- 作者: ファインマン,宮島龍興
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1986/01/08
- メディア: 単行本
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第10章 誘電体
10-1 誘電率
・絶縁体は電気を導かない
・絶縁物質を誘電体という・板間隔をd、板面積をAとすると容量Cは
C=ε0A/d (10.1)
Q=CV (10.2)
・コンデンサーがあり、間隔をd、その間に厚さbの中性金属板を挿入する。
電場が正電荷を上面に、負電荷を下面に誘導するので、導体内部の電場はなくなる。電圧は
V=σ(d−b)/ε0
容量は(10.1)式でdの代わりにd−bとすれば
C=ε0A/(d[1−(b/d)]) (10.3)
容量は導体の占める体積の割合、(b/d)に関係する因子だけ増加する。
10-2 分極ベクトルP~
・原子の中に距離δ~だけ離れた電荷qと−qがあり、原子当たりの双極モーメントは
qδであると仮定する。単位体積にN原子であれば、単位体積あたりの双極モーメントはNqδ~に等しい。
単位体積あたりの双極モーメントをペクトルP~で表し、その方向は個々の双極
モーメントの向き、電荷分離の方向に等しいP~=Nqδ~ (10.4)
P~は誘電体内の場所により違うが、物質内のどの場所でもP~はE~に比例する。
10-3 分極電荷
・板面積をAとすると、表面に現れる電子数はAと単位体積内の数Nと面に垂直な
変位δとをかけたもの。全電荷はこれに電子電荷qeをかけたもの。
面電荷密度の大きさはσ分極=Nqeδ
これは式(10.4)の分極ベクトルP~の大きさPに等しい
σ分極=P (10.5)
面電荷密度は物質内部の分極に等しい。面電荷は一方の面で正、他で負になる。
・上に考えた平板を平板コンデンサーの誘電体と考える。
・コンデンサーを放電してσ自由をなくすと、σ分極も消滅する。物質の中にもどって
消滅する
・誘電体中の電場Eは全面電荷密度をε0で割ったものに等しい。
E=(σ自由−σ分極)/ε0 (10.6)
式(10.5)を使い
E=(σ自由−P)/ε0 (10.7)
と書ける。
PとEの比例関係を
P~=Χε0E~ (10.8)
と書く。定数Χを誘電体の分極率という。
式(10.7)は
E=(σ自由/ε0)/(1+Χ) (10.9)
で、電場は1/(1+Χ)だけ弱くなる。
V=Ed=σ自由d/(ε0(1+Χ))
コンデンサーの全電荷はσ自由Aであるから、(10.2)で定義される容量は
C=ε0A(1+Χ)/d=κε0A/d (10.10)
平板コンデンサーを誘電体でみたすとき、容量は次の因子だけ増す。
κ=1+Χ (10.11)