物体の間に重力が働くのは、二つの物体をつくり上げている粒子の間で重力子が交換されるから。

2.電磁気力
電荷を帯びた粒子には働くが、重力子のような電荷を帯びていない粒子には作用しない。
・重力にくらべてはるかに強い。
・二つの電子間に働く電磁気力は、その間に働く重力の10^42倍。
電荷には正、負の2種類ある。同電荷どうしにはたらく力は斥力であるが、異電荷間の間の力は引力。
・原子や分子の尺度では、支配的なのは電磁気力。
・電磁気の引力は、光子と呼ばれる、スピン1で質量のない仮想的な粒子を大量に交換することで生じる。

3.弱い力
放射能にかかわりのある力。
・スピン1/2のすべての物質粒子に作用するが、光子や重力子のようなスピン0、2、1の粒子には作用しない。
・重いベクトル・ボース粒子とよばれるスピン1の粒子が三つあり、弱い核力を担っている。
・これらはW+、W-、z0であり、100ギガ電子ボルト程度の質量をもつ。
・これらは自発的な対称性の破れをもち、低エネルギーでは異なった粒子に見えていたのが、実はすべて同じ型の粒子であり、ただ異なる状態にあるように見えていただけ。
・エネルギーが100ギガ電子ボルトをはるかに越えると、三つの粒子と光子はすべて似たふるまいを示す。もっと低い粒子エネルギーでは、粒子間の対称性は破れ、W+、W-、z0は大きな質量を獲得し、その担っている力の到達距離は短くなる。

4.強い核力
・スピン1の粒子、グルーオンが担う力で、陽子と中性子の中でクォークをまとめており、原子核の中で陽子と中性子をまとめる強い力。
グルーオンは自分自身およびクォークとしか相互作用しない。
・強い核力には”閉じこめ”と呼ばれる性質がある。
グルーオンは全体として白色に見えるような集団をつくり、このような集団がグルー・ボールと呼ばれる不安定粒子。
・強い核力には漸近的自由性と呼ばれる性質がある。
 高エネルギーでは強い核力はずっと弱くなり、クォークグルーオンがほとんど自由粒子のようにふるまう。

大統一理論 GUT>
・強い核力は高エネルギーで弱くなる。
 大統一エネルギーでは、三つの力はすべて同じ強さになり、単一の力の異なる側面に他ならなくなる。クォークと電子のような、スピン1/2をもつ異種の物質粒子もこのエネルギーでは本質的に同じになる。


・通常の物質の質量の大部分を占めている陽子が自発的に崩壊して反電子のようなより軽い粒子になる予測がある。
・これが可能なのは、大統一エネルギーのもとではクォークと反電子の間には本質的な違いがなくなるから。


・なぜ反クォークにくらべてクォークがこれほど多いのか?
・GUTによれば、クォークは高エネルギーで反電子に変わることができる。
 その逆過程、つまり反クォークが電子に変わることも電子と反電子が反クォーククォークに変わることも許されている。その結果クォークが反クォークよりも多くなるのは、クォークと反クォークとでは物理法則が同じでないから。


量子力学と相対論にしたがう理論は、組み合わされた対称性CPTにつねにしたがわなければならない。
・時間の向きを逆にすれば物理法則は変わるはず→対称性Tに従わない
・対称性Tにしたがわない力が存在するため、宇宙が膨張するにつれ、電子が反クォークに変わるよりもさらに多数の反電子がクォークに変わることができた。反クォークよりもクォークの方が多いので、少数のよぶんなクォークが残ることになった。