- 作者: ファインマン,坪井忠二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1986/01/08
- メディア: 単行本
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ファインマン物理学Ⅰ 力学
第10章 運動量の保存 メモ10-1 ニュートンの第3法則
・数学的にきちんと解ける問題の数は限られている・数学的には解けなくても、数値的に解けている問題の数はたくさんある
・簡単な問題は数学で解け、かなりむずかしい問題は数値的算術的方法で解ける
が、非常に複雑な問題はどちらの方法でも解けない。
・ニュートンの法則からでてくる一般的な定理、原理
1.エネルギー保存の法則
2.運動量保存の法則
・第3法則:作用と反作用は等しい
・第1の粒子がある力でおして第2の粒子に力を及ぼしているとすると、第2の
粒子も同じ力で第1の粒子を反対向きにおしている
10-2 運動量の保存
・力とは運動量が時間的に変化する割合であるので、粒子(1)の運動量の時間的
変化の割合は、粒子(2)の運動量の時間的変化の割合の符号を反対にしたものdp1/dt=−dp2/dt
粒子(1)の運動量と粒子(2)の運動量の和をとれば、互いに及ぼし合う力
(内力)によってそれが変化する割合はゼロであるのでd(p1+p2)/dt=0
・(p1+p2)という量は変化しない
・p1+p2はm1v1+m2vと書くことができ、これを二つの粒子の全運動量
という
・外界にある物体が内部にある物体に及ぼす力を外力という
・すべての外力の和は、内部にある全粒子の全運動量の変化の割合に等しい
相互作用を及ぼしあう粒子がたくさんあり、外力がはたらいていないとき、
その全運動量の保存をあらわす式はm1v1+m2v2+m3v3+・・・=一定
ニュートンの第2法則の一般式
f=d/dt(mv)
は、おのおのの粒子に対し、任意の方向における力の成分と運動量の成分とに
対して成立する。一つの粒子にはたらく力のx成分は、その粒子の運動量の変化
の割合のx成分に等しいfx=d/dt(mvx)
であり、y方向、z方向も同様。
・運動量保存の法則以外にニュートンの第2法則から出てくる大切な原理は、
静止していても、あるいは一直線上を一様な速さで動いていても、物理学の法則
は同じであること⇒相対性原理(ガリレオの相対性)
10-4 運動量とエネルギー
・弾性衝突の前と後で速度が等しいのは運動エネルギー保存の問題・対照的衝突後の物体の反撥速度が互いに等しいのは運動量保存の問題
・非常に単純な物体の間では、衝突はつねに弾性衝突か、それに非常に近いもの
・気体内における原子や分子の衝突は厳密には完全弾性衝突ではないが、たいてい
の目的には気体内の分子の衝突は完全に弾性的であると考えられる。
・質量の等しい二つの物体の弾性衝突で、一方が速度vで運動し、他方は静止して
いる場合、二つの物体は速度を交換するだけ⇒質量の等しい二つの物体が異なる速度で動いて衝突すれば、速度を交換する
だけ
10-5 相対論的運動量
・相対性理論では粒子は質量をもち、運動量は質量と速度の積で、mvで与え
られるが、質量は速度によって変化し、運動量も変化する。・質量が速度によって変化する関係は
m=m0/√(1−v^2/c^2)
m0:静止質量
c :光速
・ニュートンが前提として遠隔作用は、瞬間的にその影響が及ぶことであったが、
実際はそうではない
・1カ所にある電荷が突然運動したとすると、他の点にある他の電荷に及ぼす
影響は、瞬間的にはあらわれない。・二つの電荷の間の距離をこの影響が伝わるのに時間がかかり、その短時間には
粒子の運動量は保存しない。・短い時間の間、粒子の運動量mvの他に別の運動量があり、それは電磁場内の
運動量とすると、この場の運動量と粒子の運動量を加えれば運動量は保存する。
・粒子を波動と考えれば、運動量は波数で測られ、波数が大きいほど運動量は
大きい。・粒子の場合とは違いがあるが、運動量保存の法則は量子力学でも成立する
(量子力学ではf=maの法則は成り立たず、ニュートンが運動量保存について
導き出したことは全部正しくないが、それでも保存の法則はそのまま
生きている)