ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ワープする宇宙

リサ・ランドール/監訳 向山信治 訳 塩原通緒 「ワープする宇宙」メモ  

 

 ワープする宇宙を読み終えた。10年ちょっと前に購入して、その時は途中でチンプンカンプンになって投げ出してしまった。もう一度読んでみる気になり、どうにか最後まで読み通した。

 

 「ワープ」とは時空が歪曲していることを指す用語で、標準モデルの階層性問題を解決するためのモデルが備えている特徴のようだ(本の内容をちゃんと理解しているか怪しいので、間違っていたらゴメンナサイ...)。

 そのモデルでは時空は4次元ではなく、もう一次元余計にあり(余剰次元)、しかもその次元は簡単に検出することはできないとのことだ。

  CERNの大型ハドロン加速器(LHC)の実験で余剰次元の証拠が見つかるだろうと、本の最後のほうに書いてあるけれど、現時点では見つかっていないようだ。

 

 超ひも理論でも、次元の数は10とか11とかってことになるようで、この世界は多次元なのかもしれない。プランクスケール長さのような極小領域になると、従来の時空の概念自体が通用しなくなってしまうらしい。

 結局のところ、この宇宙は人間様の頭脳で理解できるように作られているのかい?

 

リサ・ランドール  監訳 向山信治 訳 塩原通緒
「ワープする宇宙」メモ

 

Ⅵ部 結びの考察

第24章
余剰次元ーあなたはそこにいるのか、いないのか?
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【まとめ】
・一つの理論に双対的な二つの記述があり、一つの定式化がかならずしも最良の定式化とは限らない
・10次元理論がときとして11次元理論と同じ物理的帰結をもつこともあり、次元の数とは何を意味しているのか?
プランクスケール付近のどこかで、従来の時空の概念は適用できなくなり、空間と時間は幻想かもしれない。
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・次元の数とは何を意味しているのか?
・次元の数は、空間内の一点を特定するのに必要な物理量の数として定義される。
・10次元理論がときとして11次元理論と同じ物理的帰結をもつこともある。
・双対性は、次元の概念が見かけほど堅固ではないことを示す。
・一つの理論に双対的な二つの記述がある。
 →一つの定式化がかならずしも最良の定式化とは限らない

1.歪曲した幾何と双対性
<反ド・ドジッター空間>
・反ド・ジッター空間の特徴:双対的な4次元理論が存在する。
・5次元理論のすべてのものが4次元理論に相似物をもち、逆も同じ。
・重力はありながらブレーンはない5次元の反ド・ジッター空間は、重力のない4次元理論に等しい。
・その5次元理論にブレーンを含めると、それに等しい4次元理論に重力が含まれるようになる。

・物体が強く相互作用する理論は、弱く相互作用する記述を代用としてたてないと解釈できない。
・この場合、扱いやすい記述は5次元理論。
・どの量を数勘定に入れるべきなのか?

2.T双対性
・T双対性:外見の異なる二つの幾何のあいだに同等性があること。
・巻き上げられた微少な次元をもつ空間を、巻き上げられた巨大な次元をもつ別の空間に入れ替える双対性。
・きわめて小さい巻き上げられた次元と、きわめて大きい巻き上げられた次元が、同じ物理的結果を生む。
・T双対性は、外見的に異なる二つの空間が、異なる数の大きく広がった次元をもちながら、なおかつ同一の物理的予言をすることを示す。
 →次元の意味はあいまい

3.鏡面対称
・6次元が巻き上げられてカラビ-ヤウ多様体になっているときのひも理論に適用される。
・6次元は二つの異なるカラビ-ヤウ多様体に巻き上げられるのに、その結果導かれる長距離の4次元理論はまったく同じになりうる。
・外見の異なる二つの幾何が同じ予言を生む。

4.マトリックス理論
マトリックス理論は外面的には、10次元を移動するD0ブレーン(点状のブレーン)のふるまいと相互作用を記述する量子力学理論に見える。
・この理論は重力を含まないのに、D0ブレーンはグラビトンのように働く。
・外面的にはグラビトンが存在しないが、理論は結果的に重力の相互作用を含む。
・D0ブレーンの理論は11次元の超重力を模倣する。
マトリックス理論のモデルは元の理論が記述していたより一つ次元が多い超重力を含む。
 →マトリックス理論はM理論(11次元の超重力を含む)と等しい?
・D0ブレーンどうしが近づきすぎると、その位置が不明確になる。
・D0ブレーンの位置を厳密に特定しようとすると、その位置は数学的な量として意味をなさなくなる。


●何を考えればいいのか
・双対性が適用されるとして、そこから空間と時間の性質について何がわかるかを本当に知っているのだろうか?
・次元が非常に大きくも小さくもない場合、どういう記述が最善なのかを誰も知らない。
・理論上でもプランクスケール長さのような短い距離を検証する方法が見つかっていない。
・小さい距離スケールを調べるには多大なエネルギーが必要。
・10^-23センチメートルのプランクスケール長さのような少領域に多大なエネルギーを投入すれば、ブラックホールができる。
・その内部で起きていることを知るのは不可能。
・あらゆる情報は、ブラックホールの事象の地平線の内側に閉じこめれられてしまうから。
・思考実験でもプランクスケール長さより小さい領域は見られない。
プランクスケール付近のどこかで、従来の時空の概念は適用できなくなる。
→時間と空間にもっと根本的な記述があるはず
 空間と時間は消える運命にあるのかもしれない
 空間と時間は幻想

 

Ⅵ部 結びの考察

第25章
最後に
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【まとめ】
余剰次元の性質の一つは、その帰結が実験結果に現れること。
CERNの大型ハドロン加速器(LHC)での実験は、標準モデルの先の物理についての手がかりとなる粒子を発見するだろう。
・階層性問題の解決を試みるモデルには、目に見えるウィークスケールの帰結があり、歪曲した幾何もそうしたモデルの一つ。
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余剰次元の性質の一つは、その帰結が実験結果に現れること。
余剰次元をもつ時空の検証は、天体物理学や宇宙論でできるかもしれない。
余剰次元世界のブラックホールは独特な性質があるので、4次元ブラックホールとの違いが認識できる。
CERNの大型ハドロン加速器(LHC)が稼働し、これまで誰も観測したことがなかった物理領域を探る。
LHCでの実験は、標準モデルの先の物理についての手がかりとなる清新な性質をもつ粒子を発見するだろう。
・階層性問題の解決を試みるモデルには、目に見えるウィークスケールの帰結がある。
・歪曲した幾何もそうしたモデルの一つで、痕跡を残す。
・この理論が正しければ、KK粒子が検出されるはず。
・別の余剰次元モデルがこの宇宙を記述していれば、エネルギーは余剰次元に消失する。
・結果として生じたアンバランスなエネルギー収支より、最終的にその余剰次元が検出される。