ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

偉大なる宇宙の物語

ローレンス・クラウス 「偉大なる宇宙の物語」メモ

偉大なる宇宙の物語 ―なぜ私たちはここにいるのか?―

偉大なる宇宙の物語 ―なぜ私たちはここにいるのか?―

 

ローレンス・クラウス 「偉大なる宇宙の物語」メモ

 

第15章 超伝導体の中に暮らしていたら

<ブーツストラップ仮説>
・真に基礎的な粒子の存在を放棄。
・あらゆる微視的量子論もを放棄。
・観測されるすべての強く相互作用する粒子は点状の粒子ではなく、別の粒子の複雑な結合状態と推測。
・あらゆる粒子がそれとは別の粒子でできていると考える。
・最初の根源的な素粒子や、特別な素粒子はひとつもない。


<重いベクトル中間子>
強い相互作用は短距離(原子核の大きさくらい)しか作用しないから、この力を伝えるのに必要な粒子はそれなりの質量を持つが、それでは厳密なゲージ対称性とは折り合わない。
・質量をもつこと以外では、その粒子には光子と多くの共通点があり、もっているスピンの量も1となる。(ベクトルスピン)
・この粒子は重いベクトル中間子と呼ばれる。


<八道説>
・八種類のベクトル中間子の分類が可能で、強く相互作用する粒子の存在も予言。

クォーク
・八道説における対称性の真の性質を物理学的に説明するもの。
クォークが、陽子や中性子などの強く相互作用する粒子すべての構成要素だと想定すると、既知の粒子の対称性と特性を予言できる。


・量子電磁力学をヤン=ミルズ的に拡張するには、光子に似た新しい粒子が質量を「持たない」ことが必要。


<マイスナー効果>
・磁石が超伝導体の上で空中浮遊することが可能。
・変化する磁場は離れた導線に電流を流す。
・そうして生じた電流が流れ続けるうち、外部の変化する磁場と反対の方向に新しい磁場が生じる。


・完全導体は外部のあらゆる定電場の効果を遮断する。
電荷がどんな場にも対応して超電導体内で再編成できるため、完全にその効果を打ち消せるから。


超伝導体の場合、あらゆる磁場が超伝導体の内部に侵入できない。
・変化する磁場により生じる電流は、超伝導体の中で流れ続けるため、電場が遮断されるだけでなく、磁場も遮断される。
・その結果、磁石が超伝導体の上に浮遊する。
超伝導体の中の電流が、外部の磁石により生じた磁場を押し出すから、それが磁石と反発する。


<ロンドンの侵入長>
超伝導体は、それぞれ種類ごとに、超伝導体の表面下に独自の特徴的な長さスケールを生みだし、外部の磁場はいずれもその長さスケールで打ち消される。
・この長さスケールをロンドンの侵入長といい、その値は超伝導体の種類により異なり、それぞれの超伝導体の詳細な微視的物理に依存する。
超伝導体の中では電磁場が異なったふるまいをし、そこでは長距離にわたる作用をしないことを示唆。
 電磁場が超伝導体の内部で短距離になるのなら、電磁力を伝える粒子も違ったふるまいをする。光子のふるまいが、超伝導体の内部では質量を持っているかのようになる。


・われわれは宇宙の超伝導体のようなものに暮らしていて、それゆえ光子に似た重い粒子の質量が発生しうるのか?


・電磁波は電場と磁場が電磁波の進行方向と垂直の方向で前後に振動する。
・電磁波は二つの自由度をもち、それは二種類の偏極をもつことを反映している。
・これは電磁力のゲージ不変性から生じ、光子に質量がないことから生じる。


・もし光子に質量があるなら、ゲージ不変性が破れるだけでなく、三番目の可能性が生じる。
・電場と磁場が運動方向と垂直に振動できるだけでなく、運動方向に沿って振動することができるようになる。
・質量のある光子には三つの自由度があり、この余分の自由度を光子は超伝導体の中でどうやって得るか?

・電磁相互作用が起こらない超伝導体の中では、クーパー対の凝集体にわずかな空間的変化を生じさせることが可能。
・クーパー対は互いと相互作用しないため、そのエネルギーコストはいくらでも小さくなれる。
・電磁相互作用を計算に入れると、その低エネルギーモード(これにより超伝導が破られる)が、まさしく凝集体の中の電荷が電磁場と相互作用することにより消滅する。
・この相互作用が超伝導体の中の光子に、あたかも質量があるかのようにふるまわせる。
超伝導体の中にある質量を持つ光子の新しい偏極モードが、電磁波の通過に応じた凝縮体の振動として発生する。
・微少なエネルギーを持つ粒子に相当する、質量のない南部=ゴールドストーンモードが、電磁場に「食われて」しまった凝集体の中で振動し、光子に質量と新しい自由度を与え、電磁力を超伝導体の中で短距離にする。