第四章を読んだ。「私」は世界とどういう関係をもつかといえば、それは時間性の中にしかありえない。ミクロの世界では時間、空間の反転が可能であり、過去・現在・未来といった時間の向きや流れは存在しない。ミクロな世界を扱う物理学で観測される時間は、あくまで(相対論的)C系列。
- 作者: 橋元淳一郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/12/14
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橋元淳一郎 「時間はどこで生まれるのか」 第四章 <時間を逆行する反粒子> メモ
☆ミクロの世界には時間は存在しない
要点のまとめ
・原子1個といったミクロな世界においては、時間そのものが実在ではない(その他の
物理量もまた実在ではない。そこでは因果律さえ成立しない。・原子の大集団であるマクロな系(観測装置)を使うと、ミクロな存在の時間(やその
他の物理量)を観測することは可能になる。
・ミクロの世界において、過去・現在・未来といった時間の向きや流れは存在せず、
時間の問題はマクロな世界から始める必要がある。
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☆「私」は時間性の中に生きている
・相対論より、空間は虚であり、時間は実。
・私のいる現在を境にして、世界は絶対過去と絶対未来の二つに完全に分離される。
・時間が「実」であることの意味:私が因果関係をもてる世界が、時間方向だけである
こと。
・「私」は世界の一部であり、デカルトが言う物質世界と独立した精神は妄想。
・「私」は世界-内-存在である。
・「私」は世界とどういう関係をもつかといえば、それは時間性の中にしかありえない。
・本質的な問:時間の向きや流れはなぜ過去から未来に向かわなければならないのか。
・相対論的時間はマクタガートのC系列であり、時間の向きや流れはない。
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☆反粒子は時間を逆行する粒子である。
・素粒子物理学では、反粒子は過去へ「旅する」粒子と見なされる。
・あらゆる粒子にはその反粒子が存在し、それらを未来から過去へ向かって進む粒子と
見なして全てが説明できる。
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☆時間と空間を交換できるファインマン図形
・ファインマン図形では時間と空間の反転も可能
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☆相対論的C系列としての時間
・ミクロの存在を時空の中を動く軌跡(すなわち世界線)として描くことは可能であるが、
その向きには必然性はない。
・ミクロな存在に時間という性質をあてがうことは可能であるが、それは時空に描かれ
た一覧表にすぎない。
・ミクロな世界を扱う物理学で観測される時間は、あくまで(相対論的)C系列である。