リサ・ランドール/監訳 向山信治 訳 塩原通緒 「ワープする宇宙」メモ
「ワープする宇宙」は、超ひも理論から派生した、余剰次元に関する理論について解説した本で、10年ちょっと前に一通り読んだものの、途中でチンプンカンプンになってしまっていたので、懲りずに再チャレンジすることにした。
リサ・ランドール 監訳 向山信治 訳 塩原通緒
「ワープする宇宙」メモ
Ⅰ部 空間の次元と思考の広がり
序章
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【まとめ】
・空間の三次元以外の別の次元(余剰次元)は、直接観測はできないが、理論的には存在しうる。
・余剰次元の仮説は、標準的な三次元の素粒子物理学で大きな謎となっている、重力の弱さに回答を与えるかもしれない。
・余剰次元は微少であるはずとされてきたが、無限大であるかもしれない。
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・空間の別の次元は理論的には存在しうる。
・仮説上の見えない次元には名前がない。
・仮に存在するとすれば、そちらへ移動可能な新しい方向ということになる。
・ある余剰次元に名前が必要なとき、パッセージと呼ぶ。・パッセージは、平坦かもしれないし、湾曲しているかもしれない。
・パッセージの 大きさは、微少だと考えられていたが、無限大の可能性もある。
・パッセージは、実際に見ることはできない。
・無限大の見えない次元は、宇宙に存在するかもしれない多くの奇妙な可能性の一つ。
●なぜ見えない次元を考えるのか
・余剰次元は、宇宙の最も基本的な謎のいくつかを解明するかもしれない。
・準結晶の根本的な秩序は、余剰次元でしか解明できない。
・ふつうの結晶は、原子・分子が対照的な格子状になり一定の基本配列で繰り返し並ぶ。
・準結晶における原子と分子の配列は、その並びのいずれとも違う。
・準結晶の分子の並びを説明するエレガントな方法は、これを高次元の結晶構造の投影と見ること。
・その並びは高次元では対称性をうちに秘めている。
●本書のあらまし
・余剰次元という仮説は、素粒子物理学と宇宙論の関係、三次元だけで考えていたのでは理解しがたい関係について新たな光をあてる。
・標準モデルの謎に対する答えの探求と、どのようにして私たちが余剰次元のある世界にいると考えるに至ったかを伝える。
・各主題の三つのカテゴリー
20世紀初等の物理学
素粒子物理学
ひも理論
・ひも理論は量子力学と一般相対性理論を統合する理論の最有力候補。
・自然界の最も基本的粒子は、振動するひも。
・余剰次元の研究は、ひも理論から派生した。
・ひも理論では、空間の次元が三つよりも多く存在しなくてはならない。
・ブレーンは、ひも理論のなかに含まれる膜のような物体。
・解明されていない大きな謎のひとつ
重力がほかの既知の力に比べてなぜ弱いのか?
・標準的な三次元の素粒子物理学では、重力の弱さは大きな謎。
・余剰次元は、これに回答を与えるかもしれない。
・仮説は、アインシュタインの一般相対性理論から派生する「歪曲(ワープ)した幾何」という概念に基づく。
・一般相対性理論によれば、空間と時間は単一の時空構造に統合される。
・この時空構造は、物質とエネルギーによりねじれ、歪められる。
・これを余剰次元という新たな見方に当てはめた。
・結果、ある配置の時空構造では時空の歪曲が大きいため、空間のある領域では重力が強くても、ほかのところでは一様に弱くなることを発見した。
・余剰次元は微少でなければならないと考えられてきた。
・余剰次元が曲がった時空のなかで適切に歪曲していれば、余剰次元は無限大であるかもしれない(それでも目には見えない)。
・私たちは空間の三次元ポケットに住んでいて、宇宙のほかの部分は高次元世界のようにふるまっている可能性がある。
・時空はいくつもの異なる領域があり、それぞれの領域により次元の数も異なるかもしれない。
・ブレーンと呼ばれる膜のような物体は、複雑な高次元風景の重要な要素。
●未知の興奮
・重力の弱さを説明する余剰次元理論の最も刺激的な特長は、それが正しければ、近いうちに証明されるだろうということ。
・カルツァ-クライン・モードと呼ばれる粒子は、余剰次元のなかを移動しているが、その存在の痕跡を三次元の世界に残していく。
・カルツァ-クライン・モードは、三次元世界につけられた余剰次元の指紋。
・20世紀の物理学の発展とともに、観測対称は直接見られるものから、理論上の論理の流れに応じた測定を通じてしか「見る」ことのできないものへ変わった。
・クォークやダークマター、ダークエネルギーは、その存在を間接的に確認しているだけで、同様に余剰次元も直接的には私たちの前には現れない。
・余剰次元の痕跡が、間接的に余剰次元の存在を明かしてくれる。