ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ホーキング、宇宙を語る

ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)

ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)

第10章 物理学の統合 メモ

・物理学の統合
 部分理論をすべて近似として含み、事実に合わせるための恣意的な数値の導入による理論の調整の必要のない、完全な、矛盾のない統一理論


・弱い力、強い力、電気気力は大統一理論(GUT)にまとめられるが、この理論は重力を含んでいないのと、観測結果に合わせて選ぶ必要のある量を含む点で不満足なもの。

・重力と他の力を統一する理論を見いだすのが難しいのは、一般相対論が”古典的”理論であるため。
・古典理論は量子力学不確定性原理になじまない。
・一般相対論と不確定性原理を結びつけるのが第一歩。


<弦理論>
・基本となる対象は、長さはもつが他の次元をもたない、無限に細い一本の弦
・弦は端をもつことができ、自分自身とつながって閉じた環をつくることもできる。
・粒子はそれぞれの瞬間に空間の一点を占めるので、その経歴は時空の中の線として表される(世界線)。
・弦はどの瞬間にも一本の線を占め、時空における経歴は世界面と呼ばれる二次元の面。
・開いた弦の世界線は帯で、その縁は弦の端が時空を通る経路を表す。
・閉じた弦の世界面は円柱あるいは管。
 管の断面は円であり、ある特定の時刻における位置を表す。

・二本の弦は結びついて一本の弦をつくることができる。

・弦理論では、それ以前には粒子と見なされていたものは、弦を伝わる波として描かれる。
・ある粒子が他の粒子から放出・吸収されるのは、弦の分割と結びつきに対応する。


・弦理論は時空が10次元あるいは26次元でないと、弦理論は無矛盾にならない。

・初期の宇宙では、すべての次元が大きく湾曲していたと考えられるが、なぜ他の次元が湾曲したままなのに、一つの時間と三つの空間次元だけが平らにのびたのか
→可能な答えの一つは人間原理
 われわれの知るような生命は、一つの時間次元と三つの空間次元が小さく巻かれていないような時空領域にしか存在できない。


<統一理論の可能性>
(1)完全な統一理論は本当に存在しており、われわれが十分利口であれば、いつかそれを発見する。
(2)宇宙の究極的な理論は存在せず、宇宙をよりいっそう正確に記述していく、無限の理論の系列があるだけ。
(3)宇宙を記述する理論はない。できごとはある限度以上に予測することはできず、無作為に、恣意的なやり方で起こる。


・理論の無限の系列があり、それがよりいっそう洗練されていく(2)の可能性は、これまでのわれわれの全経験と一致する。

・重力が無限の系列に限界を課している
・よりいっそう洗練されていく理論の系列は、より高いエネルギーに向かうにつれ、ある限界にぶつかるはず。
→なんらかの究極的な宇宙理論があるはず。


・完全な統一理論が発見されても、できごとが全面的に予測できるようになるのではない。
(1)量子力学不確定性原理がわれわれの予測能力に制約を加えている
(2)非常に簡単な状況を除き、理論の方程式が厳密には解けない