ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ワープする宇宙

リサ・ランドール/監訳 向山信治 訳 塩原通緒 「ワープする宇宙」メモ  

リサ・ランドール  監訳 向山信治 訳 塩原通緒

「ワープする宇宙」メモ

 

Ⅱ部 20世紀初頭の進展

第6章
量子力学ー不確かさの問題
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【まとめ】
・粒子のエネルギーは量子化されていて、その存在は波動関数により確率の観点でしか記述できない。
ハイゼンベルク不確定性原理より、短距離で生じる物理過程に反応できるもの物体や系は運動量が高いため、短い距離を探るには高エネルギーが必要。
・物体はすべてボソンかフェルミオンからなり、パウリの排他原理より、同じタイプのフェルミオンが同じ場所にいることが許されないため、原子は化学反応の基盤となる構造をもてる。
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●びっくりするようなすごいもの
・量子効果が意味をもつのは、原子の大きさにあたる1オングストロームほどの距離。
・見えるのは原子の集合体なので、その数の多さにより古典物理学が量子効果を圧倒する。


量子力学の始まり
・前期量子論:エネルギーや運動量などの物理量は任意の値をもてず、不連続な「量子化された」一連の数字だけが許される。
プランクの仮説:ある特定の振動数の光に含まれる総エネルギーは、その特定の振動数に応じた基礎エネルギー単位の倍数にしかならない
  E=hν
・一定の振動数をもつ光には、それ以上は分割できない最小エネルギー単位がある。


光電効果
・光をある一定の振動数で物質に当てると、その進入する放射により電子が押し出される。
・光を強くして対象にぶつけても、放出される電子の運動エネルギーの最大値は変わらない。
・放射は個々の光の量子(光量子)からできていて、1個の量子だけがそのエネルギーをどれか特定の電子に与える。
・1個の光量子だけが電子を飛び出させるので、入射する量子が増えても放出された電子のエネルギーは変わらない。
・入射する光量子が増えれば、光はより多くの電子を放出させるが、個々の電子のエネルギーは一定値以上にはならない。


量子化と原子
・原子は中央の小さな原子核と、そのまわりを回る電子からなる。
・古典的な電磁理論では、電子が円軌道を描いて動いているなら、光子放出を通じてエネルギーを放射し、円軌道は中央に向かいらせん状にせばまる。
・原子の安定した軌道は謎だった。
・なぜ電子はエネルギーを失い原子核に近づいていかないのか?


●電子の量子化
・電子はそれまで考えられていた軌道には移れず、ボーアの公式に合致する半径の軌道しかもちえない。
・電子は波のように上下に揺れながら、原子核のまわりを回る。
・波は電子の軌道となる円のまわりを一周するあいだ、整数回で上下しなければならない。
・ありえるのは特定の電子軌道だけ、その中間はない。
→外部の力が働き、電子をある軌道から別の軌道へジャンプさせないかぎり、電子は原子核にちかづきようがない。


●粒子のとらえがたさ
・ド・ブロイの仮説:粒子は波のような性質を示し、その波は粒子の運動量によって決まる。
 λ=h/p
波動関数:波は位置の関数で、その絶対値の二乗が空間の任意の場所で粒子をみつけられる確率。
・粒子はその存在を特定できるものではなく、確率の観点でしか記述できない。
・粒子の厳密な位置を突き止めることはできない。
・粒子が、ある場所で見つかる「確率」を特定できるだけ。


・粒子のもつ波のような性質は一つの粒子からでは検出できない。
・1個の電子だけではひとつの数字しか測定できない。
・たくさんの電子をそろえれば、それぞれの場所での電子の存在が、量子力学により電子に帰せられる確率波に比例していることがわかる。
・多数の電子があれば、それらのいる場所が波のような分布となり現れる。
波動関数は、電子が最終的にその場所に存在する確率を示す。


<二重スリット実験>
波動関数は、電子がスクリーン上のある特定の場所に当たる確率を示す。
・電子は、ある特定の場所に、ある一定の確率で見つかるとしか言えない。
・その確率を示すのが各地点での波動関数の値。
・電子をたくさん発射すると、電子が両方のスリットを通過するという過程から導かれる波が形成される。


ハイゼンベルク不確定性原理
・ある特定の二つの量を一度に正確に測定することはできない。
・位置を測定してから運動量を測定しようとすると、先に運動量を測定してから位置を測定したときと同じ結果が得られない。
・測定の順序が重要になるのは量子力学においてだけ。
・二つの不確かさの積は、つねにプランク定数hより大きくなる。


●二つの重要なエネルギー値と不確定性原理との関係
・位置の不確かさと運動量の不確かさの積はプランク定数より大きくなる。
・短い距離で生じる物理過程に反応できるもの物体や系は、運動量が広範囲になる。
・運動量が高いときはエネルギーが高い。
→短い距離を探るには高エネルギーが必要。


・ウィークスケールエネルギー:250GeVのエネルギー
・弱い力と素粒子の重要な性質の要因となっている。


・ウィークスケール質量:10^-21グラム
・光速を通じてウィークスケールエネルギーと関連づけられた質量。


・ウィークスケール長さ:10^-16センチ
・弱い力の及ぶ範囲
素粒子が弱い力を通じて互いに影響を及ぼしあえる最大距離


プランクスケールエネルギー:10^19GeV
・種々の重力理論に深く関係している。
重力定数プランクスケールエネルギーの二乗に反比例する。
・二つの質量のあいだに働く重力が小さいのは、プランクスケールエネルギーが大きいから。
プランクスケールエネルギーは、古典的な重力理論が適用できる最大のエネルギー値。
プランクスケールエネルギーを超える状況では、量子力学と重力の両方を矛盾なく記述する重力の量子論が不可欠となる。


●ボソンとフェルミオン
・物体はすべてボソンかフェルミオンからなる。
・ボソン(ボーズ粒子):整数の固有スピンをもつ(0,1,2,・・・)
フェルミオン半整数の固有スピンをもつ(1/2, 3/2,・・・)
・なじみの物質はすべてスピン1/2の粒子からなる。


・パウリの排他原理より、同じタイプのフェルミオンが二つ同じ場所にいることは許されない。
・排他原理により原子は化学反応の基盤となる構造をもてる。
・個体構造をもてるのは、排他原理により物質が原子構造や分子構造や結晶構造をとるから。