ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ワープする宇宙

リサ・ランドール/監訳 向山信治 訳 塩原通緒 「ワープする宇宙」メモ  

リサ・ランドール  監訳 向山信治 訳 塩原通緒
「ワープする宇宙」メモ


Ⅴ部 余剰次元宇宙の提案

第22章
遠大パッセージー無限の余剰次元
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【まとめ】
・一枚のブレーンだけをもつ5次元時空は、5番目の時空が無限に伸びる。
・時空が激しく歪曲している場合、重力はブレーン近くの小さな領域に密集し、次元が無限に広がっていても問題ない。
・グラビトンが重力ブレーンに局所集中し、グラビトンのKKパートナーは重力ブレーン上での相互作用が弱いため、無限に伸びる5番目の次元が存在しても、重力の法則を含めたあらゆる物理法則・過程は、4次元世界のものと一致して見える。
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・曲がった時空は5次元でありながら、4次元のように見えることもある。
・この章の時空の幾何は、ブレーンが1枚しかない。
・二枚目の境界ブレーンがなく、一枚のブレーンだけがあり、5番目の次元は無限に伸びている。
・5番目の次元が無限に伸びていたら、周囲のものはすべて不安定になる。
→必ずしもそうではない


・時空が激しく歪曲している場合、重力がブレーン近くの小さな領域に密集し、次元が無限に広がっていても問題ない。


●局所集中したグラビトン
・局所集中したグラビトンは無限の5次元に行けないわけではない。
・ブレーンの近辺に極度に密集し、遠くの場所ではほとんど見つからない。
・グラビトンが限られた領域の外にほとんど出ないので、余剰次元は無限に伸びることができる。


・この宇宙に次元が10次元以上あるとすれば、局所集中と次元の巻き上げの組み合わせが残りの次元を隠している?


・唯一のブレーンが5番目の時空次元の片端に位置している。
・ブレーンには反射性があり、ブレーンにぶつかった時点でエネルギーを失うことはない。
・唯一のブレーンに標準モデルの粒子が閉じこめられている。
・ここで考えるモデルにはウィークブレーンは存在しない。


・二枚目のブレーンがなくても、重力は本物の4次元宇宙の重力と同じように見えるらしい。
・4次元グラビトンの相互作用は5番目の次元の大きさとほとんど無関係。
・二枚目のブレーンが必要なのは次元が平坦な場合であり、歪曲した時空には必要ない。


・歪曲した幾何におけるグラビトンの確率関数は、重力ブレーンの近辺ではつねに大きい。(5番目の次元が無限かどうかにかかわならい)
・グラビトンの確率関数は重力ブレーン上で最高値となり、5番目の次元に入ると指数関数的に減少する。
・確率関数の急落により、5番目の次元の遠い領域は無視してもかまわない。
余剰次元が無限でも、ブレーンにとどめられた物体の重力場にとって影響はない。


●グラビトンのKKパートナー
・局所集中した重力だけで、重力が4次元にいるかのようにふるまう、4次元有効理論を生み出せるのか?
・問題点:グラビトンのカルツァークライン(KK)パートナーも重力に影響を及すことができ、重力を大きく修正すること。


余剰次元の大きさが大きいほど、最もかるいKK粒子の質量が小さくなる。
・次元が無限であると、最もかるいKK粒子はどこまでも軽くなる。
・KK粒子の質量差も、余剰次元が大きくなるにつれ縮まる。
→非常に軽いグラビトンのKKパートナーがどの有限のエネルギー範囲においてもさまざまなかたちをとり無限に現れる。
・これらのKK粒子は重力法則に影響を及ぼし、変質させる。


・KK粒子の確率関数は、グラビトンのKKパートナーは重力ブレーン上やその近辺で、相互作用は非常に弱い。


・KKパートナーは観測可能なものに対して無視できる影響しか与えない。
・平坦な四次元と5番目の歪曲した次元を加えた平坦な4次元との違いをどう判別したらよいか分からない。


・グラビトンのKKパートナーの相互作用の弱さは、その確率関数の形状から理解できる。
・5番目の次元で運動量ゼロのKK粒子の確率関数は、重力ブレーン上に極度に集中し、そこから離れると指数関数的に減少する。
・この質量のないKKモードは、ニュートンの4次元法則の重力を伝える4次元グラビトン。
・質量ゼロからプランクスケール質量までのさまざまな質量をもつKK粒子が存在し、それらの確率関数は5番目の次元上のさまざまなところで最高値をとる。


・時空が歪曲している場合、5番目の次元でそれぞれに異なっていた距離・時間・エネルギー・運動量をスケール修正する。
・ブレーンから外に移動したものは、その過程の各点でのエネルギーが指数関数的に小さくなる。
・ウィークブレーン上の粒子はすべて1TeV前後の質量をもつ。

・5番目の次元上の各点も同じように特定の質量に関連づけられる。
・各点での質量は、そこでのスケール修正を介し、プランスケール質量に結びつけられる。
・5番目の次元を進むと、各点で確率関数が最高値をとるKK粒子に出会うが、そのKK粒子の質量は重力ブレーンから離れるほど軽くなる。
・空間のある領域は、スケール修正されたエネルギーが小さすぎて重いKK粒子を生み出せず、重いKK粒子がその領域にいない。
・軽いKK粒子は、エネルギーの高い粒子がいる領域ではめったに見つからない。
・KK粒子はその質量により、できるだけウィークブレーンから離れたところに集中する。


・軽いKK粒子の確率関数の重要な特量:重力ブレーン上での値がきわめて小さいこと。
→ブレーン上やその近辺で軽いKK粒子が見つかる可能性がほとんどない
・重力ブレーンでは軽いKK粒子がほとんど生まれない。
・軽いKK粒子が重力法則を大きく修正することもない。


・グラビトンが重力ブレーンに局所集中しているため、重力は4次元に見える。
・グラビトンのKKパートナーは重力ブレーン上での相互作用が弱い。
・無限にのびる5番目の次元が存在しても、重力の法則を含めたあらゆる物理法則と物理過程は、4次元世界で予想されるものと一致して見える。