- 作者: ファインマン,富山小太郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1986/02/07
- メディア: 単行本
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第17章 分子運動論の応用 メモ
17-1 蒸発
・蒸気の単位体積中にn個の分子があるとする。
・液体の単位体積に含まれる分子の数:1/Va
・Vaが1個の分子により占められる体積とすると、単位体積中の分子数は、
単位体積を各分子の体積で割った1/Vaになる。
・液体から蒸気に分子をとりだすにはある量Wの仕事を必要とする。蒸気内の単位体積中の分子数をn、液体内の単位体積中のその数を1/Vaと
すればnVa=e^-W/kT (17.1)
・液体中では蒸気の中より分子が密なのは、高さWのエネルギーの山までもち上げ
なければならないからで、密度の比はe^-W/kTとなる
17-2 熱電子放出
・1秒間にタングステンからどれだけの電子が出てゆき、その数が温度でどう
変わるか
Va:金属内での1個の電子当たりの体積
W=qeφ:qeは電子の電荷の大きさ、φは仕事関数(1個の電子を表面から
引き離すのに必要な電圧)単位面積を通して出てゆく電流は、単位面積に単位時間に到達する電子の数に
電荷をかけたものに等しい単位面積に単位時間に到達する電子の数は、単位体積中に含まれる電子の数n
に速度vをかけたものになるので、電流の強さは次式となる。I=qenv=(qev/va)e^-qeφ/kT (17.6)
17-5 アインシュタインの輻射の法則
・原子に適当な振動数の光があたると、原子はその光子を吸収し、nの状態から
mの状態へ遷移する。・遷移の起こる確率は照らす光の強さに比例し、比例定数をBnmとする
・自然放出(spontaneous emission):
光がない場合に励起された状態の原子が光子を放出し、低い状態に落ちること・光の強さに比例する吸収
・誘導放出(induced emission, stimulated emission):
光の強さに比例する放出・励起された状態の原子は、準位に依存するある確率Amnでmからnに移る
・適当な振動数の光が原子を照らす場合、光子を放出する割合が光の強さに比例
して増加し、このときの比例定数をBnmとする。
・温度Tの熱平衡状態にて、nの状態にNn個の原子、mの状態にNm個の原子
があるとする。1秒間にnからmに移る原子の総数は、nの状態にある原子と
nに1個の原子があるときそれがmに移る確率との積になる。1秒間にnからm
に移る数はRn→m=NnBnmI(ω) (17.13)
mからnに移る数は
Rm→n=Nm〔Amn+BmnI(ω)〕 (17.14)
Em−En=hωであるので
Nm=Nne^-hw/kT (17.15)
二つの変化速度を等しくおくと
NnBnmI(ω)=Nm〔Amn+BmnI(ω)〕
I(ω)=Amn/(Bnme^hω/kT−Bmn) (17.17)
誘導放出確率と吸収確率は等しく
Amn/Bmn=hω^3/π^2c^2 (17.18)
・ある準位に対する吸収の頻度が分かれば、それから自然放出の頻度と誘導放出の
頻度が分かる