ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ワープする宇宙

リサ・ランドール/監訳 向山信治 訳 塩原通緒 「ワープする宇宙」メモ  

リサ・ランドール  監訳 向山信治 訳 塩原通緒
「ワープする宇宙」メモ

Ⅳ部 ひも理論とブレーン

第16章
にぎやかなパッセージーブレーンワールド
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【まとめ】
・ある種のブレーンは、かならずそこにとらわれた粒子と力を含包する。
・重力はブレーンに閉じこめられない。
・HWブレーンワールドは標準モデルの粒子と力だけでなく、大統一理論を完全に説明できる。
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●粒子とひもとブレーン
・ひも理論のブレーンは粒子と力を「フル装備」している。
・ある種のブレーンは、かならずそこにとらわれた粒子と力を含包する。
・ブレーンにとどめられた粒子は決して外に出て行けない。
・粒子の運動:ブレーンの空間次元に沿ってだけ運動する。
・相互作用:ブレーンの伸びた空間次元のうえだけで相互作用する。


・高次元宇宙のどこかにDブレーンが1枚だけ浮かんでいるとする。
・開いたひもの両端は一枚のDブレーンに接していなければならない。
 →このDブレーンはすべての開いたひもが始まり、終わる場所。
・開いたひもの両端は、ブレーン上のどこかに位置していなければならない。
・ひもの端はブレーン(固定された面)に閉じこめられているが、そのなかで動くことができる。


・開いたひもの振動モードが粒子。
・両端ばブレーンに閉じこめられた開いたひものモードが、このブレーンに閉じこめられた粒子。
・粒子は、ブレーンが伸びている次元においてのみ移動・相互作用できる。


・ブレーンに束縛されたひもから生じる粒子は、力を伝達できるゲージボソン
ゲージボソンのスピン(1)をもち、ゲージボソンと同じように相互作用する。
・ブレーンに束縛されたゲージボソンが力を伝え、その力が同じブレーンに束縛されている別の粒子に
作用する。
・力を受ける側の粒子は、かならずその力にかかわる荷量をもつ。
・ブレーンにくっついているひもの端はすべて荷量をもつ粒子のような作用をする。


・ブレーンが2枚以上ある場合、それだけ力と荷量をもつ粒子も多い。
・二枚のブレーンが空間で互いに離れている場合、その二枚のあいだに伸びるひもから生じる粒子は、
重くなる。
・このひもの振動モードから生じる粒子の質量は、ブレーン間の距離が伸びるに従い大きくなる。


・二枚のブレーンが同じ位置にあるとき、最も軽い粒子は質量ゼロ。
・二枚のブレーンが重なり、同じ空間を占めているとする。
・そのブレーンからは質量のない粒子が新たに生じる。
・質量ゼロの粒子の一つにゲージボソンがある。
・このゲージボソンは、両端が同じブレーンにくっつているひもから生じるゲージボソンとは異なる。
・この新しい質量ゼロのゲージボソンは、同一の空間を占める二枚のブレーンがある場合にしか生じな

 →これが伝える力はブレーンの片方にいる粒子にも、両方にいる粒子にも作用する。
・このブレーン上の力も対称性と結びつく。
・この場合、対称変換は二枚のブレーンを入れ替えるもの。


・二枚のブレーンが同じ場所にあるなら、一枚のブレーンと見なしてよい。
・この新しいブレーンがひも理論に存在する。


・離れたブレーンにある粒子どうしは直接の相互作用をしない。
・相互作用は局所的。
・離れたブレーン上にある粒子どうしでも、バルクのなかを自由に移動できる粒子や力があれば、互い
にコミュニケーションできる。
・そのようなバルク粒子は、ブレーンを自由に出入りできる。
・高次元空間全体を自由に動き回ることもできる。


●重力ーあいかわらずの特異性
・重力はブレーンに閉じこめられない。
・ひも理論ではグラビトン(重力を伝える粒子)は閉じたひもの1モード。
・閉じたひもには端がない
 →端がブレーンにととめられることがない
・グラビトンは必然的に高次元時空をどこにでも移動可能
・重力を完全にブレーンワールドに閉じこめることはできない。


●ホジャヴァ-ウィッテン理論
<HWブレーンワールド>
・二枚のブレーンを境界とする11次元世界で、ブレーンのそれぞれに9つの次元がある。
・それらにはさまれたバルク空間には10の空間次元(11の時空次元)がある。
・二枚のブレーンそれぞれが異なる一連の粒子と力を含む。

・二枚のブレーン上にある力は、ヘテロひもの力と同じ。
ヘテロひも:ひもに沿って左回りに動く振動と右回りに動く振動が異なる相互作用をするもの。
・これらの力の半分は二枚の境界ブレーンの片方に閉じこめられる。
・もう半分は境界ブレーンのもう片方に閉じこめられる。
・どちらも標準モデルの粒子をすべて含む。
・標準モデルの力と粒子は二枚のブレーンのどちらか一方にある。
・この理論では存在するが我々の世界で観測されない別の力と粒子は、もう一方のブレーン上、あるい
はブレーンの外の11次元バルクのなかを移動する。


・HWブレーンワールドはヘテロひもと同じ力を持つだけでなかった。
・それこそがヘテロひもだった。
・一つの双対性の例。
・11番めの次元(10番めの空間次元)の境界となる二枚のブレーンをもった11次元理論は、10
次元のヘテロひもと双対。
ヘテロひもの相互作用が非常に強いとき、その理論は、それぞれが9つの空間次元をもつ境界ブレー
ンを二枚含む11次元理論として記述できる。
・HWブレーンワールドが現実世界に対応するためには、6つの次元が目に見えなくなっていないとい
けない。
・6つの次元はきわめて小さなカラビ-ヤウ図形に巻き上げられている。
→HW宇宙は四次元の境界ブレーンをもつ五次元の有効理論と考えられる。


・HWブレーンワールドの魅惑的な要素の一つ
 標準モデルの粒子と力だけでなく、大統一理論を完全に説明できること。
・HWブレーンワールドは、ブレーンワールドが現実世界と無縁でない三つの理由を示している。
①ブレーンワールドに含まれるブレーンは一つだけではない。
 ブレーンに閉じこめられた粒子の相互作用が弱い
②どのブレーンワールドも新しい長さスケールを物理に導入する。
③ブレーンとバルクはエネルギーを帯びることができる。


・HWブレーンワールドの問題
 そこで説明されている次元が非常に小さいため、実験検証が困難